1.機械仕掛けのアイドル 2.引くに引けない理由
『機械仕掛けのアイドル』
「みなさん今日も元気にお過ごしください、ラッキーカラーはメタリックブルーです、お勧めの食べ物はイチジクです、それから大事な事は死んだらだめって事です、どうしてかというと私が悲しくなっちゃうから私が悲しむ事なんかみんなしないよね? 寂しい時はいつも一緒だよだって心は繋がっているんだから、安産のお守り欲しい人いるのかな? 私って悲しい人の気持ちが分かっちゃうんだよね、なぜだか急に悲しくなる時それはあなたの危機かもしれない、もっと褒めてあげてね自分の事、わかってる幸せってすぐそこにあるものだから、もう仕事遅れちゃうよ
「オートマタ・あおいちゃん」が壊れてから二日目。あおいちゃんのスイッチをオフにした僕は新しいあおいちゃんを注文することにした。
旧あおいちゃんの事は、大事な思い出としてしまっておくことにする。思い出は多い方がいいと、誰かが言ってた気がする。だから僕は積み上げるんだ。思い出を。
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『引くに引けない理由』
僕はある日、働くのがつくづく嫌になり仕事を辞めたのです。高校を卒業してすぐ、ペットショップで働き始めました。その二年後、逃げたカメの責任を追及された時泣きながら店を飛び出し、それっきり出勤しなかったのです。あれから半年。お店からは何の連絡もありません。
貯金があったのでどうにか生活はできているのですが、そろそろヤバイ。という事で最近、ネットでビジネスを始めました。それは、小説系アイドルです。お仕事内容は、文章で読者とイチャイチャしたり、投げ銭をくれた読者のために即興詩を書いてあげる感じのお仕事です。
これを始めたおかげで、晩御飯にデザートが付く生活ができるようになりました。大儲けは出来ていないですが、我ながら上手くやってるね、って自分で自分を褒めたいです。
「宵闇アゲハさん、お金返してください」
「どうしたのかな? 相談に乗るよ?」
クレーム処理も、大事なお仕事なのです。