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五十七輪目

 今回は良くも悪くも秋凛さんに染められたライブであった。


 誕生日会の様子を見るにメンバーの仲は良いように感じたが。

 同時に互いを高めていくライバルとしても見ていたように思うので、内心では悔しいとか思っていそう。

 ゲームを一緒にやっていても、夏月さんからちょいちょい負けず嫌いな感じが出ていたし。


 ……ライバルに見ている云々は俺がそうあって欲しいアニメ的な発想だから本当かは分からない。

 負けず嫌いについては合ってると思う。


 夏月さんにはゆっくり休むようにと、高瀬さんと秋凛さんにもお疲れ様と病院に来なくても大丈夫といった旨のメッセージを送った。


 これで特に何事も起こらないと思っていたのだが。


「…………」

「…………」

「…………座らないのですか?」

「ちょっとした用だから。それが終わればすぐ帰るわ」

「そうですか……」


 どうして樋之口さんがここに居るんだろう。

 ちょっとした用と口にしながらも話そうとせず、ずっと立ったまま部屋のあちこちを見ているし。


 ジッとコチラを見られていても困るのだが、これはこれでどう対処したらいいのだろう。


「…………ライブが始まる前」

「はい……?」

「今日、ライブを見に来てくれていたでしょう?」

「あ、はい」

「始まるまで何していたの?」

「え、あー……始まるまでは、特に何もしてないです。リハの様子が見れたのでそれを見ていて、それが終わったら始まるまで寝てたぐらいです」


 樋之口さんはライブの感想を聞きたいのだろうか。

 それにしては少し遠回りな質問の気がするけど……。


「……何か変なことは無かった?」

「変なこと、ですか?」


 変なことと言われても、夢を見たぐらいで特に何かあったわけでもない。

 その夢の内容は少しアレだったけども。


「いえ、特には」

「…………そう」


 どこかホッとしているよな、残念な様子を感じたが、果たして何を聞きたかったのだろう。


「遅くに悪かったわね。お大事に」


 ライブの感想を聞かれたり、二、三やり取りして樋之口さんは帰っていった。


 もしかして話は色々建前で、ライブ見に行って体調を崩してないか見舞いに来てくれただけなのかもしれない。


 ただのイメージだけど、樋之口さんに少しツンデレがあるような気がする。

 恋愛的な感情を俺に抱いていないだろうけど、優しさを感じた。






 翌朝、朝食を食べて帰宅する準備をしていたら夏月さんがやってきた。

 ライブの次の日は休みと聞いていたが、朝イチでやってくるとは。

 帰るだけなのだから、家でのんびりしていればよかったのに。


「優君、まだ病み上がりなんだから無茶しちゃダメだよ」

「ただ帰るだけだから大丈夫だよ」

「今日までは安静なんだから、ね?」


 過保護なのは今更だし、それだけ夏月さんが自分のことを想ってくれているということなのだろう。


 体調崩していた間はちょっと俺の対応が悪かったから、家に帰ったら出来る範囲で夏月さんの言うことを聞くことにしよう。


 ……あ、そもそも体調が良くなったらお願いを聞くという約束をしていたような。

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