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十七輪目

「あ……すみません、お待たせして」

「ううん。私が早く着いただけだから気にしないで」


 十一時に原宿待ち合わせとのことで。

 少し早めの四五分に着くよう向かったのだが、待ち合わせ場所にはすでに高瀬さんがいた。


 眼鏡や帽子で変装しているが、どのような格好をしているのか教えてもらっていたし、高瀬さんが俺よりも早く気付いて手を振ってくれたのですれ違うことはなく。

 いつから待っていたのか分からないが、笑顔で迎えてくれる。


 待たせた分エスコートを頑張ればと思ったところで、今日のプランは高瀬さんが抱え込んでいるのを思い出した。


「桜くんは甘いのと辛いのだったらどっちが好きかな?」

「どっちかと聞かれたら……甘い方、ですかね」

「それならこっちだね」


 並んで歩きながら、高瀬さんが行きたいところに行けて楽しんでいてくれたら十分か、と思ったけれど。

 どちらかと言えば、高瀬さんが俺を楽しませようとしているような……?


 しかも好みを聞いて向かう先を決めるってことは。


「……もしかして、行く店の候補がいくつかあったりします?」

「えへへ。桜くんの好み、もっと早く聞いておけば良かったね」


 あ、可愛い。

 …………じゃなくて。


 つまりは行き先を教えてくれなかったのは、どこに行くか決まっていないから教えられなかったわけと。

 それならそう言ってくれればいいのだが、今更ほじくり返しても仕方のないことだろう。


「高瀬さんは甘いものとか好きですか?」

「私も甘いの大好きだよ。実は辛いの少し苦手なんだよね」

「自分が辛いの好きだったらどうしてたんですか?」

「その時は……うん、辛くない物を選んで食べるよ」


 高瀬さんと目が合い、一呼吸あけ二人して笑い出す。

 特にどうということはないのだが、なんかツボに入ったのだ。


「まあ、ピリ辛程度しか自分も無理なんですけどね」

「あ、本当は辛いの好きなのかも。って思ったのに」

「いやー、甘いのしか好んで食べませんね」


 反応がいいため、どうしてもからかい気味になってしまう。

 それは高瀬さんも分かっているのか、合わせてくれているのでありがたい。


「あ、ここだよ」

「オシャレで一人だと少し入りにくい感じですね」

「いつでも誘ってくれていいよ?」

「それじゃ、その時がきたらお願いします」


 ついた場所は有名店なのか店の前には列が出来ており、入るには少し時間がかかりそうだ。


「うん? 桜くん、どこ行くの?」

「え、列に並ばないんですか?」


 列の後ろに並ぼうと向かえば、腕を掴まれ引き止められる。

 普通のことを答えたはずなのだが、高瀬さんは目を丸くさせて驚いた表情をしていた。

 なんなら並んでいた人たちも俺が言ったのが聞こえていたのか、こちらを見てくる。


「男の人は並ばなくてもお店に入れるよ」

「……それって、並んでる人よりも先にってことですか?」

「え? あ、うん。そうだけど……」

「高瀬さんが嫌でなければ一緒に並びませんか?」

「桜くんがそうしたいのなら私も合わせたいんだけど……お店にも迷惑がかかるから、ごめんね?」

「あ、いえ、よく分かりませんけどルールがあるなら合わせます」


 列を抜かすっていうのは好きじゃないが、お店に迷惑がかかるらしいし、高瀬さんに申し訳なさを抱かせるのもいただけない。


 店に入ってからどういう事なのか教えてもらおう。

コンビニ

男性下着を取り扱うため、店員は全員正社員。

入るのはそこそこ厳しいが、一定の人気はある。

男性下着売り場もあるが、主人公のように突発的に必要な可能性がゼロでないため、在庫がある。

表に置くと万引きなど多く出るため、裏にしまってあり、買う場合は少し面倒だが身分証の提示が必要。

男性しか買えないわけではなく、女性も購入可能なため、毎月一定数売れていたりする。

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