逃走
「とにかく俺はノートを渡さないしもう帰るからな」
「そう、なら力ずくで奪うわ。」
彼女は日本刀のようなものを持っていた。
「あっあっあっ、あのーこれは…?」
「うらっーーー!!」
質問にも返すことなく、彼女が駆け寄って来る。
殺される、たかが妄想ノートのために…
俺は全速力で階段へ走り出す。3階から一階へ降りるのはかなりきついな…
「止まりなさい!ふふふ…魔剣士と呼ばれる私からにげられるわけ」
その声を無視し、暗い階段をバンビのごとく飛び降りる。
階段を降り、二階に辿り着いた時、上からミシミシという音が聞こえた。
ドーンッ!!
凄まじい衝撃と土埃にとっさに腕で顔を隠す。次に前を見たとき暗いながらも確かにわかった。彼女が目の前にいたのだ。天井をぶち壊してきたのだ。
「あんまなめてんじゃねーぞ!」
今度こそやばい!
姿勢を崩しながら図工室に駆け込む。彼女はゆっくりと迫って来る。俺は四つん這いになりながらさらに奥の図工準備室に向かう。図工室の電気がつき、
「反撃はねーのか?つまんねーな」
と声が聞こえる。そして足音から準備室に向かってくるのがわかる。
「隠れたって、もう行き止まりなんだよ」
こいつ知らないのか?
図工準備室には非常階段があんだよ!
重い非常扉を開け俺は階段を駆け降りる。
カンカンカンカンカン!
そして振り返ることなく東校舎に駆け込む。あいつが校庭に行くことにかける。校門がそちらにあるからだ。しかし校庭は隠れる場所がなくジリ貧になる。だから、職員室だ!助けを呼ばねば!流石にだれかいるだろう。
東校舎の長い廊下を走り抜けると職員室の明かりが目に移る。助かった…たすかったのか?
バン!先生!助けて!俺は扉を開けた。職員室には担任の三島先生がふんぞりかえっていてこう言った。
「おう、君か。」ものすごく間の抜けた声で言った。
最悪だ。三島先生は初老で丸メガネの男性で一言で言えばノータリンだ。やる気も覇気もない。とにかく楽することを願ってやまないタイプの人間だ。こいつは頼りにならない。
「先生!」少女が三島に駆け寄ってくる。これは同じクラスの仙台愛だ。身長はかなり低く、ショートカットの黒髪が似合っていて学校でも一二を争う美少女である。
最悪だ。コイツ、生徒に手を出してたのか…