放課後
5、6限目の間、放心状態のまま過ごしたした俺はホームルーム直前に正気を戻したが、ずっと机に伏せて寝たふりをしていた。
あっあっあっ、有馬さん、俺のこと好きって言ったよな、マジ?マジ!?いやおかしいよね、ぱっと見で好きになるなんてアヒルじゃないんだからさ。いやでも万が一もあるじゃん。ないよね。どうしよう?亀梨君一緒に帰ろう?とか言われたら…
起立!礼!ホームルームが終わる。間髪入れず、隣から清楚で可憐な声が聞こえてくる。
「亀梨君、一緒に帰らない?」
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!ホイ、キタっ!!!帰ります帰ります、何処へでも行きますよ、あなたとなら….
俺は彼女の方をむき、口を開く。
「あっあっあっ、僕よらないといけないところあるから……ごめん。」
何を言っているんだ俺は?ち、が、う、だろ!ああ、帰ろうぜ、だろ!俺と一緒に、だろ!
その考えとは裏腹になんだか深刻そうな顔をして早足で廊下に向かう。あたかも金銭がらみのような、家族が危篤なような顔つきと歩調で。
「ちょっと待って」と有馬さん。
「ごめん、結構ガチなんだ」
突然冷静さを取り戻した名役者亀梨は軽く手を挙げて普段なら迷わず行ってんだけどね風の雰囲気を醸し出しながら振り返ることもなく廊下を走り出す。
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
嫌われた!嫌われた!もう終わった!このガイジ!死ね!ゴミ!カス!チキン!
まぁ、とりあえずブックオフ行こう…
※
長い回想の後、彼は大きなため息をついた。1日の密度がこすぎる。そして校門に手をかけ一気によじ登り、飛び降りる。そして早足で校舎に向かって行った。