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希が鬼の番

とうとうシモキンのゲームが始まった。


これは夢なのか? 夢にしてはいやにリアリティがある。

希は頬をつねってみた。ーー痛い。

もし夢でも、痛いのは嫌だなと思った。

変な夢だ。自分も含め登場人物が全部夢だと認識してるなんて。


「じゃあ、まずは給食です」

シモキンが笑って言った。


席に座らされた希の前に、クラスメイトによって給食が運ばれる。

シチューにコッペパン、冷凍みかん。

ああ、懐かしい。

「さあ、食べて希ちゃん」

シモキンが勧める。

「うん」

これがイジメ?

希はシチューをスプーンですくい一口口に含む。

ん? おかしな食感が口の中にある。

カニやエビの殻のように硬いけど、ムニムニと柔らかい所もある。

噛むとプシュッと何かが、口の中に飛び出て来た。

希は、口の中の物をスプーンに吐き出した。


きゃああああああーーーーーーーーーーー!!!!!!!?????


「大丈夫よ。虫は食べれるってテレビで見たから」

シモキンは笑って言って続ける。

「これ吉田くんがあの時に私に言った言葉ね」

スプーンの上には、丸のゴキブリが乗っている。

6本の足はくの字に曲がり、希が噛んだ為に腹からは、黒いグニャグニャした内臓が飛び出ていた。


オエッ!!


希は堪えきれず、その場で戻した。

シモキンは希の手から落ちたスプーンを拾い。シチューを混ぜる。

するとシチューの底から、大漁の蟲が湧き上がって来る。

ゴキブリ、クモ、バッタ、ミミズ、芋虫ーー。形が分かるだけでもそれだけある。

「名づけて、蟲給食。そう言ってたわ。これから食料難の時代が来るから、それに備えるとか言って、男子がわざわざ休み時間に沢山蟲を掴んで来てくれてね。私の為に。泣けるわ」

シモキンは床に這いつくばり、泣きながら口を拭っている希を見下ろし続けた。

「あー汚ない。貧乏なんだから、給食でちゃんと栄養取らなきゃな。こう言って、吉田くんが抑えつける私に、あの時は岡田くんが無理やりスプーンで蟲を突っ込んだわね。さあ、2人で再現なさい。再現度低いと堀内みたいになるわよ」

岡田と吉田は、シモキンの後ろで、幽鬼の如くユラユラと焦点の合わない目で遠くを見詰める血塗れの掘内を見た。

ゴクリッと唾を呑む。


「ーーやっぱ、これは夢なんだよ! こんな事現実にあるわけが無い」


岡田が言った。


「見ろよこの姿。名探偵コナンじゃねぇーんだから、大人は子供に戻らねえよ! 俺は職場で、徹夜でプログラミングしていて、少しの間仮眠を取っていたんだ。これは夢だ。だから、この希も夢だ! 何をしても問題無いんだ」

「……え?」

希は、岡田のその言葉を聞いて青ざめる。

「そうだな。これは夢だ。こんな事あるわけないもんな!」

吉田は震える声でそう賛同するが、開きなっているのか、もうどうにでもなれと言う気持ちなのか、引き攣った笑いを浮かべていた。

「……やめてよ。2人ともやめて。私は本当の希だよ!」

希はそう言ったが、

「うるさいっ!」

吉田は髪を掴み引き起こすと、羽交締めにした。

「口に突っ込め岡田!!」

「オッ、オウ」

岡田がシチューにスプーンを突っ込もうとすると

「ちょっと待って」

とシモキンが止める。


シモキンが自分の生首を両手で持って、シチューの上に寄せた。

首の切れ目には、赤黒い固まりかけた血が付いている。

夢ならば本当にリアルだ。ーー夢であって欲しい。

シモキンの唇が動いている。

ちがう。

何か小さいものが、動いている。

それが一粒、シチューの上に落ちる。

米粒のようだ。希は目をやる。

そして、ギョッとする。

落ちたのはーー


ウジ虫だ!?


そう思った次の瞬間、シモキンの口から大漁のウジが次から次へと

シチューの中に投入される。

腐っているのだ。腐り中でウジが湧いている。

シモキンの首は希と目が合うと、ウジのいっぱい詰まった口で笑った。


「さあ、どうぞ」

シモキンが、驚きで硬直している岡田に言った。

岡田は「……ああ」と返事し、ウジの山が蠢くシチューにスプーンを刺した。

掬うとスプーンの上に沢山の蟲が乗っていた。


岡田はそれを見て言う。


「やっぱ、これ夢だよ。だってーー」

「うわああああーーーー!! うわぁ、なんだよそれ? なんなんだよ」

スプーンの上のウジ以外の蟲達も、ウネウネとシチュー塗れの黒い体を蠢かしている。

熱いシチューの中で生きていられるわけが無い。

「やめて! ヤダヤダ!!」と

嫌がる希の鼻の先に、岡田は大盛りの蟲の乗ったスプーンを近づける。

希は口を閉じ、顔を背けた。

初恋の人にこんな仕打ちを受けるなんて。しかも、好きになった当時の姿の彼にーー。

「吉田! 口を開けさせろ!!」

「あっ、ああーー!!」

吉田は羽交締めにしている右手で、希の鼻をつまんだ。

「んっ!?ーーんんッ!!!!!!!!」

希は苦しさで、もがくがどうにも成らない。

ささやかな抵抗も虚しく、間も無くして「プハッ!! 」と口を開けた瞬間ーー。

岡田が山盛りの蟲の蠢くスプーンを口に突っ込んだ。

目を見開く希!!!

「吐き出させちゃダメよ! 全部食べさせるまで終わらない!!」

吉田はスプーンが突っ込まれたままの希の口を手で塞ぐ。

希の口の中で、何十匹もの蟲が蠢く。


んんーーーーッ!!!!!

んんーーーーッ!!!!!!!!


と希は唸り、急に頬を膨らますと


うッ!


と言った。

堪えきれず、口を押さえられたまま戻したのだ。

鼻の穴から、ゲロ汁が流れ出ている。

口の中で、ゲロと蟲達が混ざる。ゲロを蟲が泳いでいるのが分かる。

これを、噛み砕けというのか。


希は目を剥き、体は痙攣するように震えている。

そして、しばらくして力なく崩れ落ちた。


「あら? 死んじゃったわ。ゲロが気管に詰まったのね」

シモキンは笑った。

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