前へ目次 次へ PR 99/166 第99話 追記 一連の出来事を、冷たく黒い目で観察しているものがあった。防風林に止まっていた烏(からす)の群れ、その中で、大波が寄せてくる中でも飛び立とうともせず、じっと止まったままの一羽だ。 近くまで行ってよく見れば、違和感を覚えるであろう。不自然なほど真っ黒で、目も嘴も翼も脚も、まったく同じ色合いで区別がつかない。 そして、三本脚。 八咫烏(やたがらす)とも言われようか、その異形の烏は、大波が消え失せるのを見届けると、羽音も立てず、静かに飛び立っていった。