表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
湯けむり怪異譚「ぶらぶら」  作者: 秋野きつ
第2章 Black Cats
43/166

第43話 トラブルメーカー


 Black Catsの解散ライブ、そして六人様の訪いから日も経ち、静かな日常が戻って来ている。と言いたいところだが、そうはならなかった。


 ありえないほど美琴の機嫌が悪いのだ。蜜柑と五郎が隠し事をしており、問い詰めても嘘くさい調子で何もないと答える。二人と仲が良いだけに、不満も募ろうというもの。


 その煽りを食うのが葛音だ。普段は、短気な葛音が子供っぽく腹を立て、優しい美琴が受け止める、そんな感じなのだが、ここしばらくは葛音が理不尽な八つ当たりを受けている。戸惑いながらも、少しだけ嬉しくもあったという。葛音は思う。



 耳が聞こえなくなるまでは、美琴の方がやんちゃで、自分の方が大人しかったんだ。千里さんに出会ったのも、その頃だった。大人しくて、ベソかきで、美琴がいないと、すぐにいじめられていた。子供は純粋だなんて言うけれど、それだけに残酷だ。

 トンボの首をちぎって飛ばしたり、アブの羽をむしってみたり、そんなことと同じように、大人しい子供は、いじめの恰好の標的になる。

 その頃のあたしは、ただただベソをかいていただけで、自分の力で戦おうとか抗おうとか、逃げようとすらしていなかった。そんなあたしに、千里さんは抗うことを教えてくれたんだ。人に話すことや助けを求める勇気を教えてくれたのも、あの人だった。

 弱みを見せるのも、逃げ出すのも、格好悪くなんてない。蜜柑と五郎は何か隠している。美琴のためにも、千里さんに相談してみよう。



 そう思って葛音は、蜜柑と五郎の隠し事について相談することにした。が、千里は生粋のトラブルメーカーであったりなかったり……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ