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ルールは守って快適にね!

目的地のダンジョンは、前にゴブリンスタンピードの件で廃村になってしまったモノブーロ方面に向かって、そこからさらに北東へ倍とちょっとくらいの距離を移動したところにあった。


切り立った、見上げるのも疲れるくらいな崖のど真ん中に、これまた大きな穴が空いており、下へ続いていく階段が顔を覗かせている。

入り口の周りはキャンプ地となっており沢山のキャンプ用テントや行商人の露店が立ち並んでいた。時間が昼過ぎということもあるのだろう。そこまで人で溢れたりしているわけではなさそう。

それでもボクの村よりは遥かに活気もあるし、人も多かった。


「ボク、ここの露店を見て回るだけでも楽しいかも!」

「じゃ、入るぞー。」


「むぅ!」



自分で受けたわけじゃないけど、背伸びしすぎた難易度。

初めての地下型ダンジョン。

知らない人達とのパーティ戦闘。


……こんな条件の中、不安を覚えないほど図太くないんですよ。

むしろ心配で押しつぶされそうなくらい。


まぁ先生がそんなことで許してくれることもないんだろうけど。

ボクがこんなに急に成長させられる意味ってあるのかなぁ……。




中に入ると、鍾乳洞のような岩肌が続く洞窟になっており、ひんやりと冷たい空気が流れていた。

遠くで剣戟の音がいくつか聞こえる。


「よぉし。まずはこれを見ろ。」


そういわれてフラ先生の広げた紙を覗くと、地図が表示された。

直接紙に書いてあるわけではなく、多分これは魔水晶に保管されているデータの写し絵のようなものかな。投影されているって言うのが正しいかんじ。

なるほど、こんな魔法もあるんだ……。魔道具かな?


これを見る限り、1層だけでも大分広大で周囲長で16kmくらいの面積があるみたい。

……めちゃめちゃ広い。


「こ、こんなに広いの……? これって地下にも続いてるんだよね? 崩れたりしないの?」

「ダンジョンの壁はすげぇ硬ぇんだよ。フルカルドに行った時もお前の魔法で崩れなかっただろ?」


「あ、うん……。」

「ここが現在地で、ここが次の層への階段だ。」


先生が地図を指差していく。

地図に分かり易く記号が割り振られていた。


「さてレティーシア。問題だ。この地図を見てわかる特徴はなんだ?」

「え? ……う~んと……。」


地図は色んな道が細かく載っており、所々に部屋のような広い空間がある。

詳細を書き込める機能もついているようで、この1マップ上で取れる鉱石の場所や、危険モンスターの生息地、罠の配置にモンスターハウスの発生予測地点なるものまで表示されている。


単純にこの機能ほしい。魔法なのか魔道具なのか。




……あ、もしかして?


グリエンタールのマップ機能にマップ機能付加技能開放が追加されていた。

自動取得されている。


「なにしてんだ?」

「先生、ボクのマップに先生が見せてくれた詳細機能が追加されたよ。」


「ああ……? ああ、このマップオプションのデータか……。もうなんでもありだな。」


なるほど。マップオプションってことはスキルなのか。

紙に写して表示させてる方法は、別にあるってことね。


「で? 答えは?」


「あ、うん。どの層も入口と出口までが一本の大通りになってて、出口の手前に大きな広場があるところがどこも共通してるね。後は……比較的広い場所が等間隔で点在してたりとか……」

「そうだ。見るべき箇所は正解だが、出口と入口の定義が逆だな。出口ってのは外へ続くポイント。入口が次の層へのポイントだ。大部屋にも意味はあるが、今回は寄らないからな」


「なるほど。じゃぁボク達は今、出口にいるんだね。」

「そうだ。ダンジョンの壁は硬ぇが壊す方法が無いわけじゃねぇ。長年に渡ってすべての階層の出口から入口に向かって一直線に大通りを空けてある。まぁ深層に行きゃそうも言ってられねぇから、こんな便利な大通りはないがな。」


「へぇ。じゃあ一直線だね。」

「一直線なのは間違いねぇが、こういった大通りが作られてる広いダンジョンではルールがある。」


「うん?」

「目的の層についたら、大通りの近くで狩りをするな。」


「え? だって広い方が戦いやすい場合もあるのに?」

「轢かれるんだよ。」


「轢かれる?」


大きな車みたいな物でも通るの??


「あたしらはこれから200層まで突っ切る。その間大通りを真っ直ぐに進む事になるな?」

「うん。」


「進んでる間に大通りに沸いている魔獣やモンスターはどうなるかわかるか?」

「うん……? もしかして着いてくるの?」


あ、なんとなく意味がわかってきたかも。


「そうだ。しかも広く空間が開いてる1本道。かなりの数のモンスターが沸く。それを全部引き連れて、最後の大部屋で処理しながら進むんだ。」

「なるほど。トレインしてまとめて倒すのね。」


「あ、ああ。知ってたのか?」

「うん。なんとなく?」


実際には前世のゲーム知識の話だけどね。


「でも、それを最後に処理しないパーティとかいたらどうするの? すっごいモンスターが溜まっちゃうでしょ? 危険じゃない?」

「それは辞めておいたほうがいいぞ。討伐隊がギルドによって編成されるからな。」


「討伐隊??」


……()()


すると、先生がギルド証を取り出して見せてくれた。

んん!? 宝石みたいなすっごい綺麗な石が3つも埋め込まれてる!!


「え? それってもしかして魔宝石??」

「そうだ。で、この赤い魔宝石が埋め込まれてる上級冒険者には、そういう迷惑行為を行ったパーティへの制裁クエストが依頼されることがある。」


「制裁クエスト……。」

「そう。そして制裁クエストは基本”生死問わず”だ。」


やっぱり……。

集まったモンスターを討伐するクエストじゃなくて……


「え? それってもしかして……一発死刑もあるってこと?」

「99%以上死刑だな。捕まえて連行なんぞするより、その方が楽だ。」


ルールを守らなかっただけで一発死刑って……。

そりゃモンスターの大群を放つって、ある意味大虐殺レベルの犯罪とも取れちゃうんだろうけど……。


「こわ……。」

「だからそのルールだけは遵守しとけよ。クエストを発注されるのは情が湧かねぇように、基本そいつの事を知らねぇ奴らに出されるんだが、あたしはお前とやりあうのは勘弁だからな。」


「でも、冤罪とかだったらどうするの?」

「この世界には遠見って言う、神聖(ディヴァイン)種魔法があんだよ。神官どもが何人も必要な魔法だからそこまで連発できる魔法じゃねぇが、1つの場所に限れば過去を視る事も可能なんだと。冤罪なんて起こりようもねぇってことだ。」


「ちなみに自分も使えるのであるぞ!」


おおう……。ホーラントさんが胸を張りながらキラリと八重歯を光らせる。

なんていうか筋肉キャラって皆こんなに暑苦しいものなのかな?




でほホーラントさんが使えるって事は、やっぱり神聖魔法なんだ。

次元魔法じゃないんだね。


「へぇ……。」

「と、言うわけだ。これから200層まで一気にその方法で駆け上がるぞ。」


「……え?」

「遅れてモンスターに埋まるなよ。死ぬぞ。」


「えっ!? ちょ、ちょっとまっ……!!」



既に全員が走り出している。


まって!?

おかしいでしょ!!

なんで皆いつもボクを置いていくのよ!!


この大通りは直線で4kmはある。

もしも、どの層もこれくらい広いのだとしたら……?

休憩は取れるにせよ、200層へ行くってことは……




800kmを走り抜けろってこと!?




え?! 馬鹿じゃないの!!??

ボクはいつも40km走ったらもうへとへとなんですけど!!!



うわああぁぁぁぁ!!!


モンスターめっちゃでてくるし!


ゴブリンきもっ!

緑の波が押し寄せてきてるよ!?



ああ!? ウルさんがアルト様に抱えられてる!?


あれ!? メルさんもホーラントさんに乗ってます!!


先生! ボクは!?


なんでボクだけ走らされてんのよおぉぉぉ!!!!!




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