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先生の辞書に適正という言葉は載っていない。

「え? フラ……? え? ちょ、ちょっと……?」

「フラ?! レティーシアさんを連れていくのであろう? そんなクエストを受けて大丈夫なのであるか?」

「大丈夫だよ。さっきの魔法見ただろ? こいつは特別だからな。」


クエストを受けている先生を見て、メルさんとホーラントさんが慌てている。

行き先も受けるクエストも任せっきりにしたままだったけど、流石に2人の驚きようで気になったボクが受けているクエストを覗いてみると、とんでもないことになっていた。


どれを見てもクエスト難易度がおかしい。最低難易度が”N”だ。

……最高じゃないよ?

最低が、だよ……?


「へぁ!? 先生何してるの!? ギルドに注意されたばっかでそんなの受けたらまた怒られちゃうよ!?」

「おう。だいじょーだって。お前一応、一般昇級要件の1つはクリアしたんだろ?」


「……え? うん。F以上25件はクリアしたよ?」

「じゃあもう約束はクリアしてんだろ?またなんか言ってきたらそう言ってやれ。」


「え? レティーシアちゃん、もうそんな難易度のクエストをこなしてるの?」


アルト様がすごい驚いてる。


そりゃそうだよね。だって数ヶ月前は、ついそこでおじさん達にいい様にいじめられてた所を助けてくれた張本人だもんね。


「先生の研究室の先輩達がリードしてくれるからね? ボクは楽なんだよ?」

「そ、そうなのかい? それにしても早いねぇ。」


……ね、ねぇ……。アルト様気づいて? その難易度で驚いてくれるのは、普段のボクだったらとっても誇らしいしありがたいんだよ? でも、今からボクが連れて行かれそうになってるクエスト。そのレベルの話じゃなくなってますよ??




「レティーシアちゃんはすごいのね。まだ若いのに。」


ウルさんって何歳なのかなぁ?

ボクより小さいしすごい若く見えるのに……。

流石に女性に歳を聞くのは憚られるんだよね……。


って違う!

そんなことを考えてる場合じゃない。

抗議はしておかないと。

……絶対に結果は変わんないけど。


「ねぇ! 先生!! ちょっと待って!? 難易度”O”ってシュヴァルツ・クラウンウルフの時のランクじゃない!!! ねぇっ?? 高すぎだよ!?」


「あん時は緊急で難易度が上がりきらなかっただけで、あいつはOどこじゃねぇから安心しろ。」


それ安心するとこじゃないよっ!!


「え? レティ子ちゃんクラウンウルフ種と戦った事あるの??」


メルさんからの呼び名が愛称になったよ!

打ち解けるの早っ!


まぁボクもその方が気が楽だけども。


「は……はい。先生に連れられていった最初のクエストで戦わされました!」


この先生がどんだけ酷いスパルタ先生なのか、先生の周りの人に認識してもらおう。うん。


「え? 初戦がクラウンウルフ?? それってスパルタとか教育とかの域超えすぎてない??」

「おい、誤解だぞ? たまたまヴェーレ自然森林区にクエスト行ったらいたんだよ。」


「は? あんなとこにクラウンウルフ種なんているわけないじゃない。」

「だと思うだろ? あたしだってそう思ったさ。」


「いたのであるか?」

「いたんだよ。今レティーシアが着てる防具が証拠だろ。」


「え!? それシュヴァルツ・クラウンウルフの皮なの!? うっそ! ちょっと触らせて!?」


うぅ。。防具がぴったりしてるから、そこ触られるとこそばゆいんだよ?

ホーラントさんも触りたそうにしてるけど、流石にダメだからね!?


「うっわ、防御力もめちゃめちゃ高いシュヴァルツじゃない! すっごぉ! 何これ全部一点モノの素材じゃない! うっわ! いいなぁ……!」

「フラが仕留めたのであるか?」


「いや、レティーシアが自分で仕留めたんだよ。一人でな。」

「え? じゃぁレティ子ちゃん、初めて行ったクエストで、初めて戦った相手がクラウンウルフ種で、しかも倒したってこと?」


「そうなるな。」


……改めてそう言われると確かにそうだったね。


「よ、よく生きてたわね……」


ほんとだよ。


「フラ先生もアルト様も助けてくれなかったから、ボクも死んだかと思ったんだよ……」

「ちょ、え!? あると君もいたの?? あんたこんな子供になんてことさせてるの!?」

「ち、違うんだよ……。」


2人でわーきゃーやり始めた。

うぅ、夫婦仲を見せ付けられる方が今のボクには辛いんですけど……


……先生が笑いを堪えてるの、見えてるんだからね!?




「よし、じゃあ行くぞ。そんな遠くもねぇダンジョンだが、深部に行くからな。レティーシアは帰りが月曜になるが大丈夫だよな?」

「……大丈夫だよな? じゃないよっ! ボク何も聞いてないから用意も何もしてないんだよ!?」


「大丈夫だ。飯の心配はいらねぇぞ?ウルの料理は絶品だからな。」


確かに、さっきそんな話してたもんね……。

そんなに美味しいのかな??


食べてみたいかも……


ってそうじゃないよっ!!


「乙女にはもっと色んな事情があるんだよ!?」

「ああ、便所か? ダンジョンに潜り始めたらそういうのにもどうせ慣れとかなきゃいけねぇぞ?」

「大丈夫よ! ホーラントは私が見張ってるわ!」

「メメメ、メル!!! 何を誤解されるようなことを言い始めるのであるか!?!?」


ホーラントさん!?

そこまで慌てられると逆に心配になりますよ!?


「ちょっと!? 先生! そういうことを男性の前で言うのはどうかと思うなっ!」

「お前もまだまだ若ぇなぁ。」


若いんだよ!

まだ15歳だよお!!

精神年齢は先生よりも上だろうけどもっ!!!


「そ、それに着替えとか、寝る時の一式なんてボク持ってもいないよ?」

「ああ? お前には必要ないだろ?」

「ちょ、ちょっとフラ……それは流石にレティ子ちゃんが可哀想よ」

「そうであるな。流石に教育者としてどうかと思うぞ。」


「ちげぇよ。なぁレティーシア」


転移スキルで帰っていいってこと?……だよね?

でも、その場合ここにいる皆に見られちゃうことになるんだけど?


「え? でも……? いいの?」

「ああ、こいつらか?こいつらは気にしなくていいぞ。……ってかそのつもりでここに連れてきてるからな。後、戦闘中の検証もちゃんとしろよ? こいつらは気にすんな。ちょっと気を取られたからってやられるタマじゃねぇよ」


「うん? レティーシアちゃんには何か対策があるのかい?」

「まぁ見てからのお楽しみだな。」

「ボクだけそれだと、なんか皆さんに悪いよ……。」


「気にすんなって言ってんだろ? あたし等は慣れてんだよ。ダンジョンで寝泊りとか日常茶飯事だ。」

「なんかそれが日常ってすっごい嫌だけど、まぁその通りではあるわね。」

「ほ、本当に大丈夫? あると君の寝袋とか使ってもいいんだよ?」


最初からわかってた事だけど、ウルさんがめっちゃ優しい。

アルト様の奥さん……嫌いになんてなれないなぁ……


「じゃあ僕はウルの寝袋で一緒に寝ようかな?」

「えっ?」


ウルさんの顔が赤くなる。





……リア充爆発しろ!!


「あ、いいです。ボクいらないんで。」

「そ、そうなの……?」


突然の態度の変化に、先生以外の皆にはてなマークが浮かんじゃったけど、こういう気持ちは理屈じゃないからしょうがないんだよ?


リア充とか爆発してればいいと思う。





さて、今回行くダンジョンは、王都から見て北北東。


王都の北西に大きくかかっている山脈は、国境付近で王都の北から北北東を通り、グルーネの国境を越えてさらに北東に続いている。


その国境あたりにかかる山脈の麓にダンジョンの入り口があるらしい。


今回は、前回行った運河のど真ん中にあったダンジョン『フルカルド』の様な塔型ダンジョンではなく、地下型ダンジョンなんだそうな。




ダンジョン名『ロカスエロ』


未攻略ダンジョンで、現在の確認最高深度は360層。

低層は初心者でも安心して行ける難易度らしく、深度が上がっていくたびにどんどん難易度も上がっていく、ダンジョンらしい構造になっているらしい。


ボク達が今回向かう深度は、約200層とのことだ。




今回フラ先生が受けたクエストは……


鉱石が殆どな採集系 難易度”N”が3種に”O”が2種。そして”P”が1種ある。


鉱石採集だけでこんなに難易度が高いのは、採集できるフロアの難易度によるってことなんだろうけど……。片やボスクラスの敵と戦うのと、片や洞窟を掘るの……。ちょっと納得がいかない気もするんだけど、そんなもんなのかな??


魔獣・モンスターの討伐系 難易度”O”が38種 難易度”P”が21種 難易度”Q”が13種 そして難易度”S”が1種ある。


S!? そんなのが出現する可能性があるの??

ボク、本当に大丈夫なんですかね……? 一緒に行く皆は大して驚いてもいないどころか、そんなに難しいとすら感じていなさそうな空気を出しているから……最悪守って貰える難易度ってことなのかなぁ。


心配ではあるんだけど、それなりにわくわくしちゃってる自分もいるんだよね。


収集品系 難易度”O”55種 難易度”P”76種 難易度”Q”58種 難易度”R”9種 難易度”S”3種


モンスター種が多いこともあるけど、ある程度難易度が高いと収集品系のクエスト依頼は飛躍的に多くなる。入手手段がどんどん限られていくわけだからね。


低難易度の収集品や採集クエストは、必要な分しか貼りだされる事はないのだけれど、ある程度以上の難易度の物は、必要数に限らず基本貼りっぱなしになっている。


必要数以上のものを仕入れてしまっても最悪売りさばけるし、また次はいつ手に入るか予測もつかないわけだから、在庫として抱えられるものであれば、あっても無駄にならないってわけだ。


さらに、上級冒険者の試験要項である”O”を越えると入手難易度が飛躍的に上がる為、難易度”P”以上のものになるとクエスト成功報酬も難易度に比例して飛躍的に上がる。


今回行く200層あたりは、一般冒険者から上級冒険者への試験要項になる”N”や”O"あたりの階層になるようなので、そこまで高難易度の敵がいるわけじゃないんだそうな。




……ないんだそうな。

ねぇ。

先生。


忘れてないよね?

ボクは『フルカルド』に行った時は4層で引き返してきた登録冒険者なんですけど。


まぁ、気持ち的には? ……のんびりされるより考える暇もないくらい忙しい方が、今のボクにはちょっとありがたいのかもしれないなぁなんて部分もあったりするよ?

どこぞやから発生してくるピンク色のオーラが、ボクに継続ダメージを与えてくるわけだし。



はぁ。爆発しろじゃなくて、爆発しちゃおうかな。

ウルさんは流石に可哀想だけど、アルト様くらい爆発してもいいんじゃないかなぁ???? ねぇ? いいよね?


はぁ。




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