表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/515

え?黒いんじゃないよ?お上手っていってね?

「あの! ボクみなさんの魔法見てました! ボクなんかより、すごいお上手じゃないですか! よければボクにも教えてもらえませんか?」

「はぁ? なんで私があなたなんかに教えて差し上げなきゃいけないのよ。」


「ボク、勘違いするくらいには王子様に声かけてもらったりしてましたよね? じゃあ、ボクみたいな平民の出来損ないに教えてくれる優し~い貴族の方がいたら、それは王子様達の評価も上がると思いませんか?」


「は……?」

「えっ……?」


お、揺れてる揺れてる。

思いのほかうまくいったかも。もうひと押しかな?


「あぁっ!そ、それと小汚かったらごめんなさい。もしよかったら、皆さんがおすすめの石鹸とか教えていただけないでしょうか? ボク、数か月前まで農家の小屋暮らしだったので、みなさんが使っているような高級な生活なんて夢のまた夢で……。憧れちゃうな。」


必殺! 潤い上目使い!

効果! これで落ちなかった近所のおじさんはいない!


「わ、私いいわよ。貸して差し上げても。」


後ろの方から声が聞こえた。1人落ちればこちらのものだ。


「えっ!? 本当ですか……!ありがとうございます!」


手を握って胸まで持ち上げる。

にこっ


「皆さんお優しいんですね。忠告までいただいて、目もかけてくださるなんて!」


一人の手柄じゃなくて全員が優しかったことにしてあげる。


「え……?」

「あら……。」


戸惑ってる戸惑ってる。

もうこの空気でボクに色々言ってられないでしょ?

子供のころからおじさんたちを説き伏せてきた処世術。

なめないでよね。


とは言えこのままでは持ち直されてしまう可能性がまだある。

逃げ場も無くしてあげないとね?


「どうせなら皆さんがボクに良くしてくれてるとこ、王子様達に見せに行きましょうよ!」


握った手をそのまま引っ張って中央へ歩いていく。

今の今まで悪い事をしていた意識があるのだろう。引っ張る手には少し抵抗があった。


「あの、キーファさん……ですよね?」

「え?何故私の名を?」


手を繋いでいる子の名前を確認する。

ふふふ。グリエンタールはノートに取り憑く悪魔もびっくりの相手の名前知り放題なのだ。


「皆さんの事、素敵だなって思ってたんです。だから名前とか知ってて……。」

「そ、そうなの……」

「あ、ここら辺なんてどうですか?王子様達からも良く見えますよ!」


開けた場所までキーファを連れてくると、後ろからさっきまでボクを取り囲んでいた女性陣がついてきた。まさかボクがこんな事を言ってくるなんて夢にも思わなかったのだろう。


驚きすぎて頭が回っていないようだ。

ボクに突っかかってきた女の子も、キーファの真横まで連れ出される。

もう部屋の中央も中央。明らかな集団の移動に、王子様2人どころか他の視線さえ集まってるんだから、陰湿なことなどできようも無い。


「あ、イリーアさん!」

「え?!なぜ(わたくし)の名を??」

「皆さんの名前は存じてますよ? ボク、皆さんのような優雅な女性に憧れていたので!」


にこっ。


あ、あの顔はほぼ皆落ちた。


「ささ、ここで是非魔法を見せてください!」

「え?ええ……。こ、こうかしら?」


イリーアが水元素魔法構造を、わざわざ登録から発動まで律儀に見せてくれる。

一応この集団の中でも一番能力が高いのは明らかにこの子。

お手本として担ぎ上げ、最大限の能力を発揮してもらう。


実際の所、他の生徒に比べても明らかにイリーアとキーファの魔法知識は高いと思うんだよね。

やっぱり嫉妬とかしなければこの子達もいい子なんじゃない。


「わぁ! すごいですね!」


少し大きめの声でそういうと、王子達の視線がこちらに向いた。

ここぞ! というところでイリーアの手を握る。


「すごいなぁ。今度講義の外でも仲良くしていただけますか? 石鹸とかお洋服とか、ボク興味あって!あっ……ボクにはその……お金とか、無いんですけど……。眺めるくらいなら、できるかなって……。あはは。」


王子様達の視線にも気づいているのだろう。

これでボクを無碍にも扱えまい。


「え、えぇ。もちろんよろしくてよ……?」


「今日の放課後なんて皆さんでどこかに行きませんか!?是非ボクに色々教えてください!」

「あ、あら……いい……わよ? あれ?」

「か、かわいい……。」

「ねぇ、じゃあ今日お洋服でも見に行かない?私レティーシアちゃんに何か買ってあげようかな。」

「あ、いいね。じゃあ授業終わったらいつものとこね!」

「レティーシアちゃんは食堂で待っててくれる?」


結局落ちちゃえば早い物だった。


「あ、はい! 待ってますね!」




この流れですっぽかされるとかないよね……?


「お、レティ。今日買い物に街に出るのか? じゃあアレクも連れてってやれよ。」


リンク様が珍しい事を言いながら近づいてきた。

自分じゃなくてアレクを押すなんて……?


ああ、周りの女性陣がいるから嫌なのか……。


「え? 僕が行ってもいいのかい?」

「ええ! 是非アレク様もいらしてください!」


「お前、レティに言っとく事もあんだろ?ちゃんと話もしねぇと何もはじまんねぇぞ。」

「う、うん……そうだね。」


ん? なんだろう。

ボクに言っておくこと?

こないだのリンク様と同じ件なら流石に今日のこのメンツでは勘弁して欲しいんだけど……?


まぁ、アレクが来てくれるならここですっぽかされる事もないだろうし、流石にアレクは空気を読める王子だし。大丈夫でしょ。




にしても大分うまくいったものだ。

人生経験は40年を越えたボクにとって、この程度造作もないことよ!!

人付き合いは……大してないけどね!




まだまだ生まれてきて15年やそこらの女の子なんて手のひらの上で転がせるんだから。






よろしければ、ご意見・ご感想お聞かせください。

ご評価・ブクマのワンクリックがとても励みになります。是非よろしくお願いします。


勝手にランキング様に参加しております。応援していただけるようでしたら、

勝手にランキングのリンクをぽちっとお願いします!1日1投票できます!


ブックマークのクリックはすぐ↓に!

ご評価いただける場合は、『連載最新話』の↓にスクロールするとアンケートが表示されています

是非よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ