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人以外の種族ってこんなにいたの?

青ベースの硬い布素材で出来た上着。モンスターの毛皮かな?

それと、ショートくらいの丈しかないパンツ。

軽い金属製の肩当て、上着と同じ布素材でできた腰垂。

後金属製なのに、ものすごい軽いブーツ。


すべて同じデザインのセット物。

装飾がものすごく綺麗で目を奪われる。


布素材といっても、胸からお腹といった急所に当たる部分に、チェインメイルの様な金属が布と布の間に編みこんであり、槍でもつき抜かれないそうだ。金属のような光沢をしているので、パッと見金属の防具に見えるけど、それにしてはものすごい軽い。


上着の防具だけでは肩がすべて露出する形になっており、セットでちゃんと肩当てがある。面積の少ない肩当ては殆ど金属でできている。ブーツは足先とくるぶし周り、脛の部分は強固に作られているが、金属的な重さを殆ど感じないくらいの軽さ。


パンツは短めでショートパンツくらいの丈しかないけど、腰垂がパレオのように隠してくれるため、そんなに気にもならない。


この腰垂。店員さんが素材になっている布地を引っ張って広げ、剣で振りぬいたのに切れなかった。どこぞやの魔獣の毛皮でできてるのだとか。それがこの防具の布地全体に使われているということで、見た目よりも遥かに強固らしい。


すべてのデザインが統一されていて、天使文字という装飾が縁に沿って装飾されている。

青地の光沢のある防具に金色の刺繍。胸には十字の装飾。


そして一番の決め手は、上着に編みこまれている金属がブラの役割をしてくれることだ。

そのお陰で胸も固定されてとても動きやすそう。


かっこいいしかわいい。

機能性も文句のつけようが無い。


ただ、問題点としては……。


おじさん達に買ってもらった通称”痴女スーツ”……ボクは認めてないけど……も、青ベースの装備なので、装備が青に寄ってしまったことと……


予算を大幅にオーバーしたことだろうか……。


金貨6枚を越える、ほぼボクの全財産。


これを買っちゃうと仕送りもできなくなるし、生活も苦しい。悩むなぁ……


「ちょっと予算が苦しいか?」

「う~ん。ちょっと苦しいかも」


何か売れるものでもあればなぁ……。あ……? そういえばシュヴァルツ・クラウンウルフの皮、売れないかな? あの時先生は金貨20枚くらいにはなるって言ってなかった?


「あ、先生。シュヴァルツ・クラウンウルフの皮とか一部でも売っちゃえば問題ないかも? ああいうのってクエストが出てない場合どこに売ったらいいの?」

「ん? あの皮何にも使わずに持ってんのか? ……それならこの防具の皮を張り替えて、残りを店に売っちまったらどうだ? この防具の皮はブラウ・サフィアレーヴェって魔獣の皮なんだが、こいつもレアだがシュヴァルツ・クラウンウルフほどじゃねぇ。防御力も柔軟性も軽さも後、保温性もだな。段違いに性能が上がるぞ?」


「え?そんなことできるの?」

「ここは冒険者ギルド専属の防具屋だぞ? 素材の持ち込みは当たり前だ。聞いてみろよ?」


「え、うん。」


大きなお店の一番奥。カウンターに並んでいる売り子さんに話しかけてみる。


「あの……。素材の持ち込みで作ってもらいたい防具があるんですけど……。」

「はい! カスタム品の受注生産ですね! 承ります!」


営業スマイルの明るい元気な女の人だね……。


「どのような素材で、お作りになられる防具の型や種類、ご希望などはございますか?」

「あ。はい。防具の形状は、あそこにあったあの防具セットのようにして欲しくて……」

「あ、アンゼケーニヒンメイルですね。あれ可愛いですよね! お勧め品です!」

「は、はぁ……。それで素材なんですが、あれの皮素材をシュヴァルツ・クラウンウルフの皮でお願いしたいんですけど……」



「……え?」


店員さんの営業スマイルが一瞬で消え真顔になった。

あれ?ボクなんかおかしい事いったの?

先生の言いつけどおりに言ったと思うんですけど……?


「えっと、ごめんなさい。シュヴァルツ・クラウンウルフ……ですか?」

「はい。」

「現物ってございますでしょうか……?」

「え?寮に帰ればすぐとってこれるけど……」


「本当ですか!? で、ではこちらも職人を呼んでお待ちしておりますので、お持ちしていただいてもよろしいでしょうか!!」

「あ、はい……」




持ってこいと言われたので、先生を1人残し寮へ戻って皮を持ってきた。

戻ってくると、なにやらものすごい暑苦しい人だかりが出来ている。


「あの、持って来ました」


先ほど受け付けをしてくれていた女性に話しかけると、わらわらと小さいおっさん達が集まってきた。

う……少しトラウマが蘇る。


「わりぃ、こいつおっさんが苦手なんだ。取り囲むのはやめてやってくれ。」


フラ先生が小さいおじさん達を退けてくれる。助かった。

変わりに1人の小さなおじさんが出てきた。


「す、すまん嬢ちゃん。驚かせたな。ワシは王都の鍛冶ギルドを取り仕切ってるヨルテっつーものだ。嬢ちゃんが防具の型として選んでくれたあのメイルを作ったのもワシだ」


「おう、ヨルテ。お前もシュヴァルツクラウンの皮に釣られてきたのか?」

「なんだ、フラじゃねぇか。もしかしてお前が取ってきたのか?」


2人は知り合いらしい? まぁ有名な冒険者と国で一番大きな鍛冶ギルドの長が知り合いでもおかしいことはないか。


「いや? あれはこいつが取ってきたんだぞ?」


「ほう……。ちょいと見せてくれんかね?」


そう言われたので皮を取り出す。

先生がちゃんと加工してくれたので、劣化もなく綺麗なまま。


皮を取り出した瞬間、小さなおじさんたちに群がられてしまった。

ボクは皮をヨルテさんに渡してしまい、そそくさと群れの外へ逃げる。


「聞いたことあんだろ? こいつらはドワーフ族っつー鍛冶馬鹿な種族の奴らだぞ」

「馬鹿いうな。それにワシらはハイドワーフだ」


「ああ、わりぃ。あたしらには見分けがつかねぇからな……」

「おいおい、この髭の煌きの違いがわからねぇのか!?」


「わかんねぇよ」

「ったく。これだからロイテ族はよぉ」


ロイテ族ってなんだろ?

わからないけど常識なのかもしれない。

小声で先生に聞いてみよう。

わからない事を聞く事は恥じゃないもんね。


「先生、ロイテ族って何?」

「ああ、他の種族から見たあたしら人族の呼び方だ」


「へぇ……ボク、ドワーフって初めて見た。なんか小さくて可愛いね」

「お前、基本なんでも可愛いで済ますよな。こんなグロイちっけぇおっさんのどこが可愛いんだよ」


「おい、フラ。このシュヴァルツ・クラウンウルフの皮。2枚になってるが、もしかして倒す時に胴を切断して倒したのか?」

「ああ。そうだぜ。こいつがな。」


「な、本当か!? こいつの皮はワシの工房でも裁断するのにめちゃくちゃ時間と労力をかけるんだ。それを戦闘中に一瞬でやったってのか? どうやんだよ!?」

「そりゃお前、秘密だ。教えるわけがねぇだろ」


え? そうなの……?

そういえば単一次元魔法ってあんまし使える人いないんだっけ。


「そ、そりゃそうか……。もし型紙を渡すから、それ通りにこの皮を加工してくれって言ったらできるものか?」

「どうなんだ?レティーシア」

「うん? 形通りに皮を切ればいいんでしょ? できると思うよ?」


「……本当に嬢ちゃんがやったんか……。」

「言っとくが、あたしでもシュヴァルツ・クラウンウルフの胴を戦闘中に分断するなんて離れ業はできねぇよ」


「だろうな……。よし。なら話は早い。嬢ちゃんが型を切ってきてくれたら、加工費はいらん。ワシだけじゃなく、この皮で防具が作れるのは職人として光栄だからな。むしろワシから頼みたいくらいだ。ただ、あの防具のような金属を編み込んだり刺繍や装飾を施すとなると、それぞれの穴もすべて空けてもらわにゃならんのだが……。」


「じゃぁヨルテさん? にだけ加工を見てもらうっていうのは?」

「いいのか!?」

「ああ、まぁ正直見てもどうせ理解できんだろうが、加工に立ち会うのはヨルテだけ。部外秘だ。一応こいつの固有魔法は学園をあげて研究対象になってるからな」


「そ、そうなのか。嬢ちゃんすげぇんだな……」

「むしろ学園をあげて研究対象になっていることを、ボクは今初めて知ったよ……」


「よっしゃ! じゃあ嬢ちゃん、ワシの工房へ案内するから来てくれ。今日中に全部やってやる!!」

「え! 今日中にできるの!?」


「ふっふっふっ。ワシを誰だと思っておる。」



これから王都も活気付く時間。


自信満々に意気揚々と歩いていくヨルテさんに着いて王都を歩いた。






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