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先生の贅沢な使い方。

「おはよ~ございま~す」


「おー、レティーシアちゃんおはー」

「おはよー今日も可愛いねー」

「えへへー」


「今日は特殊魔法課の授業はない日だよね?」

「ですです~。せんせーいますー?」


「魔法科の研究室にいるよー」

「持ってっちゃってもいいよー」

「お、そりゃいいや!」


「え?いいんですか?」


「いいよいいよ! あ、でも俺等が言ってたのは内緒な」

「あははは! 先生がいると訓練まじ厳しいんだよ。まじ地獄」

「うわぁ先輩達も大変そうだね~」


「まぁ2人で扱かれるレティーシアちゃんほどじゃないけどね~」

「そりゃ違いねぇ!」


「え~? 先生結構優しいですよー? 死ぬ直前まで助けてくれませんけどー」


「……え? そりゃ俺等より厳しいわ……」

「……。」

「……。」

「それで優しいって……。レティーシアちゃんってもしかしてドM?」


先輩達から皆して一斉に引かれるのはちょっと心外だよ。先輩達だって結構厳しい事やらされてるんだけど、この人達自覚がないだけなんだもん。

ボクが死に掛けるのは、先輩達よりも明らかに劣るからなんだよ。


「ちょっとー! 先輩達、変態な妄想しないでくださいよ!? ……じゃ、先生借りてくねー」

「どうぞどうぞー」




冒険者ギルドに呼ばれてからしばらくして、フラ先生の研究室に属している先輩達とクエストに出ることが多くなって、大分ボクも先輩達と仲良くなってきたと思う。


先生の研究室に入っていない人と組むこともあるけど、圧倒的にここの人達と組むことが多いし、特殊魔法課の授業の時も兵科の研究室を通らないと魔法科の研究室にいけないため、週にかなりの回数顔を合わせるようになってきたしね。




「せ~んせ。今日暇ー?」

「……。レティーシア。お前あたしがこの学園で何やってるか知ってるか?」


「え? 先生だけど?」

「おう、わかってんじゃねぇか」


「で? 暇?」

「……。お前馬鹿だろ。」


「ひどーい! 大事な用件があったのになぁ。」

「大事な用件だぁ?……なんだ?」


「ここじゃわからないよ?」

「お前、あたしが研究室2つもってんの知ってるよな?どんだけの生徒見てると思ってんだ。」


「2つって言ったって、研究室に入ってる生徒は兵科の先輩達で、魔法科のほうは研究員の先生だけじゃない。兵科の先輩達はいつも先生が組んだ特訓メインだし。先生そこまで見てなくない?」

「……。そ、そんなことはねぇぞ……?」


「後、先輩達からは先生の貸し出し了承ずみです~!」

「ああ? あいつら……。OKちょっと待ってろ。メニューだけ考え直してくるわ」


そういうとフラ先生は兵科研究室へ出て行った。

向こうから先輩達の悲鳴が聞こえる。



そういえば先輩達が貸し出してもいいって言ったこと、言わないでくれって誰かが言ってたような……?

ま、いっか。



「よし、いいぞ。どこへ行くんだ?」

「王都ー!」

「はぁ?」

「じゃ、しゅっぱーつ!」


兵科研究室を通って部屋から出る時、先輩達が涙目で見つめてくる。

……ぼ、ボクなんのことかわからないよ……?

そ知らぬ顔で目を合わさぬ様そそくさと研究室から逃げ去った。


皆、がんばって。

骨は……気持ち悪いから拾わないけど……。

そのうち風化する頃に見に行ってあげるからね……。

覚えてたら。




王都に着くと、そのまま防具屋に直行した。

今日は寄り道でもして余計なことに足を突っ込まされたくない。

フラ先生といると大概意味わかんないことしか起きないんだもん。

用件は済ませないとね。


「ああ? 防具屋? なんだ? 思い出の場所にでも来たかったのか?」

「思い出の場所って……それおじさん達に襲われた思い出? それともこないだの方のかな? むしろ思い出させないでほしいんですけど……」


「それ以外に何しにくんだよ?」

「ここ防具屋だよ! 防具を買いにきたんだよっ!!」


「ああ……? そういやお前いつも制服だよな。ついに防具買う気にでもなったのか?」

「ついにじゃないよ!! 前から欲しかったの!!」


「あぁ? ってきりあたしは防御なんてなくても攻撃は最大の防御を地でいってんのかと思ってたぜ? 攻撃されたら、あのたっけぇ制服買い換えなきゃいけないのが代償なんだよな?」

「わざとじゃないよ!? 何よその脳筋理論はっ! ボクは魔法士なんだからね!?」


「じゃぁなんで買ってなかったんだよ?」

「色々あったの! 防具買おうとすると邪魔が入るんだもん」


「つか、そのおっさん達に買ってもらったあの痴女スーツはどうしたんだよ?」


「痴女スーツって……っ先生!! あれ買った時、わかってて買わせたの!? あれどうやっても動いたら下見えちゃうからね!!」

「そりゃそうだろ。見りゃわかんじゃねぇか」


「先生……ボクは数ヶ月前まで普通に山村の農民の生活しかしてなかったんだよ……? わかるわけないよ……」


「だろうな?」

「わざとかいっ!」


「ぷっ。ま、まぁあれも下に着るものさえ買っちまえば使えんだから、それも買えばいいじゃねぇか。どうせお前、普段着だって痴女みたいな格好してんだし、変わんねぇだろ」

「……してないもん」


「予算はいくらあんだ? ちゃっちゃと買っちまうぞ。あたしはてっきり大事な用件とか言うから、お前の固有魔法についてかと思ったぜ」

「予算は金貨3枚か4枚に納まってくれたら嬉しいかなぁ」


「なんだ、結構使えんじゃねぇか。最近あいつらもお前のことよく話すけど、うまくやってそうだな」

「あ、うん。先輩達、フラ先生とは違ってちょーー大事にしてくれるよ?優しい。」


「あ?あたしもすげぇ大事にしてやってんだろ?」

「はいはい」


「ちっ。これなんかどうだ?お前向きで露出がたけぇぞ」

「露出なんていらないの!! 防具として機能して動きやすいのがいいの!」


「いや、動きやすいようにするから露出がたけぇんだろうが?」

「うん?」


「いいか? お前は魔法士だ。今んところは中衛ですらなく、後衛だ。だから基本的に敵と切り結ぶポジションじゃねぇ。なら重装備みたいなかてぇ防具に身を包んでもしょうがないよな?」


「え? 先生と一緒にクエスト出ると、絶対ボク、モンスターとご対面するんですけど?」

「…………それはほら。敵と直接戦える後衛と戦えない後衛。同じ後衛能力があるんだとしたら、どっちが強いと思う?」


「そりゃ戦える後衛だけど。」

「だろ? そういうことだ。」


「……。」


「ん゛ん。だからな? 本来は軽装ですらなく、ローブの方が望ましい。ローブってのは特殊素材で出来てるから、大気中のマナを自分の魔力に変換しやすいんだ。つまりは魔力回復量が段違いで増えるわけだな。魔法士ならその重要性はわかるだろ?」

「うん。」


「でも正直、お前に関してはまだあたしも知らねぇが、どう見ても魔力回復量も魔力量も桁違いでローブの効果は相対的に薄い。それなら動きやすくて防御力もあって、いざとなりゃ中衛も張れる軽装がいい。お前にはその能力もあるしな」

「なるほど。……まぁ能力のこと(それ)についても今日話すけど」


「ただし、最初から中衛や前衛用の軽装ほどがっちりする必要もねぇ。わかってると思うが、後衛ってのはポジション取りが重要で、戦況によって位置を常に変える必要がある。本来の戦いでいえば、後衛が敵に捕まるってのはイコール前衛の死を意味する。だから戦闘の種類によっちゃ前衛より遥かに動き回んなきゃいけねぇ。だが訓練の違いでやはり体力には差がでちまう。だからあまり重い防具で固める必要もねぇんだ」

「なるほどね~。シルみたいにがっちがちにする必要はないのね」


「ああ、シルヴィアか? あいつは大将タイプだからな。前衛でも中衛でも後衛でもねぇぞ。あいつは本陣のど真ん中で指揮を執るタイプだ。だから少しくらい重くても防御力があれば問題ねぇのさ」


「じゃぁそれを踏まえて見て見ようかな。できれば可愛い奴がいいなぁ。」

「防具に可愛いも何もねぇよ。」


先生がさっき取ってくれた奴も着てみる。

……ほんとに露出高いけど、これ防具なの?

鉄製の水着といわれても納得するよ? ボク。


「って、お前さっき魔力量のこととか話すっつったか?」

「え?あ、うん。別にそこまで隠してもいないし。王子にもシルにも慕われるような先生にボクのちょっとした秘密を話したくらいで損もないでしょ?」


「やっぱり秘密なんじゃねぇか。」

「う~ん、秘密というか、どっちかというと信じて貰えないって言った方が正しいかな。その点先生なら信じてくれるでしょ?」


「あ~、確かに。お前の異常さを目の当たりにしてるからな。何言われたって信じそうだわ。それこそ賢王の生まれ変わりだっつわれても信じるぞ」

「それはないかなぁ。残念だけど」


「まぁ店の中で話すことでもねぇんだ。防具買っちまうか。ついでに痴女スーツの下着もな」

「痴女スーツって呼ぶなし!」




結局最終的に選んだ防具は、普通に肌が見える軽装になってしまった。


だって可愛いんだもん。



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