待つのって大変。
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新しくできたカップルを煽りつつも前回より少し離れた大きな森に到着した。
アンドローザ森林地帯っていう場所らしい。
モンスターを探しても効率が悪いので、採集をメインに進めようと思う。
イオネちゃん大活躍。
シルは元々護衛のつもりで装備を固めていたらしい。あの重そうな装備で中腰なんて腰を壊してしまうから、クアルと一緒に警戒にあたってもらう。
ルアちゃんとイオネちゃんとボクの3人で採集をしていた。
特にモンスターに襲われる事もなく、順調に目的の採集物を集めていく。
時間はお昼くらいにはなっただろうか? 太陽が真上に見える。
「あ、あれもそうじゃない?」
「ほんとだ!レティーシアちゃんすごいね。いっぱい見つけて!私なんか全然……。」
「ええ?ルアちゃんさっきレアな奴見つけてなかった?あれって今の時期、見つけにくいらしいよ?」
「そうなんだ。でもそれ見つけたの1房だけだよ?レティーシアちゃんなんてもう入れ物いっぱいだね。この……なんていう薬草だっけ?いっぱい生えてるやつ。私レティーシアちゃんの半分もないや。」
研究科の授業で使っていた、小さな木作りの籠を入れ物に使っている。
ボクの顔くらいの大きさ。これくらいの量あれば結構いい感じなんじゃない?
「あれ?クアル。シルとイオネちゃんは?」
顔を上げると、クアルがボク達の護衛についていて、ボクとルアとの3人しか辺りにいない。2人が見当たらなかった。
「さっきちょっと奥に行きたいってイオネ様が。シルヴィア様もそれについていったよ?」
「あ、そうなんだ。一緒なら大丈夫だね。」
籠を次元収納に仕舞うと、体を伸ばす。
草を摘む体勢って疲れるんだよね。
「んっ……ふぅ。」
「うぅん……疲れたぁ。お二人はどこまで行かれたんでしょうね?」
「う~ん、戦闘音とかは聞こえないし、襲われてたりとかはしないと思うんだけど……。あ。」
「っ!!いや、こっちがまずそうだ。」
「えっ!?」
クアルが異変に気づくと、ルアも咄嗟に身構える。
グレイウルフが3匹。黒くない……黒くないよね?
「グレイウルフかぁ。よかった……。」
黒い狼でなくて一安心。
「二人とも、僕の後ろに!」
「っ!クアル!」
「大丈夫!お前は僕が絶対守るから!!」
「レティーシアちゃん!できれば1匹牽制をお願い!」
「ん?……うん?」
あれ? 妙に切羽詰まってるような気もするけど大丈夫……?
「はあぁぁっ!!」
3匹の群れのうちの1匹をボクが水刃で逸れさせると、クアルが残り2匹の方を目掛けて切りかかった。……ええ!? ボクの方が遠距離で牽制もできるわけだから、2匹の方を受け持つつもりだったんだけど、どうやらクアルは勘違いをしてしまったみたい。獣型の魔獣複数相手に近接武器で突っ込んでいくって、経験上かなりきついと思うんだけど、大丈夫なのかな?
ガウゥッ!!
1匹の脇腹を剣が薙ぐが、駆け出し冒険者の剣だ。切れ味が悪いのかグレイウルフの皮が堅いのか、切り傷すらつかない。
とはいえ、金属の塊が脇腹を抉れば相当なダメージだろう。目の前にいた1匹は吹き飛ばされていく……。ただ、そこには2匹のグレイウルフがいるのだ。そんな大薙ぎに剣を振ってしまったら……。
ガウッ
ぐちゅっ
という音と赤い鮮血がルアの目の前で噴き出す。
「クアル!!」
「っくそ!!」
ルアが、クアルの左足の太ももに噛み付いたグレイウルフに弓を引くが、鏃が直角に向かわなかったのか、グレイウルフの毛皮に弾かれてしまい、地面に落ちた。
「このっ!!」
クアルは必死に右手の剣で殴るが、一向に牙が外れる気配がない。
むしろめり込んでいってしまっている。
このままではまずい。太ももが抉られてしまう。
そう思い援護しようとすると、ボクが引き付けていたグレイウルフが急に方向を変え、クアルに向かって走り出した。どうやらボクの事は後にして、倒せるところから一気に行くつもりらしい。最初に脇腹を薙いだグレイウルフも立ち上がり向かってくる。
「危ない!!」
ルアはダメージの通らない弓を投げ捨てて短剣を構えると、グレイウルフに向かって走り出した。
「ちょっ!? ルアちゃん!?」
まって!?
いくらなんでも複数の魔獣に短剣1本で突っ込むのは自殺行為。
ましてやルアちゃんはクアルよりも軽装で短剣って言ったって本当にナイフ程度のもので、そこまで殺傷能力があるとは到底思えない。
美味しい餌がわざわざ向こうから突っ込んできてくれたのだ。クアルに向かっていた2匹のグレイウルフが急にルアに方向を変えて飛びかかった。
「えっ!!!」
「ルア!!逃げろぉ!!」
こりゃダメだ。
クアルの状況くらいだったら、ボクがいつもしている怪我なんかより遥かに軽い怪我でしかないからそこまで焦る必要もなかったんだけど、あのままルアちゃんが狼2匹に食いつかれたら普通に死んじゃう。
折角死亡フラグを回避したのに2人のどちらも死なすわけになんかいくもんか。
「風元素魔法術式・風刃」
水刃だと発生点の指定が自分から近すぎて、射線上にルアちゃんがいるこの状況では危険だったから、風刃を登録して発動する。
風刃であれば広域を効果範囲にできるし、発生点が比較的自由に行える。
水刃は水を高圧で、且つ高速で物質を切断するのに対して、風刃は広域に鎌鼬の発生領域を作り、任意の場所を切り裂く。単純な威力は水刃の方が圧倒的に高いけど、今回の様な応用性に関しては風刃に軍配があがるのだ。
戦場に一陣の風が舞う。
飛び掛ったグレイウルフはルアちゃんに襲い掛かることなく、そのまま地面に墜落した。
風刃の鎌鼬では、次元断裂ほど綺麗な切れ方はしない。
何本もの切り傷を残し、切り傷を重ねることで大きく抉り、胴を2分する。
もちろんクアルに噛み付いているグレイウルフも魔法の効果範囲内だ。
太ももに噛み付いている顔だけ残して、胴体が地面に落ちた。
「……へ?」
「は?」
地面にうずくまり死を覚悟したルアが顔を上げると、そこにはグレイウルフの死体。
クアルは引きちぎられそうだった足にかかる顎の力が緩んだのを見計らって顔を乱暴にはずす。
「いってぇ……。くそっ……ル、ルア! 大丈夫か!?」
「な、何が……?」
「ごめんね、遅くなっちゃって。」
「へ?」
「え?今のレティーシアちゃんがやったの?」
「……え?そうだよ……?」
「すげぇ……。」
グルルルル……
あ、血の匂いを嗅ぎつけたグレイウルフの群れが集まってきてしまった。
4……7……11……。
12匹に囲まれた。
「ごめん、僕が不注意に突っ込んで噛まれたせいだ……。レティーシア。僕が餌になる。ルアを……頼む……」
「え!?……な、何いってるの?クアル!……いや!いやだよ!?私達やっとこれからなのに!これからだったのに……。」
「僕はもうこの足だ! お前だけでも!」
「え?いや、別にルアちゃんつれて逃げたりしないけど……。」
「なっ……!! 今の魔法が連発で打てないのはわかる! でも頼む、ルアだけでもいいんだ! お願いだ!」
「二人の死亡フラグはもう立ってないんだってば。」
そういいながら魔法を構築する。
「二重構造土操作魔法術式・刺刑」
地面を針状に尖らせ隆起させる。
同時に12箇所。串刺し狼が出来上がった。
「は?」
「え?」
2人が痛みも恐怖も忘れ呆然としている。
でも出血が止まるわけでもないクアルがふらふらと倒れた。
あの出血量は流石にまずいかも。
治療してあげたいんだけど……。
ボクの神聖系魔法じゃ応急処置にもならないのよね。
イオネちゃん戻ってこないかなぁ。
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