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ギルドマスターに呼ばれました・・・。

日が明けて日曜日。

ボクはフラ先生と一緒に冒険者ギルドに来ている。


といっても、クエストを受けに来たわけではない。


ギルドの応接室にいるのだ。



……。


沈黙が続いて居心地が悪い。


部屋の奥で深そうな椅子に座ったおじちゃんとフラ先生が目線でバチバチやりあってる。

……どう見てもフラ先生が押しまくってるんだけどね。


あっ……バチバチしてるのおじちゃんの目の中まで押し込まれてるよ?

あいたたた。ご愁傷様なんだよ……。




まぁね。普通に考えればこうなるよね。

わかってた。うん、わかってたよ……。


だってボク、まだ冒険者ギルドに登録してから1ヶ月も経ってないのに……


シュヴァルツ・クラウンウルフを討伐して、いきなり難易度Oとか言うクエストが記録されたり?

サバキンを700匹も倒してきたり。

ゴブリンスタンピードの件で、パーティとはいえ本隊を殲滅してきたり。

さらにゴブリン討伐約250匹付きで。



まぁつまりは疑われているのだ。

フラ先生に付随した、パワーレベリングじゃないのか?ってね。


パワーレベリングっていうのは、能力が相応でもないのに、お金を払ったりして上級冒険者についていき、冒険者の昇格要項であるクエスト難易度をクリアしてしまうことを指している。


まぁ、実際結果だけ見たらそう見えなくも無いよね。

って言うかやりすぎなレベルでそれにしか見えないよね。

うん。ボクが管理する側だったとしても絶対疑うよ。


ボクはフラ先生の講義を受けている生徒って言うのもあって、生徒可愛さに先生が不正をしてるんじゃないか?とか思われてたりなんかりして。……いや、それだけは待ったといわせて欲しい。ボクはこの先生にアメなど貰ったことがないのだから。むしろムチばっかなんですけど。


初めて受けるクエストで肩に穴貫通させられるわ

狼に押し倒されて鋼鉄のような牙が喉元数センチのところで食いちぎられそうになるわ

魚が突っ込んできて銛のような槍でちくちくちくちく体に穴開けられるわ

ゴブリンの群れに突っ込んで後ろからぶっとばされるわ


……死ぬ直前まで助けてくれなくない??


ボク冒険者どころか魔法士としても!とても初心者なんですけど?

もっと甘くてもよくない???




「で?フラ。どうなんだ?」

「ああ?だからさっきから言ってんだろうが。こいつは異常なんだよ。あたしがそんな馬鹿なことしなくてもすぐに上級くらいなんだっつの。」


「でも平民の子なんだろう?それも学園に入ったばっかりの。」

「お前! それ本気で言ってんだったらギルマスなんぞ今すぐ辞めちまえよ!? その平民の子がうちの学園に入ってんだぞ? どんだけの天才だと思ってんだよ。」


「っ……ごほん。ま、まぁそれはそうだが……。でも、わかってくれ。それで理解するのは上級爵位の者だけなんだ。冒険者のほとんどは平民か下級爵位の者。そいつらには同じ平民か、もしくは下に見てる奴が多いんだよ。突然こんな難易度のクエスト攻略を、登録したばかりの冒険者がほいほいとこなしているなんてのはなぁ……嫉妬して告発くらいくるんだよ。……はぁ。」


「まぁ、んなこたぁわかってるよ。どうでもいいけどな。」

「お前こそわかっていないよ。困るのはそこにいるレティーシアくんだよ?アルトから報告もあったんだ。彼女、ここで襲われかけたらしいじゃないか。」


「ああ、あんときか。でも、流石にもう大丈夫だろ?なぁレティーシア。」

「え?……あ、うん……大丈夫……かなぁ?」


正直モンスターや魔獣は倒せても、人は違うかもしれないという気持ちはあるんだよね。


「はっきりしねぇなぁ。」

「だって、魔獣やモンスターは倒しちゃっても大丈夫だけど、それが人ってなると……やっぱり、ね?」


「うちの国は戦争だってあんだぞ?いつかは大規模な侵攻に晒されるかもしれねぇ。そん時にも同じことを言うのか?自分の身くらいちゃんと自分で守れよ。お前にはその力があんだから。」


「戦争とおじさん達に囲まれるのはなんか違うよぉ……。」

「あーあ、ほれみろ。自信がつく前にあんなことがあったせいで、ちょっとトラウマになってんだろうなぁ。なぁ? ギルドマスターさんよ? あれ、ギルド内の出来事だぜ?」


「……自分で話題に出しておいてなんだけど、それに関してはすまなかったよ。レティーシアくんも、その際は本当にすまなかったね……。取り締まりは強化しているんだ。ただ、今回呼んだのは別に詰問する為じゃない。別に彼女が能力を示してくれればギルドとしても何もいう事は無いのさ。フラがいない、登録冒険者や一般冒険者っていう単位でな。」


ちらちらとたまに向けられる値踏みされるような視線が、なんかうっとおしく感じちゃうのはなんでだろ。いつもならあまり気にならないんだけどな。

そのせいで一応言葉でされた謝罪も、あまり入ってこなかった。


ま、いっか。


つまりは先生抜きで実力を証明してみせろってことだよね?

どっちにしろボクだって、冒険者クエストに関しては本当に先生に頼りっきりなところもあったし、自分でやってみなきゃいけなかったのも確かなんだよね。


「あんだよ。そんなことならわざわざ呼ぶ必要もねぇだろうに。」

「我々もフラがパワーレベリングするような人物じゃないことくらいわかってるよ。まぁ冒険者ギルドなんてやってんだ。こういっちゃなんだが、馬鹿や荒くれ者が大半なんだ。そういう性質の悪い奴ほどめんどくさいんだよ。」


「全員間引いてやろうか?」

「本気でやめてくれ。彼らで回ってる仕事は多いんだ。」


「冗談だよ。ってことだ。レティーシア。」

「うん。そもそも、最初からそのつもりだったから何の問題もないよ?ボクは生活費を稼ぎたくて冒険者ギルドに登録したんだしね?特殊魔法課の講義のときは、フラ先生とクエストに出ることに問題はないんでしょ?」


「それは問題ないよ。できれば期限は1ヶ月以内に、ある程度のクエストをこなして欲しいんだ。出来れば一般冒険者の昇級査定を1つくらいクリアできちゃうくらいには。」

「はぁ?1ヶ月で昇級要件1つっておかしいだろ。異常なペースじゃねぇか。」


「できればって話だよ。でもそれくらいできるって事が知れ渡れば、難易度OやNのクエストをクリアしていることもおかしいとは思われないだろう?」

「そりゃそんくらいのクエストがクリアできんだったら、1ヶ月でそれくらいこなせるんだが、こいつは学生だぞ? 授業がある。冒険者とは暮らしが違ぇだろうが。」


「まぁまぁ。我々もそれくらいはわかっているよ。ちゃんと秘策はあるのさ。ギルドが支援しているとは間違っても思われちゃいけないから、表立っては協力はできないけどね。……これをごらんよ。生活費を稼ぎたいのであれば一石二鳥だと思うがね?」


ギルドマスターさんが束になっているクエスト用紙を先生に渡さす。

一枚ずつそれをフラ先生が確認する。


「ああ?……ああ……まぁ、これならできなくもねぇか……。」

「な?俺個人としても将来有望な冒険者をこんなくだらない嫉妬如きでつぶしたりしないさ。」


「今日は日曜か。別にあたしがついていかなきゃいいんだろ?」

「そういうこと。できればプトレマイオスはやめてくれ。」


ぷとれまいおす?? なんだろ、それ。


「わかった。レティーシア。今日は暇か?」

「え?うん。昨日イオネちゃんと約束して、適当にクエストする予定だったけど。」


「丁度いいじゃねぇか。」



そういうと、フラ先生が何かを紙に書き、まとめて渡してくれる。



クエストの受領要件や、適正メンバーの選定らしい。


あ、なるほど。

一般冒険者以下であればいいのなら、先生がメンバーを選定して講義の一環として優先でクリアしてしまえばいいのね。他の学園生も講義として受けられるし、ボクとしても色んな人と知り合えてクエストもこなせて生活費も稼げる。一石二鳥どころじゃないね。


しかもクエストの対象が全体公開になっていない。

つまりクエストを奪い合う事がないってことだよね。

確かに、それなら学園生活と平行してても問題なくこなせそう。


さらに、最近グリエンタールのスキル自体をいじっていなかったけど、知り合いが増えるということは、取れるスキルが飛躍的に増える可能性もあるってことじゃない?


こんなおいしい話そうそうない。


最初は怒られるのかと思ったんだけど、そうじゃなかったみたいだし。


なんだかわくわくしてきたな。




最近は、突然沸いてくる変なモンスターと戦ったりとかが多かったから。


こういうの、やってみたかったんだよね。




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[一言] 「それは問題ないよ。できれば期限は1ヶ月以内に、ある程度のクエストをこなして欲しいんだ。出来れば一般冒険者の昇級査定を1つくらいクリアできちゃうくらいには。」 ギルドに評価してもらう必要あ…
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