青と緑の差が違いすぎません!?
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「私が崩れた崖を固めます!」
イオネちゃんが大地元素魔法術式で這い上がってくる黒い塊を、崩れた崖の岩で押さえつける。
崖から這い出てきた黒い物体は、どうやら人形をしているようだ。黒い外見は炭のようにボロボロと剥がれ落ちているあたり、ボクの燃焼爆発をモロにくらって、焼け焦げただけで蒸発するには到らなかったのだろう。あまり密閉時間をとれなかったせいかもしれない。
フラ先生が直前まで近づくと、大きさが明確となった。
顔のサイズがフラ先生よりも少し小さい程度だ。
要するにものすごくでかい。
そのまま首と思しき場所を、フラ先生が移動中に取り出した大剣で刎ね飛ばす。中から青い血飛沫が噴き出す。続いて左腕をティグロ先輩が魔道剣で吹き飛ばし、リンク様は右腕を切り落とす。
辺り一面を青い液体が覆っていく。
「よし!」
「やった?」
「やったか!?」
「あぁっ! それっ……!! 絶対やってないから油断しちゃダメェッ!!!!」
ボクが叫ぶと同時に、切り落としたはずの首から腕が生え、落下中のフラ先生を殴り飛ばした。同様にティグロ先輩とリンク様も肩から生えた腕に殴り飛ばされる。
「うぐ……ぇ?」
「っく……あれ?」
「悪ぃレティーシア助かった」
吹き飛ばされただけでダメージを負っていない。
1人状況を把握したフラ先生だけボクにお礼を言った。
「治癒を!……あれ?」
殴り飛ばされたのかと思い、治癒に向かったイオネちゃんも止まる。
「大丈夫、殴られる前にシールド張ったから! 吹き飛んだだけだよ!」
もうっ! フラグの回収率良すぎでしょ!? お陰でボクもすぐわかったけどっ!!
空間に位置を固定してシールドを張るより、人に固定してシールドを張ることで距離を取ることができる。慣性で多少のダメージは受けてしまうが、奇襲を受けた現状なら距離を取った方が正解だろう。
「まじか。助かる!」
「ありがとう!」
「イオネちゃん、先生に跳力強化かけれる?」
「え? うん、できるよ!」
「先生! 上に跳んで!」
「強化っ!」
「わかった!」
空高く飛ぶ先生に向かって、ここぞとばかりに3本の腕が襲い掛かる。
「次元断裂!」
囮となった先生に向かい、ここぞとばかりに伸びきっていく青い上半身を切断。首を飛ばしてもしなないような生命力のカラクリはわからないけど、わからないなら細切れになるまでなんでもしてみればいいのだ。
3本の腕と胴体がそこかしこで分断され、ズルリと地面に沈んだ。
青い液体がさらに地面の色を塗り替えていく。
「……はぁ?」
「え?」
ティグロ先輩とリンク様は何が起きたのか理解できず、ただ呆然としているのが視界に映った。
フラ先生は着地のために飛天を繋ぐ。
先生が着地しようとした瞬間、グラっと地面が揺れた。
「まだ終わってない!!」
イオネちゃんが叫んだ。
下半身はイオネちゃんの魔法で地中に埋まったまま。
自分の魔法が突き破られるのを感じたようだ。
切断された胴体を突き破って中から一回り小さな青いゴブリンが這い出てきたのだ。
ほぼ真下を突かれる形となったフラ先生にそのまま襲い掛かる。
「ちぃっ!!」
咄嗟に防御するがさすがに直撃は免れない。
「うぐはっ!」
吹き飛ばされる体が土煙を起こす。
「先生っ!」
「フラ姉!」
咄嗟に前衛にでている2人が受け止めに入る。
「……っ悪ぃ」
ドズン!
先生がリンク様に受け止められると同時に、鈍い音が響き渡った。
受け止めるのはリンク様1人で間に合うと判断したティグロ先輩が、追撃に走ってきた青いゴブリンを止めたのだ。
金属を突き破る音。
嫌な予感が脳裏をよぎる。
「先輩!?」
「ティグロさん!?」
「ってぇっ!」
魔道剣につけてあるシールドだった。
シールドをものの見事に貫通しているが、ティグロ先輩に攻撃が届いたわけじゃないようだ。腕に絡め取られた魔道剣を諦め、ティグロ先輩が引いてくる。
手首が曲がらない方向に曲がっていた。
イオネちゃんが慌てて治癒を掛ける。
「武器をやられちまった。っくそ! 大事にしてたのになぁっ!」
「先輩っ!」
騎槍を生成して投げる。
「ないよりマシだったら使って!!」
「レティーシアちゃん有能すぎっ!!」
先輩の構えが変わる。どうやら槍術も修めているようだ。安心した。
大剣も作れるけど、今は魔法構造を調べて登録している暇がない。
青いゴブリンが壊れた魔道剣を腕から引き抜く影を縫って、フラ先生が胴に横薙ぎの一撃を放つ。
あっけなく貫通した。
しかし何度も通った道。油断もなくリンク様が追撃の一撃を追加する。
青いゴブリンが胴から上下に。
頭から左右に。4分割される。
べちゃ。
という音と共に地面に崩れた。
次の瞬間。
ボクの世界が廻る。
え?
「レティちゃん!!」
一瞬びっくりしているイオネちゃんの顔が映り、世界が回転する。
ものすごい衝撃を後ろから受けたようなんだけど、何が起きたのかわからない。
「っと!」
「っ……」
何度廻ったかわからないボクを、フラ先生が受け止めてくれたようだ。
突然後ろから、大きな鉄球で吹き飛ばされたような衝撃。
とにかく息ができない。
……苦しい。
「イオネ! レティを頼む!」
未だに何があったのかわからない。
「しっかり! 大丈夫だよっ!」
「っ……げほっ……けほっ……」
イオネちゃんの治癒に包まれる。とても暖かい。
「はぁ……はぁ……。うぅ、いてて……。な、何があったの?」
「大きいゴブリンの顔が! 後ろから!」
先生が最初に切り落とした奴か。いつの間に後ろに回ってたんだろ……。
意識がしっかりしてくると、フラ先生が主立って顔と戦っていた。
黒く焼け焦げた大きなゴブリンの顔に、青い手足が生えているのだ。見た目かなりキモい。
倒しても倒してもどこかが動き出す。キリが無い。
「あれ……?」
キリが無いけど、辺りを見回してみると切り落とした他の部分がすべてなくなっているようだった。
最初に落とした腕の2本がない。
細切れにしたはずの胴体がない。
後ろからまた襲われたらたまったもんじゃないので、辺りを見回してみるが、見当たらない。
今度は一回り小さな、さっきリンクとティグロ先輩に4分割にされた死体が、微妙に動いているのが見えた。
「イオネちゃん、3人のサポートお願い! ボクはもう大丈夫だから」
ズルズルと動いていく細切れが、地面に埋まった胴体にたどり着くと吸収されていく。
胴体まで近寄ると、青い体内が蠢いていた。どう見てもまだ生きている。ボクが近づいても敵対行動を取る気配はない……かな?
後ろでは、すばしっこい顔が3人を相手に立ち回っている。まだ仕留めきれていない。
あ、なるほど。もしかして意識が一つしかないのか。
「イオネちゃ〜ん、ここの地面緩くしちゃってくれる〜?」
「え? あ、は〜い!」
纏まっていた岩が解放されて崩れた。
生成した槍もそうだけど、魔法は定着させるまで継続的に魔力を消費してしまう。サポートに魔力を割きたい現状、無駄に消費していた魔力を節約してもらった方がいいしね。
「特殊魔法術式次元牢獄」
6面のキューブに蠢いている下半身を収納してしまう。
「リンク! サポートしろ! ティグロはあたしの後ろに回れ!」
「ああ!? 精霊魔法か!?」
……?
先生の赤い髪が燃え盛るように浮かんだ。
なんか先生が透けて……いってる……?
透けるといっても透明になっている訳じゃなくて、見た目通り炎のような透け方。
先生がこんな魔法使ってるの初めて見たけど……
リンク様が派手に敵に切りかかり、動きを止める。
次の瞬間、炎の化身となった先生が視界から消える速度で青いゴブリンへと一直線に突進していった。容姿もそうだけど、性能自体もものすごい変容。
こんなに離れた場所にいるのに、見失うほどの速さだった。
ぶつかり合っているリンク王子から引き剥がし片手で掴みあげると、そのまま地面へ叩きつける。
「ギィィィィィィイ!!」
初めて青いゴブリンが叫んだ。
甲高い鳴き声。
そのまま塵と化すまで燃やし尽くす。
次の瞬間、やはり意識が下半身に戻ってきたようで下半身が動き出した。
だけど既に牢獄の中。
「せんせー。捕まえたー」
「お、よくやった。なるほど、意識がどっかの体に乗り移ってんのか?」
「多分ね~」
「よくわかったな」
「まぁね~」
先生が普段の姿へと戻る。
「ふう……」
「先生、何それ? 奥の手ってやつ??」
「ああ、まぁそこまででもねぇが、そんなようなもんだ」
「ええー! 教えてくれないのぉ?!」
「別に教えてもいいが、今はそれどころじゃねぇだろ?」
「あ、確かに」
「キィ! キィィィィイイイ!!」
身動きが取れないことがわかった大ゴブリンが叫んでいる。
やはり黒いのは焦げた皮膚だったようだ。
いつの間にか皮膚まで再生した青いゴブリンが、キューブの中で暴れまわっている。
閉じ込めたのは下半身だけだったものがいつの間にかゴブリンの形に戻っていた。
下半身の大きさだけでも通常のゴブリンよりは遥かに大きいんだけど。
「あー、ひっさしぶりに見たな……やっぱりアークゴブリンか……」
「アークゴブリン?」
ボクよりも早くティグロ先輩が疑問を口にする。
「ああ。滅多に出会うモンスターじゃねぇが、ゴブリンの上位種だな」
「ゴブリンの上位種って、洞窟の前にいたようなゴブリンリーダーとか、ゴブリンソルジャーとか、んで最後がゴブリンキングっていうのじゃないの?」
「ああ、それが一番多い進化形態だな。場所や突然性やら、色んな条件もあんだろうが、それ以外の進化種も結構いるんだ。上位ダンジョンなんかは特に普通じゃない進化種モンスターの宝庫だな。あたしが前にアークゴブリンを見たのも、多分上位ダンジョンの中だ」
「それがなんでこんな所にいたんでしょう……?」
「さぁなぁ……? 突然のゴブリンの大群といい、それこそどっかのダンジョンでスタンピードかパンデミックでも起きたか? まぁ、とにかくこいつを倒しちまわねぇとな」
リンク様とティグロ先輩も一段落ついたのかと、ゆっくりと合流する。
「おいおい、これどうなってんだ? レティのスキルで捕獲されてるのか?」
「特に何も見えないけど、出てこれずにいるね。さっきの固有魔法で檻を消しているのかい?」
「こいつの倒し方はさっき見せたとおり、青い血肉を全部焼ききるんだ」
「あ、なら簡単だね……あ。そこら辺に散らばってる血は?大丈夫かな?」
「ああ、肉が無ければどうにもならねぇからな。問題ない」
ドオオオオォォン!!
「うおぉっ!?」
「うわぁっ!?」
「きゃあっ!!」
三者三様に驚いている。
先生はもう慣れたものだね。
カラン。
キューブ状に6面が連なった空間に魔宝珠が残った。
「お、せんせ! 魔宝珠だよ! やったね!」
「また魔宝珠か……こんなに頻繁にお目にかかるもんじゃねぇんだけどなぁ……」
「……はぁ。」
「……はぁ。」
「……あはは。」
どうやら3人も諦めモードに入ったらしい。
「お、魔宝珠がドロップする瞬間て初めて見たかもしれないな。なんの形だろ?これ」
ティグロ先輩が興味深そうに拾い上げた。
「花……? かな?」
「わぁ! 薔薇みたいですね!」
何事にも諦めって、肝心だよね。
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