こんなの見たら、実家が心配でしょうがないよ。。。
一応最初から登録必須キーワードに登録してありましたが、残酷な描写等が含まれ始めます。
苦手な方はご注意ください。
「何……これ……ひどい……」
目的地に着くと、イオネちゃんがその光景に膝を突いた。
目的地、モノブーロ村。
ボクの出身であるマーデン村と大して変わらない長閑な平地村。
マーデンは山村だから村の風景は全然違うけど、村の規模としては同じ位。
ただし……家は焼け焦げ、壊され、牧場があったであろう場所には、家畜のものだけとは到底思えない量の血が大量に大地に染み付いている。さらに村の広場には、ボクたちが直視するには無残すぎる光景が広がっていた。
人の一部。多分全部男の人のものだ。腕が、足が、顔が、胴体が。食い荒らされ、弄ばれ、そして一箇所に集められて焼かれたであろう積み上げられた死骸。
「うぷっ……」
すごい臭いがする。ボクも走り疲れた胃から胃液がさらに逆流しそうになる。
「ちっ。まじでフラ姉の言うとおりになってんな……。」
道中、なぜここが当たりだと思ったのか?という問いにフラ先生が
「被害報告が明らかに少なすぎるからだ」
と、答えたのだ。
つまり女の勘ではなかったと……ごほん。
……つまり被害が実際少なかったのではなく。
最初のクエストを依頼に出してから、次の被害を報告する前に全滅したのだ。
「レティ、ちょっと作戦変更だ。この被害規模はお前たちが本来受けるレベルのクエストじゃねぇ。お前の固有魔法をフル活用させてもらう。いいな?」
「うん。元々ボクは自分の魔法を秘匿するつもりはあんまりないよ? 魔法構造さえ公表されなければね」
そもそもボク、自分が本来受けるレベルのクエストなんか、やらしてもらったことないんですけどね? おかしいな。
「ああ、別にその心配はねぇだろ。魔法構造なんてわざわざ書き出さない限りわからんからな。……敵に見つかる前にやっちまおう。『クリア』で音と姿を遮断した場合、5人全員に掛けたら何分持たせられる?」
まぁ今回は第一王子もいれば戦闘要員ではないイオネちゃんだっている。
先生だって流石に無茶なことはできないのかも。
「5人かぁ……」
クリアで姿と音を遮断する場合、1人あたり約35の魔力を1分で消費する。
ちなみに、普通に考えればこの消費量はかなり異常。だって普通に魔法が使える人でも、魔力保持量は100を超えてれば多いほうなんだから。
ボクの魔力回復量が通常時1分当たりにつき69だから、それを差し引いたとしても5人に常駐させるとなると106の魔力を1分毎に消費してしまう計算だ。ボクの魔力量は2199なので、約20分と言ったところか。
「う~ん……5人全員にかけたら、たぶん20分くらいかなぁ。でも全魔力がそれだけで消費されちゃうから、他の魔法のことを考えたら……10分くらいが限度かも」
「2人の時とは大分違うな……」
それはそうだ。2人の時は1分に消費する魔力はたったの1。余裕を見ても2000分は使える。
フラ先生には、グリエンタールスキルのことは話していない。グリエンタールの魔力増幅による魔力回復量の増加について知っているのは、シルとイオネちゃんのみ。
多分、クリアによる姿と音の遮断が、ボクの魔力回復量がもっと低い計算で消費魔力もそこまで高くないんじゃないかと踏んでいたのだろう。
実際は姿を消すのがとても難しく、35のうちの30はそれだけで消費してしまう。音の遮断は空気振動を伝えなければよいだけなので、そこまで難しくないのだ。
「10分でレティの魔力が切れちまうのは問題外だな。ちなみにだが、魔力が枯渇してから全快するまではどれくらいかかるんだ?」
「ん。たぶん30分くらいだと思う」
「あぁ……やっぱりお前、魔力回復量も異常だろ」
「……さ、さぁ? ボク、他の人の数値とか知らないしね……?」
まぁ、普通に計算したら誰にでもばれるか。
もちろん自分の魔力回復量が異常なのはわかってるけどね。グリエンタールのスキルについては、そこまで公表する気もない。まぁフラ先生にはいつか伝えるんだろうけどね。
「じゃあ、あたしとティグロの2人に頼む。偵察だ。他の3人はここで待機。できれば敵に見つからないように隠れていてくれ」
「ほい」
既に登録してあるので、姿と音を遮断する魔法はすぐに発動した。
「えっ!?」
「は?」
ティグロ先輩とリンク様が突然消えた先生に驚いている。
そういえば特殊魔法課の授業内容を見せるのは、ティグロ先輩とリンク様には初めて。
続いてティグロ先輩にも同じ魔法をかける。
「じゃ、先生これ」
「ティグロ先輩。これを腰につけていてください」
いつもの通り、魔法をかけていない腰札を渡す。
横幅2cm、縦8cmくらいの単なる木札。
姿の消えた2人が持ち上げたのだろう。宙に浮いた。
音も聞こえないし姿も見えないので、基本消えてしまったらどこにいるかわからない。
そのため、魔法をかけていないアイテムを腰につけておいてもらうのだ。
木札が宙に浮いているようにしか見えないが、大した大きさでもないので案外ばれないし、本当にばれたくないところでは置いていけばいい。
ちなみに、ボクはグリエンタールのマップスキルで、知人であれば誰がどこにいるのかすぐに把握できるので、姿が消えていようがなんだろうが、場所は確認できるから問題ないけどね。
「ティグロ先輩。この魔法は先輩の姿と、出す音が回りに聞こえなくなるだけで、先輩の感触が消えるわけじゃないんです。だから敵も触れられれば気づきますので、気をつけてくださいね」
《わ、わかった……。本当に俺、消えてるの?》
「あ、ちなみに音も全部消しちゃってるんで、先輩とフラ先生がしゃべっても周りには何も聞こえないので、あしからずですよ」
《あ、なるほど……独り言になっちゃったのか……。まぁ聞かれてないんだからいいんだけど》
「……その魔法やべぇな。暗殺でも偵察でもし放題じゃねぇか……」
国の要人側であるリンク様が、ボクの固有魔法の重要性と利便性に考え込んでしまった。
「とりあえずボクたちはあそこの壊れた小屋の陰にでも行こ。人に視覚透過と音振透過を掛けるのには結構魔力使うんだけど、場所を指定して動かない場合は大して魔力を使わないから。先生たちも戻ってくる時はあそこの小屋でお願いしますね」
そう言うと、木札が1枚頭の高さまで上がって沈んだ。
わかったという合図だろう。ティグロ先輩もそれを見て倣ったのか、もう一枚の木札も同じ軌道を描いた。
2枚の木札が離れていくのを確認すると、ボクたち3人はすぐさま小屋に入った。
荒らされた形跡があるが、特に中には何も無い。
ボクたち3人を囲って余りあるフィールドを指定し、姿と音を遮断する。
「はい。もうしゃべっても大丈夫だよ」
「わぁ。レティちゃんの魔法見るの実際初めてだけど、すごいね」
「すげぇなんてもんじゃねぇぞこれ。でも、この中にいると音出せなくなるんじゃねぇのか?」
「んーん? 音が外に漏れなくなるだけだよ。実際、先生もティグロ先輩もボクの声は聞こえてたじゃない?」
「ああ、確かに」
「領域を小屋一帯に広く取ってあるから、この小屋に誰かが入ってこない限り、外からボクたちのことは見えもしないし音も聞こえないよ」
「フラ姉が専任で付いてんのも頷けんな……」
「え? フラ先生ってそんなにすごい人なの?」
「はぁ? 今更何言ってんだ? お前あいつに授業持ってもらってんのに何もしらねぇのかよ……?」
「え……? うん……」
「レティちゃん……」
ええ!? イオネちゃんも知ってるの??? なんで……?
フラ先生とティグロ先輩が戻ってくるまで、ボクたち3人は雑談に花を咲かせた。
そうでもしなければ、この場の空気に押しつぶされてしまいそうだったから。
壊れた小屋からは悲惨な村の現状を視界に映さずに済んだ。
何かが動く気配も今のところない。
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