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誰も2人で行くとは言ってないよ?

「先生! ボク、疲れました!」

「はぁ? 今来たばかりで何言ってんだぁ?……って今日は特殊魔法課の履修じゃねぇのか?」


「そう~。特殊魔法課の履修じゃイオネちゃん連れてこれないじゃな~い」


「あ、あの、よろしくお願いします」


そういいながら2人で受講証を先生に手渡す。

基本的に講師を選ぶなんて事は本来できないんだけど、できれば儲けもんくらいでね。


「兵科総合? そんであたしに何させようってんだ?」

「先生! ボク、イオネちゃんとリンク様連れて、パーティ戦闘してみたい! クエスト受けて! あ、後いるならティグロ先輩も一緒にどうかな?」


「ティグロ? 隣の部屋にいんだろ。……パーティ戦闘なぁ。確かに、あたしと2人じゃなかなか集団行動の経験はできねぇな」

「そう!先生にはボクたちの後衛指導をしてもらいたいな」


「ってもこんなん兵科総合の履修内容とかけ離れすぎだろ。そもそもあたしの研究室に所属もしてなければ認められるわけねぇだろ」

「え~やっぱだめかなぁ」


「あ~……今日は土曜だしな。履修課目なしってんならいいぞ。他の面子もそれでいいならだけどな」

「ちぇ。あわよくば単位貰おうかと思ったのに。うまくいかなかったね」

「あはは、悪巧みはうまくいかないものだね。レティちゃん」


「ああ? なんだ。最初から2人で貰えたら程度で言ってきたのかよ。で?肝心のメンツはどこにいんだ? リンクって第一王子のリンクだろ?」

「そ。リンク様がクエスト行くぞって言うから、ボクがイオネちゃんとシルを誘ったの。シルは履修するものが間に合わないから行けないんだって」


「それって、私付いてきてよかったんでしょうか……?」

「いいじゃない。一緒に行こうよ! あ、ボク、ティグロ先輩も道連れにしてくるね!」


魔法科研修室の隣、フラ先生の兵科研究室では朝は沢山の生徒が武器の調整や仕込み、準備運動をしている。


「なぁ、あいつなんかあったのか? なんか空元気じゃないか?」

「ですね。何かあったんじゃないですかね。私も知らないんです。でも、多分大丈夫だと思いますよ? 確証はないですけどね」


「えっと、イオネっつったか?」

「あ、はい。イオネ・テュリスと申します」


「ああ、フラ・ヴィシュトンテイルだ。レティーシアの特殊魔法課の専任だな」

「あの、ヴィシュトンテイルって……」


「ああ、多分そのヴィシュトンテイルだな。あたしはまだ結婚もしてねぇから家名が変わってねぇだけで、もう家は出てんだ。あんま気にすんな」

「は、はい……」




「てぃーぐろせーんぱーい」

「レティーシアちゃん?」

「これからリンク様とクエストいこー?」

「え? これから? 授業は何を受けたんだい?」


「あ、もしかしてティグロ先輩は冒険者クエスト受けられる履修進度の授業とかあります?」

「うん。フラ先生の受け持ってくれてる兵科の授業であれば大体どれでも大丈夫だけど」


「あ、それなら丁度いいじゃないですか! ボクとイオネちゃんは履修にならないんですけどねー」

「リンク王子もくるのかい?」



「ああ? 悪いかよ」


突然リンク様が湧いた。


「ちっ。なんでこんな大所帯になっちまったかね。俺は2人でいくつもりだったんだけど」

「いいじゃない。ボクは初心者だもの。守ってくれる人が多いほうがありがたいよ?」


「お、リンク。お前がここにくるなんて珍しいじゃねぇか」

「げぇ。フラ姉。もしかしてこいつも連れてくのかよ?」

「ほう、あたしをこいつ呼ばわりとは、お前も偉くなったなぁ?」


フラ先生がリンク王子の肩に腕を回している。

……フラ先生の腕が見る見る筋肉で太くなっていくけど……


「う、うげ……脳筋……」

「ああ?」


締まってます! 締まってますよ!? 先生!


「おぇっ……首が絞まる前に骨が折れるわ……」

「なんだ、もっかい抱擁してほしいのか? お姉さんに抱かれるのがそんなに嬉しいのか」

「お前は女じゃねぇだろ……」

「……」

「うぇっ!? ま、まて! 魔力を吸うのはやめろ! マジで枯れる!! マジで!!」


「ねぇ? フラ先生とリンク様ってお知り合い?」


「リンク……様ぁ?」

「あ、リン……ク?」


いきなり人前で呼ばせるなし! 照れるわ!


「おい。……お前らなに2人で甘い空気だしてんだ? ああ? そんな関係になったのか?」

「ちげぇよ。俺はこいつに振られたの」

「ふぇ?!」


王子自分で人には言うなっていってたじゃん!?


「ええっ!?!? レティちゃん!?……えぇっ!?」

「はぁ??」


ちょ、イオネちゃん声大きいよ!?


「王子、昨日の今日でどんだけ進展してるんだよ……」

「昨日あんなことがあっちまったからな。シルヴィアにボッコボコにされたわ」

「ああ、やっぱり。まぁあれはフィーラも言い過ぎだけどね……」


「何があったんだ?……ふふ……国の第一王子が平民の子に振られるとか……ぷっ……ぷはっ……やべ! めちゃめちゃ面白ぇじゃねぇか! うははっ」

「あーあー。こいつに言ったのは間違いだったなぁ。まぁどうせ知ることにはなるだろうけど」


「で? 知り合いなの?」

「ああ?こいつはこれでも公爵家の一女だぞ?ってことはそこまで遠くもない親戚だってことくらいわかるだろ?」

「え!? フラ先生って公爵位だったの?」

「ああ? レティーシア。知らなかったのかよ。今そこで初めて会ったこいつでも知ってたぞ」

「レ、レティちゃんは貴族とかにあんまし詳しくないから……ね?」

「ボ、ボクだけ平民の壁を感じるよ……」

「別に平民とかそんなに関係ないだろ? 俺とフラ姉のじいさんのじいさんも平民だった人だぞ」


「え?……王族?……え?」

「ああ、平民から王族になったんだよ。一代で」


「ええ!? そうなの!?」

「そうでもなければ俺がお前と、そんな簡単に結婚できるもんだと思うかよ」


「ええ?! でもリンク様、ボクと結婚するのに王位を捨てるとかなんとか……」


「はぁ!?」

「ええええええええ!?」


イオネちゃん!? リアクション濃すぎない!?


「お前、もしかして昨日聞いてたのか……?」

「だって、扉薄くて聞こえたんだもん……」


「……まじかよ……。死にたくなってきたわ……」

「ええ!? ダメだよ! 第一王子が死んじゃったら困るから!」

「うっせ。はぁ。あれは頭に血が上って言っちまっただけだ。それ以前から周りの空気も寛容的だっただろ?王子と平民が結ばれるなんてありえないって言ってくる奴は1人もいなかったし」


「そ、そうなんだ……?」


「この国の王は、平民の成り上がり例が既にあんだよ。だから他の国に比べて、貴族もそこまで高圧的じゃねぇのさ。いつ下剋上食らうかわかんねぇしな?」


「へ、へぇ……」

「レ、レティちゃん!? ちょっと! 私と会ってなかった2日の間に何があったの!?」


「うぅ、イオネちゃん……もう、ほんと、もう色々ありすぎたの……。今度聞いてくれる?」

「うん! 聞かせて!」


「おいレティ。お前あのことは話すなって……」


「え~いいじゃない。イオネちゃんはボクの親友だもん。ね~」

「ね~」


「ぐ……お前本当にシルヴィアに似てきたぞ……」


「あら、嬉しいわ」

「わぁ! シル様そっくりだね!」

「でしょー! いっつもシルを見習ってるんだから!」

「同じ部屋いいなぁ。私も3人部屋だったらいいのに」

「あ、それいいね! 3人部屋にならないかなぁ」


「なぁ、お前らクエスト行く気あんのか?」

「あ。そうだった」


いけないいけない。先生もさすがにあきれてるね。

せっかくのパーティ戦デビュー! 頑張ろう!


「先生、昨日リンク王子たちと受けようか悩んでたクエストがあるんだけど、どうかな? 昨日はリンク王子が暴走してクエストどころじゃなかったから受けられなかったんだけど」

「悪かったよ!」


「ああ? そうなのか? まぁパーティ向けのクエストならいいんじゃねぇか?」

「なら、用意して冒険者ギルドへ行こう。回復薬や毒消しなんかの補充もしっかりしていったほうがいいと思う」


「ティグロ先輩。どんなクエストを受けるの?」




「ゴブリンスタンピードの討伐さ」






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