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ダンジョンに行きます!

お金や必要のないものを寮に一旦置きに戻り、玄関前に行くと、すでにフラ先生が待っていた。

そのまま王都へ降りる。今日はアルト様はいないらしい。


そりゃ先生は講義の一環だからいいけど、言ってしまえばアルト様はタダ働きだもんね。さすがに毎回毎回ついてきてもらうわけにもいかないか。


ちなみに、フラ先生とアルト様はパーティメンバーではないらしい。

クランメンバーなんだそうな。


ボクは、漠然と冒険者もいいなぁ、ぐらいにしか考えてなかったから、あんまり詳しい冒険者事情を調べることもしていなかったのだけれど、冒険者はそのクエストの難易度から、パーティを組むことが一般的らしい。

もちろん1人でやっている人もいるが、パーティで行動するよりも命を落とす危険が格段に高いし、一人では受けられないクエストなんかもでてくる。

当たり前だけど、1人で活動していたら、自分がもし死んでしまっても報告することができない。それじゃどうなったかわからないから困るんだよ?っていうクエストは少なくないからだ。


そうなると冒険者としてはパーティで活動するのが定石となるのだが、各々メンバーごとに都合だってある。体調にだって左右される。誰かが怪我なんてしてしまえば、長期間休まなくちゃいけなくなったりなんかもね。

もちろん魔法や薬で治せるなら問題ないんだろうけど、魔法自体使える人は限られているし、薬だって買えば安くは無いしね。




パーティは基本、最低限の人員で構成される。


パーティによって違いはあるが、例えば、前衛が2人・中衛は1人・後衛は2人・回復役に1人欲しいパーティだとすると、6人で構成することになる。

ここで、特に回復役の1人の都合が合わなくなってしまうと、他の5人は活動できないか、メンバー数に見合わないクエストを消化するしかなくなるのだ。


それを解消するのがクランという組織。


それぞれのパーティが所属しておくことで、自分たちのメンバーが揃わなかった時に他のパーティメンバーと組むことができる。

もちろん持ちつ持たれつではあるのだが、人数が増えることで受けられるクエストの質も上がるかもしれないし、交流が増えれば誘いも増える。


と、いう感じで冒険者パーティを組んだら、クランへの加入も検討したほうがいいかもしれない。

うーん、ボクもパーティとか組めるかな?

是非ともシルとイオネちゃんは誘おう。


でもシルは難しいかなぁ。領土の経営をしなくちゃいけないし。

後、誘えるとしたら……さすがに王子様は無理だろう。だって王子様だし。

まだあまり前衛タイプの人と知り合いが少ない気がする。

もうちょっと兵科の授業に顔を出しておくのもいいかもしれないね。


「これなんかどうだ? 今日は1日あるんだからちょっとくらい遠出はできるだろ?」


フラ先生がクエスト掲示板と睨めっこをしていた。

妄想に耽ってまかせっきりでした。ごめんなさい……。

フラ先生のクエストに顔を覗かせる。


-水棲ダンジョン『フルカルド』低層モンスター討伐- 難度C

-ダンジョン鉱石『ヘルツクライン』の採集- 難度C

-水棲ダンジョン『フルカルド』中層モンスター討伐- 難度E

-ダンジョン草 『カニンヘン草』の採集- 難度D

-水棲ダンジョン『フルカルド』春季中層ボス討伐- 難度F パーティ間協力推奨


5つもある。


「クエストって複数受けても大丈夫なんですか?」


「同じ目的地なら、基本は複数で受けたほうがいいな。クエストは“受ける”って言葉を使うが、それはあたしらに“すべてを任せる”って意味とはちげぇんだ。ニュアンス的には、“この依頼はまだ有効か確認する”だ。依頼主からしたら、誰が結果を持ってこようが質が一緒なら誰でも同じだからな。任せたい奴がいる依頼主は個別依頼をする。そういうクエストはここに貼り出されることはないしな」

「なるほど、クエストが生きてるのを確認して、そのクエストの結果を持ってきて買い取ってもらうのであれば、一気にどれだけこなそうが関係ないってことですね」


「ああ、そうだ。だから依頼するほうも大変だぞ? 辺境に行かなきゃいけないようなクエストで報酬も少なくて、同時進行できるクエストもないんじゃ誰も受けてくれねぇからな。討伐クエストっつーのはギルドが出してるんだが、討伐クエストが出てるときは、こんな風に採取や採掘クエストが発注されることが多いんだ。みんなの目的地が一致するからだな」


「へぇ~……」


さっきからフラ先生のクエスト詳細を眺めているんだけど……


ダンジョンだよ!

ダンジョン!


初めてのダンジョン!


「ん? どうした? なんか嬉しそうだな?」


あれ? ボクそんなに顔に出てたかな?


冒険って言ったらやっぱりダンジョンじゃない?


「先生! ボク、ダンジョンなんて初めてだよ!」

「ああ、そうか。ダンジョンっつっても、このフルカルドってダンジョンは攻略済みのダンジョンだ。そこまで危険なことはないぞ。罠も少ないダンジョンだからな」


まぁそう言われてつい先日死にかけたりもしたんですけどね……。


「注意することとかあるの?」

「しいて言えば、モンスターが湧きやすいこと。一直線にモンスターを倒して進んだのに、突然後ろに湧いて攻撃されるなんてことがザラにある。常に警戒を怠らないってのが重要だな。それとクエスト書の1枚にもあるとおり、春のボス討伐が現状終わってないらしい。現地いってパーティ組んでたら討伐に参加してみるか」


「ボスかぁ……」


一昨日の黒狼が思い出される。あれはダンジョンのボスクラスだって言われたばかりだ。

あんなの正直あんまし出会いたくはない。


行ったら既に討伐されてました!ってのが望ましいけど、朝一でギルドに来て、この掲示板に貼りだされてるってことは……その期待は薄いんだろうなぁ。

ま、パーティ組んでたらってことは、パーティ作ってなければやらないってことだ。それを祈りたい。


「この鉱石と草?の採集っていうのは?」

「ヘルツクラインは、どの層にもある鉱石で、カニンヘン草は中層以降に生えてる草だな。フルカルドは全25階層のダンジョンで、10層までが下層20層までが中層だ。今日は1日あるとはいえ移動の時間も考えりゃそこまで時間もねぇ。10層辺りまでいけるかどうかってところだ。だからカニンヘン草はできればってとこだな」


「ボクは鉱石とかその草とか見たことないんだけど、行ってみたらわかるよね?」

「魔法科の全体講義でステータス管理術式の入った魔結晶は貰っただろ? あれの辞書に見た目、採掘・採取の仕方なんかが詳しく載ってるぞ」

「あ、そっか。なるほど」


「移動時間に詳しく見ておけばいい。異論もないならすぐに発つぞ。時間が勿体無い」

「はい! なんか冒険者っぽくて楽しみかも!」


「実際、冒険者なんかやってりゃ何日も篭ったりしなくちゃならないこともあるんだ。そんないいとこじゃないけどな」

「まぁ、最初はなんでも楽しみなんだよ?」

「そんなもんかね? 忘れちまったな」


ギルドでクエストの受注をすると、すぐに馬車を拾った。



ダンジョンまで約2時間は掛かるみたいだ。



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