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敵の中の安全地帯。

「うん。さっきよりもかなり調子好さそうかも。さすがウルさんだよね」

「プトレマイオスの回収と吸血鬼軍の目的、それとあの竜の復活理由に活動目的……二人はうまくやってくれるかしら。こんなところに戦力を余らせて、動くに動けないのは歯痒いわね」


転移眼を使えば実際体を飛ばすことなく、各地の状況を確認し、見える状況をそのまま伝えていくことができる。


ここまで逃げてくる中でかなり危なかったベガの皆も、かなり顔色が良くなっていて、戦闘準備が整い始めているようだ。

って言っても、その周りでバカでかい竜と上位吸血鬼が戦闘を繰り返し、外側からは魔法が飛び交っている中、次元牢獄を解くわけにもいかないわけで……。


如何にもしがたい状況ってやつ真っ最中。


主戦場になっている次元牢獄周りの状況はもちろんのこと、二分されている吸血鬼軍の流れの把握。それにグルーネ側の対応状況やフリージア・カルセオラリアの国内状況、ロトの軍勢がどんな状況で、これからどんな動きを取りそうなのか……などなど。


ね。優秀だよね。転移スキル。


「……あれ? ねぇシル。ハウトさん達に何かあったのかも? フラ先生がなんか深刻な話、してるみたい」

「……? どんな? とにかく、今はどんな些細な事でも重要なの」


そう言われ、転移眼の先の音を拾う。


当然、転移眼に周辺の音を拾える機能は無いんだよ。

でも、転移することができるのであれば、応用として魔力の発生点を転移先に設定することは可能なのだ。そこでクリアの魔法で音を消せるのであれば、消した音を聴覚に反映させて拾うことだってできるってワケ。

ちなみにこれは、3ヶ月の修業期間を以て、ハウトさんに色んなボクの能力開発を手伝ってもらった結果の一つである。応用の幅を広げるだけで、こんなに融通の利く能力に開発されていくのだ。

ほんとに。これにさえ最初から気づいてれば、自分の姿を消しながら馬車の中に潜入したりとかして、気づかれちゃったりすることもなかったのにね。能力の開発って、ちゃんとしておかないとダメだよね。




「わっかんねぇけど……でも、魔力が回復してきてんのに、応答もねぇのはこいつがあたしと契約してから初めてなんだ」


フラ先生とハウトさんが話している最中のところに、視界が留まり、会話が聞こえ始める。


「さっきまではどうだったんだ? 魔力が枯渇していたからお互いに意思の疎通をさせる事は出来なかったのかもしれないけど、存在は感じられていたんだろ?」


「ああ……。さっきまではこんな感覚は無かった。それが突然、この意味わからねぇ事態が起きた瞬間からだよな……。フレイドラとの……なんつーのかな。繋がりが断たれたってのか? とにかく、何にも反応がねぇんだよ」

「今までもヴィシュトンテイル家(うち)の精霊契約者の魔力が枯渇することは何度もあったけど、そんな話は聞いた覚えが無い。今の状況を鑑みれば、何かが起きていると考えて間違いなさそうだな……。他には? 気づいたことがあるやつはいるか?」


そう言いながら輪になっているプトレマイオスのメンバーに、ハウトさんの視線が移っていく。

その先で、ボクとの視線も交わったのは偶然ではないだろう。


「自分は……申し訳ないが、正直申して混乱しているだけ……であるな。正直、自分達が対応してきた吸血鬼と、この外にいる吸血鬼達のレベルですら、違いすぎてその光景に頭が追い付いていないのである……」

「うん……」

「ごめんなさい」

「私も……」


「そうなのよね……。私もここにきて吸血鬼の質が違いすぎる事が引っかかるのよ。私達が今まで相手してきた吸血鬼に、グルーネほどに開発された魔法を扱える連中なんていなかったじゃない。それなのに、ここにきて突然、吸血鬼がとんでもない魔法使ってるわよ、アレ。あんな奴らがいたなら、私達がここまで逃げてこられた理由って何なのかしら?」


ホーラントさんが髪の毛のない頭を掻きながら困った顔を浮かべ、ウルさんとフィリシアさん、セレネさんがホーラントさんに同意し、メルさんが疑問を口にした。


メルさん達がいる次元牢獄の外では、その次元牢獄を足場とした吸血鬼がわんさかと動き回っているのだ。その最前線の中には、今までフリージアへと潜入していたベガのパーティですら見たことのないような超級の個体が、少なくない数で見受けられる。

もちろん、そういう個体がいること自体は把握していたわけだけど、少なからず相当な戦力を持った個体がこれだけいるのであれば、本当にベガパーティを逃がしたくなかったのなら、いくらでも手の打ち用はあった気がしてならないのだ。


「そうなんだよ」


メルさんの疑問に、アルトさんが続ける。


「俺が気になっているのは、その吸血鬼達の対応の速さ……なんだよね。さっきハウトがあの白黒髪の女の子と会話してた時にもそうだったけど、あいつらはあの竜を知っている気がしてならないんだよね……。だからあいつらと話ができるのが手っ取り早いとは思うんだけど……」


そう言いながらアルトさんが気まずいような顔をするのは、それが出来ない事を理解していて、しかも出来ない理由が自分達にあるであろうことを申し訳なく思っているからなんだろう。


「だよなぁ。とにかく、ここを出るにせよ、あいつらと交渉してみんことには動けねぇんだがな……。で? どうなんだ? そこんとこは」


そう誰に向けたでもない問いかけに、フラ先生以外、全員の頭に一瞬はてなマークが浮かんだ。気付いた人はその後一瞬で理解したらしく、はっとした顔を浮かべる。


「あ、ちょっと待ってね。今シエルとシトラスが、吸血鬼の人達と交渉しに行ってるから。なんかちょっとでも情報をつかめれば、もしかしたら状況もちょっとは変わるかもしれないし」


突然みんなの前に転移しても、誰一人として驚くこともない。


「今、お前の意識がこっちに向いてないうちにあいつらに話しかけるわけにもいかねぇからなぁ」


そうでもないと、ボクが転移眼をこっちに向けていない間に吸血鬼の人達の意識が次元牢獄内に向いてしまって、何かしらの攻撃を受けたてしまえばハウトさん達に逃げ場が無いのだ。友好的な態度を一切見せない吸血鬼と交渉をするのは、外との連携を取れるボクがいる間は急ぐ必要は無いのだから、慎重にならざるを得ないんだよね。


「っつーかレティーシア。お前、転移先の会話まで聞けるようになったんだな。ま、さすが。魔法の使い方ならハウトに習うより参考になることなんて、そうそうねぇだろうからな。特にお前みたいな特殊魔法が主力になるなら尚更だ」


フラ先生達が敵国へと潜入していた間に、ハウトさんとの能力開発をしていたことを褒められはしたものの……先生もなんだかんだ言って、ブラコン入ってるような気がするんだけど……気のせいじゃなくない?



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