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最初の転生者。

現代の神聖魔法はその名の通り()()に属しているわけで、神聖力じゃなくて体内の()()を消費することで発動することができる。


なら、あの時のナントカとか言う魔人がどんな方法で次元魔法を阻害していたのかさえ判っちゃえば、当然ボク達にも魔法そのものを阻害するっていう神聖魔法を扱う事ができるってことになる……はずだよね?


じゃあ肝心のどうやるのか? ってのは簡単なのよ。

だってルージュ達が知ってるはずなんだもん。


まぁもしかしたらあの時の魔人の人が長年の月日をかけて、この世で培ってきた知識で新しく組み上げたような、とんでもない魔法術式だったのかもって可能性は無くも無いんだけど、そもそも神魔大戦の勝者であった魔族側が神聖力そのものをこの世界から削ってきたって歴史的事実が、魔力に対する()()()()対抗方法を減らしたかったって考えるとするのなら、その何百年も昔の神魔大戦時代以前の時代には、魔力と神聖力、魔法と神法は、お互いにお互いを打ち消し合って対抗できるような手段として確立していて、既に実戦に導入されていたって考えたほうが自然なわけで。

当然、実戦に導入されていたのなら当時その現場にいたルージュ達が知らないはずがないわけなのよ。


大前提、神聖力や神法が魔族にとっても有用であったのなら、わざわざ歴史から消したりまでしないだろうしね。もちろん一定残ってたほうが良かった部分はあったんだろうし、その名残として残っているのが今で言う神聖魔法だって考えると、割と辻褄があったりもするよね。っていうのは、ルージュ達にも竜王国を調べて貰うにあたって事前に確認したら、ルージュ当人からも同じ意見として同意を得られているあたり、あながちそこまで見当違いな歴史想定でも無さそうなんだよね。


まぁそうなると結局のところ、魔族側にとって神聖力そのものを残しておくよりは、対抗手段として神法が残っちゃってた方がお邪魔だったってことなんじゃないかな? 実際そこらへんの歴史はずっとこの世界を生きていたわけじゃないルージュ達にだって知る由も無いわけだから、予想でしかないんだけどね。




で、なのよ。じゃあ、それなら神聖魔法の適正が無いようなボクでもそういう魔法を扱うことが出来ちゃうの? ってなるわけじゃん?

そしたら、ルージュの答えはノーだった。


残念ではあるけど、ボクって自分でも神聖魔法への適正が無いのは割と自覚してたからね。多分ボクの先祖に神族の人はいないってことなのかな。

じゃ次に、ルージュを召喚しようとした魔人が扱えたのであれば、ルージュ本人がその魔法を使えるのかな? って思うのは当然の話で、それを聞くも、なんとそれも答えはノーだった。

そしてそれに関してはルージュだけじゃなくて、シトラスも……そして、範囲ヒールなんて明らかに神聖魔法の放出が期待できそうなシエルすらも、あの魔人がやってたような空間魔法阻害はできないんだって。


まぁなんだかんだモンパレの時はティオナさんやヴィンフリーデさん達に一方的にあしらわれてた様に見えなくもなかったけど、あの魔人さんはとても有能だったわけだ。神聖力の満ちていないこの世界で、魔法を阻害する効果を範囲的に展開してたんだから、そりゃ本人のスペックのリソースの大半を奪われてたっておかしくないわけで、そんな中でティオナさん達に追い回されながら、ルージュの前世みたいなものであるバルハリトを召喚する大魔法を組んでたわけなんだからね。それを知った今じゃ、正直尊敬に値するほどなんだよ。


じゃあさ。そのために何がダメで、何が必要なの?

って話じゃん。


そのダメな理由として一番大きい要因は、ボクに神聖魔法の適正が一切ない事だった。

そう言われたらその通りだって納得するしかないんだけど、ルージュ達契約悪魔ちゃん達は、ボクの魔力を原動力として成り立っている。


“魔力”って一言で言っても、ボク達の持っている魔力に才能的な適性が存在している以上、その“魔力”にはいわゆる遺伝子的な個人差が存在していることになるわけだ。

なら、神聖魔法に適性のないボクの魔力を原動力にしている悪魔ちゃん達が神聖魔法の延長線上である阻害魔法を展開できないのは当然と言えば当然の話で、ルージュ達が悪いんじゃなくて、そもそも召喚主であるボクのせいだったって話なんだけど。 


じゃあ、できないならしょうがないよね。


なら出来る人に任せるのは? ってことになるんだけど、それが出来るんだったら神聖力をこの世界から衰退させた意味なんてそもそも無いってことになっちゃうんだよね。


知識だけを得るのであれば、ルージュ達みたいに主従契約までして契約精霊としてこの世界に顕現する必要も無くて、実際それぞれの精霊さん達と一時契約すること自体は、この世界の人達の一般的な魔力量でもこなせるわけだし、フラ先生のご家庭みたいに代々精霊さん達がその一族に継続して仕えているなんてケースだって、珍しくはあるだろうけど無いわけでもないんだよ。フラ先生の契約精霊であるフレイドラさんみたいにルージュ達と面識がある程度には古い精霊さんだっているんだから、阻害魔法なんて便利なものが存在していた時代を知ってる精霊がこの世にいることは簡単に想定できるわけで、そうだとするのなら魔法への対抗方法として認知されていないのはいくらなんでもおかしいんだよね。

だってモンスターパレードの時にボクが実体験したように、次元魔法を阻害するだけで、現代魔法の殆どの魔法は用をなさないんだから。


ってことは知識を得られただけで実現できちゃうんだったら、わざわざ途方もない労力を使って歴史を操作して改竄しながら神聖力を衰退させてきた意味なんてなくなっちゃうんだから、そう簡単な魔法じゃないってのは当然の話。


実際そんな神聖魔法を使った魔人がいるってこと自体が、ボクと同じレベルの魔力量を持っていて、上級悪魔を主従契約することができて、尚且つボクと違って神聖魔法への適正が高い召喚者がいた事実に他ならないってことになる。


それを調べていくうちに浮かび上がってきた人物こそが、今まさにこの戦争を起こした渦中の人物。



『アルメリア・ヘルグスト』その人だった。


ってわけだ。




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