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いつかはやらかすと思ってました!!!

「ごめんリンク。あのね。……この戦争の首謀者のこと、実はボク達、知ってるんだよ」

「……へぇ!?」


声が上がったのは、思わぬところからだった。


リンクの連れてきたメイドさんなのかな? かなり鋭い目つきで、さっきからすっごい睨んでくるんですけど……。今にも怒られそうなんだけど、何かしちゃったっけ……? いや、まぁ心当たりが全然ないってわけでも無いんだけどさ……。

あ。違う違う。そんなことはどうでも……よくはないんだけど……とりあえず置いておいて、そのメイドさんの隣にいる、この屋敷に駐在していたロトのお偉いさんであろう女性からだった。リンクの言葉に売り言葉に買い言葉、見たいかな感じで暴露しちゃったわけだけど、よく考えたらこんなこと、ロトの人に聞かれて良いわけないじゃんね……。

冷や汗をかきながらシルの方にちらっと視線を送るけど、無表情のまま目が合った。なんのリアクションもない事がどういう意味なのか測りかねるんだけど、それでも止められないという事は……別にいいってことなのかな……?


そんなことを考えていると、はぁ。とため息をついたシルが口を開く。

「クイネ大臣。(わたくし)たちの情報はハルト様と繋がっているの。貴女ならもうハルト様が現状の戦況でどのような采配を為さっていて、それがどんな情報源によるものなのか、少しは予測がついているのでしょう? ですから、ここで得た情報はハルト様の許可なく本国へ報告をすることは出来ない事を理解していただけるかしら?」


ボクがあたふたしていると、シルがロトのお偉いさんに釘を刺す。

つまりは、ボクが今からリンクに情報を共有することを容認するって意味だ。


「は……はい。わ、わかりました……」


まぁロトの大臣さんからしてみれば、どんな話になるかわかっていない状況じゃ、否定のしようもないんだけどね。


「……で? シルヴィアから許可も出たことだし、お前らが共有してる事実を俺等にも教えてくれるって事でいいんだよな?」

「……う、うん……」

「いいわけがないでしょ。貴方、自分の立場を理解してる? 他国の戦争に介入してくる王子ってだけで問題が過ぎるのに、これ以上首を突っ込むお王子(バカ)がどこにいるっていうのかしら?」


「それを言うならお前もだろ」

(わたくし)はいいのよ。国益のためだもの」


シルは何もダメとは一言も言って無いんだけどね。


……まぁ本心ではダメだって思ってるから、今まで情報を共有してこなかったんだろうけど……それでもシルが今、ここで情報の共有に踏み切る程度には、今回の襲撃はシルにとっても予定になかったってことなんじゃないだろうか。


「それで、首謀者ってのはなんなんだ? 今回ここを襲ってきたやつの上にいるやつが、その首謀者ってやつなのか?」


否定されたわけじゃないことにリンクも気付いたみたいで、意外と冷静に話題を戻された。

……うん。まぁ口を滑らせるなんて失態をしたのはボクなので、そこに話を戻されると、ボクとしても説明しないわけにもいかないわけなんだけど。


「その前に。……丁重に葬ってさしあげましょう」


シルの視線がボクの足元に向いている。

色んな瓦礫が散乱していて、埃が舞っていた中で、皆で話をしている間に埃が大分落ち着いたらしい足元を見ると……。首が転がっていた。


「うひっ!!」


目が! 目が合ったんですけど!?


「クイネ大臣? よろしいかしら」


何が何だかわからずに茫然としていたロトのお偉いさんにシルが呼びかけると、


「あ、は、はい! 只今!」


と、はっと我を取り戻したかのように、部屋へ戻り、部下を伴って生首を包み込んでいく。大切そうに抱える包まれた生首を見ていて思い出した。あの人、この屋敷にいたロト国の将軍の人だ。

……あれ、これってすっごい問題なんじゃないの?

だ、大丈夫なのかな……?


生首の所存を部下に任せたのか、クイネ大臣が散らかったままのシルの部屋に戻ってくる。どうやらボクから語られる真相と言うやつを聞き逃す気はないらしい。


「ちなみに、ボクはシルに色々情報を渡してるだけだから、ちゃんと理解してるのはシルだけなんだからね? だから間違ってるかもしれないんだよ?」

「それでもいいんだ」


ちょっと不安になってシルの方へちらっと視線を送るも、助け船を出してくれる気はないらしい。

元々シルはリンクを巻き込むつもりは当然ないんだから、シルが事詳しくここで説明をしてくれるつもりはないだろうし、リンクの方も、つい今しがた起きた事件で何やらシルとあったらしくて、シルに詰め寄って強引に追求するってわけにはいかなくなっちゃったみたい。


そんな話をボクがさせられるのは、ちょっとどころかかなりの不安があるんだけど……。

まぁこの場にシルがいて一緒に聞いてくれているのであれば、あまりに話の方向がずれているだとか、都合が悪かったり話ちゃいけないことがあれば、流石に止めてくれるだろうという淡い期待を胸に、散らかった部屋で今得ている情報をリンク達と共有していく。


それでいて忘れちゃいけないのは……。


ボクがシルの方へ慌てて駆けつけた原因が、ハウトさん達の方ではまだ、対処中であるかもしれないということなんだよね。


こっちがひと段落ついたのであれば、すぐにでも向こうに戻るか、情報を共有する必要があるのだ。




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