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全部繋がってた

一番大事なところで、今関わっているほとんどすべての人達が思っているであろう疑問。それが、フリージア・カルセオラリア側が、なぜこんな無謀な戦争を仕掛けてきているのか? だ。

フリージア・カルセオラリア側は今回の戦争をけしかけるにあたって、住民のほぼすべてをモンスターと化してしまい、しかもその一部はモンスター化の際死亡。更に半数近くが知能を失ってしまっている。


ここで誰しもが不思議に思うわけだ。

これで勝ったとして、何が残るのか。と。


当然、戦争なんだからその行為自体に理由があって、目的がある。

じゃあその理由や目的って言うのは、本来であれば戦争前に明確にされるものなのに、今回は宣戦布告も無ければ、目的が何も明示されていない。

目的が明示されていなければ、最終的に何が勝利で何が敗北なのかすらもわからない。


今ロトとフリージア・カルセオラリア側は、そんな霧の中で戦っているのだ。ロトも困惑しているし、フリージア・カルセオラリア側なんて、人の理性が残っていたら戦争なんてやっていられない立場だったのかもしれない。


「まず戦況からだけれど……」


そう言いながら資料を進めていく。


「ロト国内の戦況は当初予定していたよりも遥かに被害が少ないわ。これにはプラスとマイナス両方ともの要因が大きくいくつかあるのだけれど……一番大きいのは、少し前にロト国内でスキル育成史上に革命が起きていたことが大きいわね」

「革命……ね。あのスキル取得方針数値化スキルだろ?」


「ええ。やはりハウト達も聞いていたかしら」

「今年のモンスターパレードの時期あたりか? 結構話題になっていたな。ロトが革新技術の開発で一気に軍事力が高まってるっていう情報が流れてたからな。内容は眉唾もんだったし、俺が遠征中であんまり詳細な内容は流れてこなかったのもあって、確認まではしてねぇけどな」


「そうね。この技術は一言で言ってしまえば、その人の才能に対して、後どれだけどんな訓練をしたら武器スキルLv1が発現するのかを、数値化して表示できるっていう信じられないような革新スキルね」


……どっかで聞いたことあるような気がするボクとは違って、セレネさんとリンクが目を大きくして資料にかじりついている。


「こ、こんなこと、本当にできるのかよ!?」

「信じられない……」

「あれ……?」


その二人の反応とあからさまに違うボクを見たシルとハウトさんの視線が一瞬、ボクと合った。


「わ、わぁ。す……すごいねぇ~……」

「「………………」」


「ま、今はいいわ。こういう技術革新が少し前に起きておいてくれたおかげで、ロト国軍の軍事兵力の底上げが行われていたのよ。それが功を奏していたおかげで、ロト国内の状況は想定よりも遥かによかったわけね」

「なるほどな。本来であれば今頃もっと後手に回って大変になっていたってことか」


「特にロト周辺諸外国が傍観しているこの状況も、フリージア・カルセオラリア側の策略だってことも判明したあたり、かなり用意周到に仕組まれた戦争ですもの。もしかしたら()()()()()()さえ無ければ、もう終わっていたかもしれない程よ」

「周辺諸外国に関しても何か分かったのか? ロトがあからさまな軍事戦略を受けている割には、グルーネ以外からの支援が明らかに少なすぎる。これは戦時協定違反だと後々ロトから詰められてもしょうがないレベルだろう?」


「ええ。もちろん理由があったわ。それも、びっくりするほどの、ね」


シルがわざとらしくため息をついて肩を上下させてみせた。

少し呆れ顔をしているその顔が、なんとなくいつもボクに見せる顔と似ていて、なんとなく……いやな予感がする。


「ロト国を含めた全ての周辺国で大都市、特に首都近郊で異常魔力渦の発生が今年、確認されているのよ。それも同時多発的に、すべての国で確実に1か所以上認められているわ」

「異常魔力渦? 自然災害じゃなく、故意にってことか?」


「ええ。それも最低でもSランクの渦が、ミト国に至っては首都都心ど真ん中で発生したそうで。死傷者は900人を超えていたそうよ」

「あぁ? Sランクが都心のど真ん中でモンスター排出するまで放置されたってのか? ……簡単には信じられる話じゃねぇけどなぁ。普通そんなバカでかい魔力渦が発生してれば、もっと小さいうちに下級のモンスターや魔獣が発生して見つかるのが一般的だし、それ以前に誰かが魔力を感知して気付くだろう?」


「それが急に発生した魔力渦が異常成長をして、対応をする前に……ミト国の場合、危険度S~R程度のモンスターが大量に発生したんですって。どうにか首都に待機していた軍隊と冒険者で鎮圧はできたものの、惨状は相当酷かったそうよ……」

「そりゃ、首都のど真ん中でそんなもん発生したら……ああ。考えたくねぇくらいの惨状は起きるわな」


ハウトさんの顔が少し濁る。

この世界では魔力渦もある種の自然災害として認識されてはいるものの、一般的な地震や台風なんていう自然災害とは全く違うのは、そこで計上される被災者の数は、直接人を狙われた災害になることだ。

大雨で土砂災害なんかが起きて、その雨や土砂に流されて人が亡くなるような、自然的に起きた事象の結果、それに巻き込まれて人が死ぬのではなく……魔力渦でモンスターが発生する自然災害では、直接人間が餌として死ぬのだ。狙われる分、物的損害の割に人的損害が遥かに大きくなる特徴がある。それを連想させられると、死傷者900人はかなり酷い惨状だろう。


「ミト国が一番酷かったそうなのだけれど、これはミト国に限らず……すべての周辺諸国。そう、ロトとグルーネでも起きていたのよ」

「あ? ロトと……それにグルーネでも? そんな話、聞いたか?」

「いや、俺は何も……」

「私も聞いてない……」


ハウトさんの質問に、リンクとセレネさんが応えていく。

3人とシルの視線が、ゆっくりとこっちを向いて合わさった。


……ん~身に覚えが……あるんだよなぁ……




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