頭が真っ白でなにもできなくなるんだよ。。。?
冒険者ギルドに併設された場所に、鍛冶屋と一体になっているギルド直営装備品販売店があった。
とても広く、一番奥のカウンターまで50メートルはあるんじゃないかというくらい。子供の頃、年に数回パパに連れて行ってもらっていた物産展のようだ。
区画ごとに、防具・武具・装飾品等と分かれており、防具や武具も種類によって纏まった形になっている。
ボクは、重い装備なんて到底扱えないため、革鎧と、装飾品としてポーチやピアス・指輪・ショルダーバッグなどを誂えてもらった。もちろん誂えてくれたのはフラ先生だ。
今時の女性鎧は可愛いもので、スカートと一体型なんていうものもあった。ボクは気に入ったのでこれにしてもらったのだけれど、あまり人気はないらしい。
よくよく考えればそうだよね。そもそもこの世界では下着をつけている人は上流階級だけだし、スカートもそこまで浸透していない世界で、スパッツなんていう機能性のいい下穿きはない。
動き回る冒険者が、ひらひらしたスカートなんて気が散る物履くわけがないのだ。
……無料だったしいっか。
防具や、バッグをボク用に直してもらった金額も込みで、約金貨1枚になった。現レートで金貨1枚は、銀貨64枚相当らしい。おっさんが20人くらいいても一人当たり銀貨3枚のお支払いである。
とても高くついたものだ。この機会にあんなことは止めてほしい。切実に。
支払いを終えると、解放されたおっさんたちがそそくさと店の外に出ていってしまった。
次に会うのが怖い。冒険者ギルドに来るのに足が遠くなってしまいそうだ。
そんなことを考えていたら、フラ先生も察したのか
「はぁ……。なあ、レティーシア。お前が魔法を使ったら、あいつらなんて大したことは無いんだぞ?」
そう言われた。
「そりゃな? ……あたしも女だからわかるよ。男共に囲まれたら怖え。怖えよ。お前は今までそんなこと経験もしてこなかっただろうし。でも……もし冒険者を少しでもやっていくなら怖くて動けねぇってのは、死んでるのと同じだ。魔法の面倒は見てやれても度胸はつかねぇ。せめて助けを求められるくらいは度胸をつけろよ?」
「はい……ごめんなさい……」
「別に叱ってるわけじゃねぇさ。ただ、このままじゃ才能のあるお前が死んじまうんじゃないかって心配なんだよ。あたしも冒険者長くやってると、そんな若い連中ごまんと見てきたんだ。一人で無理はすんじゃねえぞ?」
「はい……」
「あ! そうだ。もしお前がいいなら、特殊魔法課の授業の時に冒険者クエストでも受けてみるか? 実戦形式ってのも悪くねえだろ!」
「えっいいんですか!?」
「おお、いいぞ。どうせそん時はあたしもお前に付きっ切りなんだ。何してようが変わらねぇだろ?」
「ぜ、是非! お願いしたいです!」
「お、あとあれだ、イケメン紳士様もつけてやるぜ!」
「イケっ……フラ。仲間を煽るのは感心しないよ?」
アルト様がにこにこしながら青筋を立てている。可愛い。
「ちっ。つっまんねー男だなお前も」
「フラ先生とアルト様って……その……お付き合いとかされてるんですか?」
思わず聞いてしまった。
「はぁ!? あたしがこんなモヤシとか!? ありえねぇよ!」
モヤシって。
「フラ!」
「わりぃ。モヤシは言い過ぎた。紐だな紐。モヤシに失礼だったわ」
なんとなく関係性がわかったぞ?
がさつな姉と苦労性な弟だね。
アルト様頑張って。
諦めているのか、それ以上は肩を落としただけで何も言い返さなかった。
店を出た後、フラ先生たちもこれからギルドの用事があるのだということで解散になった。
さすがにボクは、これからギルドで仕事を請ける気にはなれず、とぼとぼと寮へ帰ることにした。
ボク的には大冒険だった王都初日は、大失敗に終わってしまった。
「王都に行くとしても暗い場所には行かないように」
シルに王都に行ってみると話した時に、そう注意は受けていたので、ちょっとは気をつけていたつもりだったんだけど……。
これから冒険者ギルドに行く度に思い出すのだろうか?
トラウマにならないといいんだけど。
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