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まさか、こんなことになるなんて。


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是非よろしくお願いします!

ふっふーん!


はーい! こちら現場のレティーシアですっ!


今日はボク、初めて1人で王都まで降りてきておりまーす!


王都はそれはとてもとっても! 大きな街で、ボクの村があったフルスト領の中でも一番大きかった港街が何個分はいっちゃうんだろう? って言うくらい広いんです。王都の外周には大きな外壁が立っていて、その内周にも内壁があるから、王都からの眺めは四方共に壁しか見えないんだけどね。


内壁の中に王城や学園といった施設が集中しており、内壁の内側で生活できるだけのものはすべて揃っちゃったりするから、ボクたちは特に用事もなければ王都の街中にくることはほとんどないのだ。


ボクが王都の街中に降りてきたのは、シルに連れられてきてから2度目。そしてもちろん1人で来たことなんて今まで一度も無い。


今日は平日。そのおかげなのか、人通りはシルと来た時より遥かに少なく、比較的冒険者のような格好をしている人が多い。



平日の金曜に街へ行ってみようかな? って言う話は、夜の間にシルとも話した。

シルはお家柄上、あまり授業に出ずに他のことをするのは憚られるそうなのだけれど、魔法科の基礎内容というのは、初級~中級に関しては普通に終わっている生徒も多く、履修だけしておいて他の授業に出たり、その時間を仕事に使うのなんていうのは、特に苦学生には常識の範疇らしい。


ボクは学園の資金は、奨学金で全部賄っているので苦学生とまではいかないけれど、生活費は自分で稼がなくてはいけない。最初にある程度両親に持たせてもらっているし、家で取れた農作物なんかも送ってくれるとは言っていたけれど、自分で稼げる分は稼いでおきたいのだ。


ついでに言えば今日着ている服を買った時に立て替えてもらっている、シルからの借金も早めに返したい!!


今日はバックレース型のタンクトップに、薄いブラウスのトップス、フレアスカート風のスカートコーデにしてみた。

華やかさ満点はさすがに恥ずかしいので、控えめに!


とはいえ、バックレースの部分は透けているし、薄いトップスもブラウス系なので普通に透ける。

まだ夏も先なので少し肌寒いかな?とも思ったけど、最近は毎日つけている下着1枚分を多くつけているので、そこまで寒くも感じないのだ。


下は大分慣れてきたフレアスカート。

靴も何足か買ってあって、ちょっとだけ踵が厚めの靴にした。



こういうファッション性が中世よりは現代よりに発展してくれていたのは、女の子に生まれ変わってとてもよかったと思う。


最初生まれた時の村は、そのまま中世スタイルだったので、それはそれで別に気にはしていなかったし、生まれ変わった頃は、どちらかというと前世の男性の記憶が色濃く残っていたからか、ファッションなんか興味もあまりなかったのだけれど、今はもう殆ど女性脳。前世の記憶があったかな? くらいのもので、男性的な意識は殆ど無くなってきたのだ。


そうなってくると王都や発展した街なんかへ行き、何世紀分?くらいのレベルでファッションが進んでいるこの状況は、嬉しい限りだ。


さすがに、中世スタイルのままでファッションを楽しむなんて意識は起きなかっただろうから。


本来なら、ボク達みたいな平民出身としては手も足もでない高級品なんだろうけど……

買ってしまったものは仕方が無い! 着てあげないとね!



そして、ボクはグリエンタールの街マップにしたがって、とある大きな建物にたどり着いた。


子供の頃に通っていた図書館と同じくらいか、それよりも大きいかもしれない。




大きな押し開きの両扉を潜ると、比較的綺麗な内装に大きなカウンターが見える。


カウンターには受付嬢さんと思しき女性が3人並んでおり、カウンターの横には大きな掲示板が5つも。


そしてカウンターの外には休憩所のようなテーブルに、通路と仕切りが。左右どちら側の壁にも扉があり、どこかへ続いている。


そして何よりテーブルには冒険者の人たちが大勢!


そう、ここは冒険者ギルドなのだ!



すぐに仕事ができて、冒険者という職業にも興味があるボクは、シルと街へ降りてきた時からとても気になっていた建物のひとつ。

今日の空き時間を使って、冒険者ギルドの登録と、できれば簡単なお仕事なんてできればいいな。なんて思っているわけで……


「うわわっ!!」


ルンルン気分で冒険者ギルド内を見て歩いていくと、何かに躓いてしまった。必死にスカートを押さえながらバランスを取る。

後ろを振り返ると、どうやら他人の足に躓いてしまったらしい。


「あの……ごめんなさ」


謝ろうと思い口を開きながら、ゆっくり目線を足から顔へと上げていくと、ニヤニヤとしているおじさんの顔が。

視界が広がり辺りが視野に入ってくると、同じような顔をしたおじさんの集団がボクを見ていた。


うわぁ……これはなんかまずい雰囲気……。


「よう、お嬢ちゃん、みかけねぇ顔だなぁ?」


周りの三下っぽい男共が、何やら席を立ってこちらに寄ってきた。


「あ、あの……ごめんなさい」


とりあえず謝ってやりすごしたい。ささっと引いてみるが、いつの間にか後ろにいた男にぶつかり、腕をつかまれてしまった。


「い、痛い……です」


あ……あれ?

す、すごく怖い。

声がでない。

動悸が……すごい。

何これ。自分の心臓の音?


さっきまでのルンルン気分が一気に崖から突き落とされた気分……


「いやぁ、人の足を踏んどいてそのまま行っちまうのはなぁ?」


「え……いえ……その……」


助けを呼びたいけど、カウンター側には大勢の人がいて、職員さんは気づいてくれていない。

それどころか、テーブル周りにはどうやら仲間内だけらしい。見えない様に壁を作られ、テーブル側に引っ張られてしまった。


う……まずい。


ここってギルド内だよね? ましてや王都の。

だからこそ、こんなことになるなんて思っても見なかったのだけれど、こういう輩はどこにでもいるようだ。

建物の中にいる限り、ある程度は安全だとは思うけれど……


「なぁ? お前いい服着てんなぁ? どっかの商人の子か? ならなんか金目の物でも持ってんだろ? あ?」

「なっ、ない……ないです……何も……」


か、かつあげだ! 助けを呼びたいのに声が出ない。

お金を稼ぎたくてここに来ているのに、金目の物なんて持ってるわけないじゃないか……


「おいおい! おじさん足いてえなぁ? じゃあどうしてくれんだよ? お前が世話でもしてくれんのか? あぁっ?!」


そう言われると、いやらしい目つきで周りのおじさんたちも笑って煽ってくる。

こんなことになっているのに、何で周りも気づいてくれないの!?

と、助けを求めて周りを見渡してみるけど、仕切りの間と間を仲間内で立ち上がって視線を塞がれてしまっていて気がつかないように考えられているようだ。ここまで計画的ってことは、今までにもボクと同じようなことをされてる人がいるってことだ。


とにかく逃げないと……!


そう思い、咄嗟にテーブル側から身を乗り出してみたけど、腕がつかまれたままで引っ張られてしまう。


「きゃっ」


どんっと、そのまま椅子に押し倒される。


これ、ものすごくやばい。え? やばくない?……うそでしょ……?


「あの……」


涙が溢れてくる。


「じゃあ、その着てる服でも貰おうかな?」


何を言われたのか理解できないまま、男の無骨な手が衣服にかかった。


「い、いや……っ」


必死に抵抗するも、怖くて体がうまく動かない。


心臓の音が激しく鳴り響く。




うそ!? うそでしょ……?



誰かっ……お願い……誰でもいいの……誰か……助けて!!





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