それって、もしかして常識なの!?
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水曜。
今日の課目を受ければ、とりあえず取りたい課目は一通り始まることになる。
魔法科 神聖魔法課目
兵科 総合課目
正直、体験履修の際はほとんど体力作りだったので、辛い記憶しかないのだけれど……。
午前の神聖魔法は、ボクにとっては新鮮だった。
元素や次元のように、理数系の基礎知識から入るわけではなく、どちらかというと歴史や文化・地理といった文系の授業だったので、今までの授業のようなおさらいではなく新しい知識分野だったからだ。
ただ、そうとはいっても休憩はあるがぶっ続け4時間座学はなかなかに疲れる。
そのうち実践に入るだろうけど、どちらかというと座学が重要視される分野なだけに、午後に兵科の授業を履修しておいて正解だった。
午後・兵科総合課
「よし、お前らは体力が少なそうだから、20kmを3時間で完走しろ。歩いてもいいぞ?」
……え?
あ、うん。えっと……兵科には、全体講義はなかった。
兵科一般課と言われる軽装・重装・騎乗・射撃課は、それぞれの学課で最初に大きな講義があるらしいけど、武器の配布などが行われるだけらしい。
とりあえず、ボクは金属武器なんて扱っても武器に振り回されてしまう。もうちょっと筋力と体力をつけなければ。そう思って総合課の授業を受けに来たら、強面の教官に走りこみを突然言い渡されたのだ。
兵科は講師ではなく教官らしい。まぁそんなことどうでもいいけど……。
イオネちゃんと思わず顔を見合わせてしまう。
シルはやれやれといった表情ですでにあきらめているようだ。
諦めるというか、やるしかないのだけれど……
それにしても初心者にいきなり20km走れってどんなスパルタなの……?
とりあえずこんなところでめげていてもしょうがないと思い、体を伸ばしていると不思議そうに教官に声をかけられた。
まさか準備運動してる時間すら与えてもらえないの!?
「準備運動? たかだか20kmの走りこみなんて準備運動だろ? その前になんの準備をするんだよ」
おっとぉー!まさかの意識のすれ違いがおきていましたね!
そ、そうですか。20kmを3時間ていうのは準備運動なんですね。ボクは心に刻んでおくことにします。
「20kmを3時間は準備運動にゃならねぇか? せめて20kmだったら30分から1時間で終わらせるくらいはがんばれよ」
はーい! もうお腹いっぱいでーす。聞こえませーん。
イオネちゃんの顔が青い。
シルは割と受け入れているのは、知っていたのかな?
ボクだって農家の一員だったんだ。そんじょそこらの箱入りお嬢様方よりは筋力も体力だってあるに違いない! やればできる!
「お? レティじゃねーか」
走り始めようと思ったら、声をかけられた。
「げぇ」
これ、ボクじゃないよ? シルだからね?
「げぇってなんだよ。げぇって。シルヴィア。」
「あんたは総合課じゃないでしょ? こっちにわざわざこないでよ」
ここは、体験授業の時に模擬戦をやっていた円形の闘技場のような場所。
兵科の様々な課が演習に使っており、雑多に人が入り混じっている。
ちなみに、この内周を一回りすると2kmなんだそうな。
つまりボクたちはこれからグラウンド10周である。なんの罰なんだろうか??
「今はまだ昼休憩中なんだよ。お前らはこれから兵科を受けるのか?」
「……って教えたらあんたもこっち取りそうね……」
「課目によるが、見た感じどうせ総合だろ? 俺はもう取ってないけど、お前らと走るのも楽しそうだな」
「は? 私たちじゃなくてレティと、でしょ? やめときなさいよ。レティが死ぬわ」
ボクとしてもご遠慮願いたい。
「ちなみにボクたちこれから外周なんだけど、リンク王子様は外周何kmくらい走れるの?」
興味本位に聞いてみた。
「ん? ああ、総合課だからな。俺はまぁ調子よければ120kmを1時間はかからないな」
「……は?」
ボクって自分でも思うけど、ほんと素が出ると失礼だよね。
そのうち不敬罪でまじで連れてかれるから、今のうちに直しておかなくては。
「……は……速いんですね……あはは……」
「お前結構度胸あるよな」
うっ。だってしょうがないじゃん! うちの領主様は、若くて気さくだったからか、近所のおばちゃんたちなんて背中バンバン叩いてたくらいだよ? 貴族様との接し方とか知らないんだよ!
「訓練つったって魔法学園だぞ? 自己強化は準備運動の範囲内だからな。覚えてないなら……まぁ、その……なんだ? ご愁傷様?」
な、なんだってー!魔法ありなのか!そりゃそうか……
そういえば今までの私生活では、魔法を使えることは極力隠してきたから、こういった場面で魔法を使いながら生活をするという意識が抜けていた。
自己強化……今日午前で神聖魔法課の授業を受けていたのに入れていない。
シルは当たり前じゃない。とかいう顔をしている。
……あたりまえじゃなーーーい! 先に言ってよーーー!
でもシルは自己強化を他人にかける魔法までは入れていないはずだ。
そうか!
ボクには頼みの綱、イオネちゃんがいるじゃない!
と思ったら、イオネちゃんは自己強化ありで半泣き状態のようだ……。
そりゃ自分を強化したところで、自分のベースが低ければいくら強化したって確かに……たかが知れてるか。
この状態のイオネちゃんに、ボクに強化魔法をかけてもらって置いてったりしたら、ボクはどんな鬼だ。
うん、一緒にがんばろ? イオネちゃん。
ボク、強化魔法ないけどね。




