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意外と難しいんです!

薬剤課の講義室は、体験履修に来たときにお世話になったセト先生の研究室の横にあった。

結構小さめの30~40人程度が入ればいっぱいになってしまうくらいの部屋だろうか? 一般的に講義室はこのくらいの大きさだ。


部屋に入ると、既に全体講義を別の日に終えている生徒が授業を始めていた。


シルの姿も見える。




自由に授業を選択でき、授業の取得回数で授業内容が変わるというシステムが実現できるのは、先生側の多さが成している技だと思う。

全員が講師資格を持っているわけではなく、各講師の下で働く研究員さんが、先生としてボクたち生徒の面倒を見てくれるからだ。特殊魔法課の授業のように、1人につき1人がついてくれるとまでは言わないが、先生1人につき生徒は2~5人多いときでも10人くらいだろう。


前世の時、CMで見た小さな学習塾のようだ。


既に全体講義の終わっている生徒は、先にこの講義室にて授業が始められているのだ。今日薬剤課の授業を取るのはシルもイオネちゃんも初めてなのだけれど、シルとは違う先生の下で授業を受けることになる。



ま、いつも一緒なんだから、別に寂しくなんてないけどね。……ほんとだよ?



そんなことを思いながらイオネちゃんと雑談していると、全体講義が終わったのかセト先生が戻ってきた。


「は~い、それでは全体講義を終えた皆さんも講義に入りましょう。では、最初は私と研究員の先生が回りますので、始めてくださいね」


講義室と研究室を繋いでいるドアから、1人の研究員の先生が出てきた。

実際、今日薬剤課の授業を受けているのは全部で30人ほど。そのうち20人くらいは先輩なので、同学年は10人ほどだろうか。同級生についている先生は3人おり、1人は全体講義を既に受けていた1年生の面倒を見ている。


実際、全部で30人というと少なく感じるが、実はとても多い部類。

全課目17種類のうち、全員が平均的に授業を受けるわけではない。

極端に3年間兵科や魔法科のみなど、1科を受け続ける生徒もいれば、魔法科と研究科オンリーで兵科は一切受けないよ。という生徒だっている。

全校生徒が400人に満たないこの学園では、1課目に30人集まるのはとても多いのだ。


やっぱり、薬剤課は実用的な面で言えば人気が高いのも頷ける。


「今日は少し人が多いので、全体講義を受けてきた1年生は、こっちで錬金板のしくみについてやりましょう」


セト先生がそう言うと、一緒に移動してきた6人は一同に錬金版を机に並べた。


「この中で錬金板を使ったことがある子はいる?」


そう言われると、イオネちゃんを含めた3人が手を挙げた。


「あら、思ったよりも多いのね。それじゃあ、研究科用の事典にも使い方載ってるから、それを見ながら一通り使ってみましょう。今後、特に薬剤課では錬金板の使用頻度はとても高いの。なるべく早く使い慣れるようにね」


さっき貰ったばかりの事典を開いていく。


まだ新しいのに分厚いものだから、開きにくい!!


薬剤課の教室なだけあって、薬草やらなにやらわからない薬品の匂いがするなか、授業は進んでいった。







まだ1回目だけど、薬剤課はやっぱり楽しい。


初日の今日。錬金板の使い方をレクチャーされた後、簡単な薬剤ということで丸薬の精製を実験することになった。


錬金板は、見た目カード型の金属板なのだが、形状記憶合金のように錬金板に刻んである紋様に魔力を流すことで使用目的に合わせた形状に変化するのだ。錬金板には、小さな魔水晶の欠片がいくつか埋め込まれており、それぞれ役割に合った魔法を発動するように組み込まれているのだとか。


中級以上の錬金術を扱うわけでなければ、この簡易錬金板で事足りるのだ。

中級以上の錬金術は、魔法構成や術式を別で用意しなくてはならないし、そもそもこの錬金板だけでは道具が足りないらしい。


小さなお椀型になった錬金板に、必要な素材を入れて練っていく。

ある程度纏まったら、魔力を流して錬金術を発動してみる。


すると、練っている段階では素材がぐちゃぐちゃになっているだけだった丸薬が、一気に纏まって粒状に練成されたのだ。

練っている段階では、直径2cmくらいはあったものが、1cmにも満たない大きさになった。


そこで、周りの生徒を見てみるとそれぞれ違うものができている。


……あれ?


素材は最初、全く同じものを渡されていたし、錬金板の使用方法は事典に載っているため、そこまで難しくはない。錬金術の発動も、錬金板に記録されているものであればなんの問題もなく発動する。


と、いうことは、それ以外が要因ということだろうか?

ボクの丸薬は、茶色で1cm大の球体をつぶしたような大きさだったのに対し、殆ど纏まっていない人や、圧縮が中途半端で形が崩れていたり、薬草と薬剤が混ざりきらず、マーブル色がとても薬とは思えない。


そんな中、イオネちゃんだけ白い薬剤が完成していた。


「ええー? なんでそんな色になるの?」


「いえいえ、レティちゃんだって最初にしたらそこまで纏まるのってすごいんですよ? 皆さん殆ど圧縮もできてないですよね?」


「あ、じゃあ大きさはこのくらいで合ってるんだ?」


「ですね。もっと小さくしちゃってもいいかもしれませんね」


確かに、イオネちゃんの丸薬は0.5cmもないだろう。


「丸薬は正直、薬としては使い勝手がいいのですが、とっても苦いんです。だから一気に飲み込めちゃったほうがいいんですよ」


「なるほどー」


結果を覗いていたセト先生が、それぞれの生徒を回ってきた。


「さすがにイオネは完璧ね。レティーシアさんも、そこまでできれば合格ね。後は魔力の流し方と、素材の捏ね方を工夫してみるといいわ」


魔力の流し方も、錬金術の場合大きく違ってしまうのね。




繊細な魔力操作が必要そうだ。

今度イオネちゃんにも見てもらいながら練習してみよう。




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