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もうちょっと取扱説明書みたいのあっても、いいんだよ?

『主様。只今戻りました』


久しぶりに感じる気配。

影の中に3人の気配を感じ、自分の魔力が湧き上がってくるのを感じる。ただ、それが意味する事を考えてしまうと、喜んでばかりはいられないのだけれど。


「あ、ルージュおかえり。……ってことは?」

『ええ。全て恙無く』


「……そっか。じゃあもう時間もないんだね」

『そうですね。既に動き出しておりますれば』


……そっか。




「ん? どうした?」

「あ、ううん。なんでもない」


とは言ってみたものの、先生の視線がボクの影にちらっと動いたのを見逃す事はない。ルージュ達が影にそのまま移動してきても気配なんかするわけないんだけど、なんでわかったんだろ。


ルージュと契約してからかな。

ボクが槍スキルを取ったあの時みたいで、自分の五感にすごい磨きがかかるって言うのかな? そんな感覚が自分で自覚できるってくらい感じられたように、悪魔ちゃん達3人と契約してからボクが得られたものは、とてつもない魔力量だけじゃないと思う。

魔力量が増えたっていう情報は、視覚的にステータス魔法のおかげでわかるってだけで、明らかに身体的な能力も向上しているのは間違いないと思うんだよね。

あ、もちろん魔力量の総量が増えたって言うのは実感でもちゃんとあるんだよ? まぁ魔力量の場合は、ちょっと今までからしたら桁違いになりすぎて感じやすいってのもあるけどね。


でも、そうでもなければ先生が隠そうとするような目線の動きまで感じる事なんて……。今までできなかっただろうし。

そういう面もあったからこそ、どうにかこないだまでの武道会で、特に魔法禁止の大会で。あんなに強い人たちと試合にはなったかなっていうのはあるんだと思う。いや、個人戦の方は試合にもなってなかったじゃんとか言われたら、認めるしかないんですけど。それでも、半年前までは何あれ意味わかんないとか思いながら兵科の演習を見ていたボクが、その半年間、いくら先生の指導を受けていたとはいえ、まさかそっち側に足を踏み入れることができるなんて普通あり得ないわけだし。


そう考えたらなんかすごい。すごいよね。




「はい、これ。とにかく書き出してみたよ」


そういいながら今のスキル群を先生に書き出して渡してみる。


「ああ? なんだこれ……。固有スキルが増えてんじゃねぇか。やっぱり全然変わってるんだろうがよ」


そういえばルージュ達のことをちゃんと話してないんだから、白亜っていうスキルの事も言ってなくて当たり前か……。先生も悪魔ちゃん達の事は知ってるみたいだし、ここら辺でちゃんと紹介とかしておいた方がいいのかな? 一応シルくらいにしかちゃんと話はしてないんだけど。


「ああ、それね……。ルージュ?」

「はい、ここに。……先日ぶりですね。フレイドラとその宿主様」


「あ、ああ……。」


やっぱりどっかで会ってたんだね。


「申し訳ございません。些細な事でしたので報告する程の事では無いかと思いまして」

「あ、うん。別にいいけど……」


別に先生と会っていようがいまいが、大したことじゃないもんね。

挨拶する程度で一々報告なんてしてられないよね。




あれ……? 先生の様子がおかしい。

すっごい難しい顔をしながら、とても気分が悪そう。

こんな先生初めてみるんですけど……。


「あ~……わりぃ……レティーシア。そいつ……しまってくれねぇか……」

「え? ……う、うん?」


そう言われてルージュとアイコンタクトをすると、ただ頷かれた。

いや、そうじゃないんだけど……。


一人よくわからない状況みたいで聞くにも聞けないんだよ……。


ねぇねぇ。フレイドラって誰なのよ。実はフラ先生の本名とかじゃないよね? ってことは先生の契約精霊さんの名前かな? ルージュにもルージュっていう名前があるんだから、先生の契約精霊さんにだって名前があってもおかしくないもんね。


すぐにルージュの気配が薄くなっていった。

どうやらもう2人の悪魔ちゃん達も呼ばれたら出てくる準備をしていたらしく、すこしがっかりしたような意識を感じ取れてしまった。

……ご、ごめんね。


「……わりぃな。ふぅ」

「うん? どうしたの? なんか気分が悪そうだけど……」


要因は一つしかないんだけど、原因がわからないんだよ?


「ああ。精霊にはな。格ってもんがあるんだよ。まぁ一般的に言やぁ位階ってやつな」

「うん……?」


「あたしの精霊武装見てんだから判んだろうが、あたしにももちろん契約精霊がいんだよ。それも憑依型っつって、あたしの中にいるんだがな……。あいつはダメだ。精霊の中でも格が違いすぎてあたしの中にいる上位精霊程度じゃ萎縮しちまう」


上位精霊程度って、上位精霊って結構すごい精霊じゃなったっけ?

……まぁルージュの元の姿を思い出せば頷けない事もないんだけど、上位精霊と主位精霊って1つしか格っていうのは変わらないと思うんだけど。

精霊の1つ違うっていうのはそれだけ大きな違いってことなんでしょうか。まぁルージュが大層すごい精霊さんなんて事は、召喚された瞬間から知ってるんですけど。


「で? あの悪魔とそのスキルは何の関係があるってんだ?」

「ん? あ、うん。ルージュと契約したらでてきたの。あのスキル」


「はぁ? 精霊との契約は魔力供給で成り立ってんだぞ? なんでそれがスキルなんだよ」


あ、言われてみれば確かに。

ルージュ達が活動するのにあたって消費するのは、ボクの魔力だ。


スキルは魔力を消費しない。

これは転移スキルで体現しているのでなんとなくわかるんだよね。

もちろん魔力を使うスキルもあるけど、それは魔力を上乗せして使うのであって、スキル自体が消費してるわけじゃないんだよ。例えば魔装技みたいなのとかね。


ってことは?

契約自体は魔力を消費したり、魔力量に差が出たりしてる事から実際魔法なのは確かで、じゃあこの悪魔と契約することで得られるスキルの効果っていうのには……また別の意味があるって事になるんですか……ね?




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