お互いを尊敬しあえるのって大事です!
特殊魔法課の授業はフラ先生の言っていた通り、何回かは魔法特性の把握に努めることになった。
魔法構造の最適化・魔法術式の暗記・魔力消費量の計測・応用性。こういった部分を突き詰めてから、実習に移る。現状、あまり躓いている項目はないので、今週か来週中には遅くとも実習に移るとのこと。
魔法構造については先生にだけ公表し、一般には秘匿してもらうようにした。
「魔法構造を教えてくれないか?」
そう、フラ先生に言われて一瞬渋ったことに、フラ先生が気を利かせてくれたのだ。
まだ先生は魔法構造の内容を読み取れるわけではないようだけど、これが読めてしまう人がでてこないとも限らない。
光を透過させる魔法構造の、あの部分に気づかれてしまうのは非常にまずい気がする。まだ検証もしていないので、実習にでてから検証してみようと思う。実際思ったとおりにはいかないのかもしれないしね。
そんなこんなで午前の授業も終わり、午後に差し掛かった。
今日は初めての研究科履修なので、魔法科のときと同じく全体講義がある。
シルは研究科の履修量の多さから、既に研究科全体講義には出終わっており、今はイオネちゃんと二人。
「イオネちゃん、あれから研究科には顔だしたの?」
イオネちゃんは、これから始まる授業にとても上機嫌。待ちきれなさそうだ。
「はい! 何回か体験履修の時にもお邪魔したりしていましたよ。ノイ先生や、先生の研究室にいる先輩方ともあらかた挨拶もできましたし!」
「イオネちゃん、もうセト先生のこと名前で呼んでるの!? はやー!」
「あ、そうなんです!研究室の皆さんがそう呼んでたのが移ってしまって……。セト先生よりもノイ先生のが響きが可愛いよねって」
「そっかぁ、薬剤課は女性が多いもんね。そういうのもありかも!」
兵科は9割以上男だし、魔法科は男女比は同じくらい。そうなると研究科はどちらかというと女性の園。
その中でも薬剤課は、どちらかと言えばリケジョが多いので、そこまで“貴族っぽいお嬢様の群れ”感がない分、ボクやイオネちゃんには馴染みやすいのかもしれない。
「薬剤課も120単位を履修すれば研究室に入れるそうなので、できれば今年中には取ってしまおうかと思いまして!」
「ってことは週4単位ペースかぁ。ボクも、もしかしたら週2くらいは通えるかもしれないから、その時はよろしくね!」
「はい! 授業進度は変わってしまいますが、教室は一緒ですもんね。もし何かあれば、いつでも聞いてくださいね!」
「オッケー! その分ボクは魔法科ならできるから、イオネちゃんも聞いてね?」
「はい! 私、魔法の授業はここにきて初めて受けるので、よくわからなくて……」
「だよね~……おっと」
研究科の講師が教室に入ってきた。
魔法科のときのように、大きな荷物を抱えている人が数人いる。
「は~い、こんにちは。研究科の全体講義を始めるわよ~」
あ、セト先生だ。
「今日の午後から研究科のいずれかの授業を履修している子は、この全体講義から始まりま~す。っていっても、必要最低限の器具だけ配布したら、それぞれの課に移動してもらうから、効率よく持っていくよ~に~」
配られるものは主に
簡易錬金板 研究科用事典
の2つ。
簡易錬金板は、研究科の部屋に置いてある錬金用器具の持ち出し用で、カードサイズの金属板にしか見えない。どうやってこれで錬金術をやるんだろう?
研究科用事典は、魔法科のステータス管理術式内にある辞書にはない、ポーション精製の方法や魔法構造といった、専門用の事典だ。わざわざ本型なのは、錬金中に他のことに魔力を使って失敗したら目もあてられないから、らしい。
確かに魔法なんていうのは、最初の魔水晶への投資さえできれば後は資源は自分のマナだけ。
それに比べて、研究科で使う魔法は素材が必要なため、失敗はそのまま損失となってしまうわけだ。
魔法科のときのような、いちいち登録を管理する作業もないため、流れるように進んでいく。
「あら、貴女は……体験履修の初日にイオネさんと来てくれてた子よねぇ?」
ボクの番になったところで、セト先生が話しかけてくれた。
こういうときは覚えやすい外見していることがよかったと思える。
「あ、はい! そうです」
「レティーシアさんでいいのかしら?」
「はい! あれ? もしかしてボク、自己紹介してませんでした?」
「そうなのよ~!ごめんなさいね。私も聞きそびれちゃったのよ。イオネさんがよく貴女のこと話すから、なんとなく名前を知ることはできたのだけれど」
「す、すみません! レティーシアです。家は農家なので家名とかはないんです」
「ああ! 貴女があの……! なるほど~覚えやすいわね」
「あはは、ですよね。よく言われます。これから薬剤課の授業を受けに行くんですよ!」
「そうなの? なら私も配布終わったら行くから、先行って待ってて~」
「は~い! 先に行ってますね~!」
「レティちゃん待って! 私も一緒に行くから!」
いけない、イオネちゃんを置いていってしまうところでした!
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