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礼儀作法ってなんだろね?おいしいの?

「ほらよ」

「あ。ありがとう先生」


最近では、午前から特殊魔法科の授業がある日であれば、朝5時前にはフラ先生の研究室へ来て、朝食をフラ先生と一緒に頂くのが日課になってたり。

先生も売って余りある素材の消費先なんかも探してたみたいで、一人分を作るのも二人分を作るのも一緒だって言いながら普通に朝食を作ってくれる。

冒険者の、それもトップの人なんだから意外って言ったら失礼かもしれないけど、先生も普通に料理くらいはできるわけで。ボクが作るのなんかよりおいしい料理がでてくるし、先生ってば色んな冒険先で狩ってきた魔物やモンスターなんかの可食知識とか、解体・保存方法なんかも完璧に頭に入っているわけで、そんじょそこらのお店では調達すらできないような食材がいっぱい並ぶってわけ。


ね? ご相伴に預からない手はないでしょ?


「ほっ……」


そういえばこれってコーヒーだよね。

こういうのもどこか誰かの先人が持ち込んだのかな?

やっぱり地球と環境がほとんど同じだから、生息する植物や動物なんかも似たりするのかもしれないね。


「……お前、本当に15歳かよ? ブラックコーヒーで落ち着いてるとこ見ると、どうしても歳偽ってんじゃねぇか疑いたくなってくるぞ」

「もう16歳ですぅ~」


「ああ? もう誕生日過ぎてんのか」

「プレゼントとか、くれてもいいんだよ?」


「ん? ああ……」


そういうと先生がおもむろに研究室の棚をあさり始めた。


「ほれよ」


小さな小箱を投げて渡される。


「え?」

「プレゼント。欲しいんだろ?」


「……え? 本当に貰っていいの?」

「ああ。どうせやるつもりだったんだ」


まさか冗談で言ってたつもりが、本当にプレゼントを貰えちゃったことに戸惑いながらも普通に嬉しかったりする。表情筋が仕事をしようと頑張ってるけど、今は頑張らなくてもいいんだよ!?

中身はなんでしょうか! ボク、気になりますっ!!


「あ、あけてもいいの?」

「いいぞ」


小さな小箱。

片手に収まっちゃうくらいだけれど、そこまで軽くない程度の重さを感じるから何かが中に入っているのはすぐにわかる。


「わぁ綺麗! ……でもなぁに? これ。魔宝石みたいなのついてるし、魔道具か何かなの?」


ブレスレット? くらいの大きさで、紐が幾重にか重なっている。赤い紐と青い紐が螺旋状になっていて、一つの宝石で纏められていた。綺麗な透明の宝石。透明なのに一発で魔水晶でも魔結晶でもないことがわかるくらい、綺麗なカット……って言っていいのかな? がされていて、虹色に輝いている。


「いや……。魔宝石の一種なのは確かだが単なる飾りだ。特に意味はねぇぞ」

「……? そう、なんだ。ありがとう先生」


なんだかちょっと歯切れが悪いように言われたのが気になったりもするけど、先生からのプレゼントなんだし悪いって事は無いよね? もしかしたら何かを隠してるのかもしれないけど、このタイミングで言われないのであれば伝えるべきことじゃないのかもしれないしね。


「ああ、後ほれよ。これも来てたから貰ってきておいてやったぞ」

「わっと! ちょっと先生! なんでも投げないでよっ!」


「ああ? それくらい受けとれんだろうがよ。落とすなよ」

「先生の淑女の嗜みとやらは一体どこにいってしまったのやら」


今度はカードが投げてよこされた。

右上に白い小さな魔宝石がはめ込まれてて、見たことのあるカード。


「あ。これ、上級冒険者証?」

「ああ。よかったじゃねぇか。なんかギルドマスターのおっさんが色々文句言ってやがったぞ。予算がうんたらとか……?」


「ん~? 何のことかなぁ? ボクちょっと心当たりないからわっかんなぁい」

「ま、どうせ向こうの自業自得だろ。別に何してようが構わん」


「あはは~……」


確か先生のカードを見たときには、この他よりも大きな白い魔宝石の横に何個か魔宝石が嵌め込まれていた気がするから、それが上級冒険者になってからの功績とかで追加されるやつなんだろうね。確かに加工しやすいようにカードの右半分と左半分の素材が違うようにできているみたい。


「でも嬉しいかも。身分証にもなるんでしょ?」

「今のお前には一応騎士位の身分が保証されてるんだろ。今更冒険者証の身分証明なんざ、あってないようなもんだぞ」


「あ。そだった……」


そういえばそんな事言われた気もするけど、結局まだそっちのバッジ? みたいなのは、まだ魔宝石を渡してから戻ってきてないし、特に現状あれから何の通達が来るわけでもなくて、やる事もないから実感ないんだよね……。本当に騎士位っていう身分がとれたのかすら、自分でも全く実感もないし。


「ま、とにかくいいから朝飯食っちまえよ。冷めたら美味くなくなるだろ」

「はぁい。にしても、先生も冷めるとか冷めないとか気にするんだね」


「飯はモチベーションだって前から教えてんだろうがよ。美味いもんを美味いうちに食えるのに、わざわざ不味くなってから食うのは勿体ないだろ?」

「そーでしたっ!」


もにゅもにゅ……。

むふふ。


先生、毎日ここで朝食作ってくれないかなぁ。

そうしてくれれば毎日でもくるのにね!

とはいえ、先生もここの講師の方が副業みたいなものだからね。朝から学園にいるのなんて、特殊魔法課の授業があるときだけらしいから、結局のところ無理なんだけど。


「ね~先生。騎士位って言うのは何するの?」

「あぁ? 何も聞いてないのか?」


「う……うん……」

「はぁ? んなわけ……ああ、お前もしかして王城に登録行ってないのか。」


「……え?」

「受勲した時に言われなかったか? 爵位か騎士位を賜ったら家紋を作る必要があるって。お前、確か戦後の受勲式にはいかなかったんだよな? ……まぁ戦争への参加形式が特殊だったから呼ばれてもいねぇだろうが」


あ……。あれって呼ばれてすらいなかったのね。よかった。

いやね? ちょっとは気になってたんだよね。だってお偉いさんが開いてる式典みたいなのに、いち平民でしかないボクが出席しないのってすごい反感とか買いそうじゃない? しかも、その補填にわざわざ王様自らが休養地にまで足運んでくれてるって。流石に礼儀や作法を知らないとか、この国の常識を知らないとか言われ続けてきたボクだって、それがどれだけの事かくらいは分かっちゃったりするわけなのよ。この国には出来た貴族の人が多いとはボクも思うけど、戦争の時に会ったような……正直イメージ通りの貴族の人だっているんだもん。そういう人達に目を付けられたりしたら嫌だし、わざわざ目を付けられそうな話題を自分で提供するなんてこと、最低限目の届く範囲ではしたいわけもないしね。


「あ、そうそう。でもなんか紋章? みたいなのは作るんだよって言われたから、なんかその時に持ってた黒十字の魔結晶渡してこのイメージで作って欲しいって王様に渡したよ? なんか作ってくれるっていうから……」

「は? あ、あぁ……。前から思ってたけどお前結構図太いよな……。普通に考えて国民が王にそんな事頼むとかありねぇんだけどな」



……め、目の届く範囲の話だからね?

知らないことは……ね? 仕方がないよね?


「……だ、ダメだった?」

「ダメじゃねぇが……。よくはねぇだろうよ」


「そういうの、今更言われても遅いんだよ……?」

「知るかよ。この学園じゃ礼儀作法の講義なんてねぇんだからよ」


「なんでないの!?」

「貴族学校までに全部終わってるもんだからだ」


「行ってないよ!!」

「知るかよ……そもそも貴族学校卒業が前提の学園なんだよ。ここは」


そんなのどうしようもなくない!?

……まぁ、2ヶ月以上経ってお咎めみたいなのは今の所ないし、王様もそこまでむっとしたような顔とかもしてなかったと思うし……。あ、王子の2人はなんか慌てたような仕草をしていた気もするけど、それは終始そうだったし……。


だ、大丈夫だよね?……うん。きっと大丈夫。

何かあったらあった時に考えよ!


ん? ……あ、えっと……グリエンタールさん?

これフラグじゃないんで。

回収しなくていいですからね?


絶対だよ?

押すなよ押すなよ(PUSH ME)ってやつじゃ、ないからね!?




359部にてブクマと評価お願いします!ってお願いあとがきで書いたら、ランキング少し乗るくらいまでいきました!いや、100位以下ですけどね。でも嬉しいです。ありがとう!


3幕入ってPV数が少しずつ戻ってきました。

よかった・・・。

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