表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
361/515

人と人とが争ってる場合じゃ、無いと思うんだけどなぁ。

竜王国復活の幇助及び、復活に関するグルーネ国への支援取り付け。ただし、その対価としてロト・エリュトス・フリージア・カルセオラリア4国に対する内部情報共有の締結と竜王国復活に関する全ての情報開示。


ボクがフェミリアさんと約束したのは、簡単に言えばこんな感じの内容だった。


もちろん()()()()()()()()んだけど、大まかに言ってしまえばこれがすべてではある。フェミリアさんの目的である竜王国とやらの復活に協力するから、エリュトスとかの内部情報教えてね? ってことね。


長年グルーネがエリュトスに侵攻されている中、大した報復もせずに放置していたのには、当たり前だけど理由があった。もちろん放置していても大した怪我人の出る戦争じゃないから、国どころか民衆からもそこまで重要視されていなかったっていうのもお粗末な話なんだけど事実で、エリュトスという国を手に入れるメリットが、グルーネ国にはほとんど無かったからだ。全く無いという訳でもないが、それでもむしろその後起こり得るデメリットの大きさを考えれば、全く以って魅力のないメリットでしかない。

つまりデメリットが大きすぎた為、あくまで放置していたに過ぎない。


じゃあそもそもそんな国力の差があって、なんでエリュトスは対話という道を選ばず戦争なんていう敵いもしない武力に訴えて出てくるんだろう? 不思議だよね? だって戦力を揃えるには最低限のお金と人材が必要となってくるし、じゃあいざ戦力を用意しましたとなった後だって指導するのもタダじゃない。それもじゃあ戦争で相手国を疲弊させられるならまだしも、毎回毎回負け続けて自国の戦力と予算を減らし続ける事なんて、エリュトスとして国のメリットなんてあるはずがないのだから。それなら最初っからグルーネだけとは言わずとも、近隣諸国に助けを求めて手を差し伸べてもらう方が楽で、戦争などという暴力的で反感しか買わなず、自分の首を絞めるような手段に出るよりも明らかに確実で未来もある。そこに国力が伴っていないのなら尚更そうするべきでしょ?


……そりゃ、国として他の国に助けを求めるって事は、その国よりも下に見られるってことに他ならないし、今後その国には頭が上がらなくなったりして、もしかしたら隷属を求められるだなんてこともあるかもしれないけど、相手の国の性質を見られないなら、そもそも国を管理なんてできっこないんだから滅びて当たり前なんだよね。

あなた達が戦争を仕掛けているグルーネは、中枢の人達を見ていればそんな人として腐っている人なんていない事がボクだって判る。


普通に考えてね?何がしたいのか全然わかんないでしょ。

行動自体が死にたがっているとしか思えない。

それも国民を巻き込んで。

そんなの国を統治する者が行う統治じゃないし、国民も立ち上がるべきなのに蜂起する素振りは一切見せず、国の意のまま勝ち目のない戦争へと望みを賭けているかのように振る舞う。




エリュトスには資源が無い。

()()()()()()()()

エリュトスには勝つ気が無い。

()()()()()()()()()

エリュトスには国民を(うれ)う気持ちが無い。

もう既に……

自滅の道を歩むために導かれた、()()()()()()()()()()()()()()()()()()







この世界の情勢は、前世のように平和などでは決して無い。

グルーネのように治安が守られていたとしても、マナを原点にマナ溜りなんてものが発生して魔物や魔獣はそこかしこに発生してしまうし、そんな突然起こり得る自然災害の如く、注意しようも無い危険に巻き込まれる死亡事故なんて珍しくもない。一歩人類の国が統治する領土を踏み出せばそこは地獄に等しいような世界が待ち受けている……らしい。そこはボクもフラ先生から聞いた受け売りだからまだ知らないけど、確かに戦争の時に砦を飛び出していった時に見たあの大量のモンスター軍は、未開の地から調達されているわけで。更に言えば未開拓地にはまだラーズニクスみたいな古代兵器が放置されたまま残っていたり、毎年大群のモンスターパレードが押し寄せるくらいには魔物が沸くスポットがダンジョンを含めて無数に放置されたままとなっている。


ちゃんと現状を理解しているのであれば、それだけ未だ人類の存亡すら危うい危機的な状況にもかかわらず、人類という同じ種族同士が争っているなんていうこの状況は、一般市民のボクからしてみたら相変わらず訳がわかんないんだけどね。それでも起きてしまっているのだから仕方がない。これが現実なんだもん。

そして、それだけ危険でいっぱいで、平和なんかじゃないこの世界での人類の戦争に……人類間で制定されている協定上の決まり事なんて、大した意味を成さない()()()()るわけだ。

そりゃ、戦争協定っていうのは守るために制定されているし、それはそれぞれの国同士で守りあっている……(てい)になっている。明らかにその協定から逸脱すれば協定参加国からの報復を受ける事は必至で、逸脱した行為が自国を締め付けるなんてことは容易に想像できること。自分がして相手が嫌がる行為は、得てして自分がされても嫌なわけだ。ルールを守らない国には、ルールは適用されないとなれば、すべての国からどんな違法行為を受けようが、誰も助けてなどくれなくなってしまう。


……では、協定に参加できない国はどうだろうか? 誰にも助けて貰えないのであれば、弱小国は潰れるしかない。

取れる方法はいくつか考えられる。

まず他国に救い手の差し伸べて貰う事。

もちろんこれは、先述したようにリスクが伴う。そして、そのリスクを減らす方法として自国のメリットを作らなければならない。

先進的な魔法や魔道具の開発なんかは、今の時代最も喜ばれる一つの技術だろうし、それに付随するように装飾品の加工技術などもあげられるだろう。食料品の生産性などもいいかもしれない。人間、生きていくために食料は必ず必要なのだから。

そうやって他国に援助を申し込み、どうにか国として繋いでいく。そして借りていた借金を返せるほどになれば、国としてやっと独立していける形になっていくのだ。




グルーネと言う国は、賢王という英雄とも呼べる存在がいてこそ成り立った国。賢王がグルーネの王として君臨するまでは、どちらかと言えば支援してもらう側の小国だったのだ。

もちろん今の発展状況を見れば、賢王が一代で成し遂げただけで良しとせず、自分の没後まで見据えて国を導いてくれたことは明らかで、そんな賢王には感謝しかない事は国民の誰を見ても明らかだと思う。これは個人的な例え話になっちゃうんだけど、グルーネ国民に賢王の支持率みたいなのを調査なんかしてみたら、100%みたいな数字が出てきたとしてもおかしくないと思うんだよね。まぁ個人の思想は自由だから、そういう100%みたいなのを嫌う人っていうのもでてくるだろうし、実際そんな数字にはならないのかもしれないけどね。


でも、そんな賢王という存在がグルーネにとって最大の幸運だった事は明白。

賢王の存在がなければ確実に今日までのグルーネの発展は無かっただろうし、賢王の血筋を継いでいる人物の有能さが特にすごい。現代チート筆頭のシルに、王族であるティオナさんに王子兄弟、公爵家のヴィンフリーデさん達やらフラ先生。これだけ揃っていて賢王の一族という特殊一族に何の力も芽生えないなんてこと、絶対ないでしょ。

結果的に賢王は、ただ単純に転移してきた人ってだけじゃなくて、優秀な遺伝子の持ち主だったってことになる。没後まで発展を見据えて国に貢献できるなんて、転移してきたからって出来る事じゃないもんね。


そしてエリュトスと言う国は、そんな英雄の現れる暇も無く滅びの道をずっとひたすら歩み続けている奴隷国家となり果ててしまった国。助けは求めたのだろう。ただ、情報収集力が無かったのだ。助を求めた先に隷属させられ、成すすべもないまま滅びを待ち、使い潰すには好都合と、ポッと出のグルーネの頭を叩くために使われて数年。もう国力なんて残っていない。

ボクはルージュ達の報告で初めて知ったんだけど、どうやらグルーネもエリュトスがそういう状況だってことを、上層部のほうでは掴んでいるんだって。こないだ学園祭の中でルージュがシルに戦争の報告をした際、すり合わせの情報として提示されてたのを、ボクもルージュと一緒に聞いたり。


ちなみに、シルはルージュを呼ぶためにボクを近くへと呼ぶ。

それは、ルージュがボクの契約精霊だから、という理由だけではなく、ボクに聞かせるためだと思う。ルージュが入手している情報はボクにも入ってくるけど、シルと情報をすり合わせることで、色々な状況が見えてくるからだ。




グルーネが今までエリュトスを放置するしかなかったのは、もちろんエリュトスを統治するメリットがないことが大きくあったんだけど、国力的にはできない程でもない。むしろその後が大問題で、もしもグルーネがエリュトスを潰してしまったら、支援国として名乗り出ているエリュトスの東にある国家フリージアとカルセオラリアに戦争の大義名分を与えてしまう為だったとのこと。

こういうすり合わせをちゃんとしないでボクが勝手なことをしていたら、大戦争なんかに発展しかねないわけで、良かれと思ってすることも大惨事となり得てしまう。


そしてロトも実はエリュトスに支援を送っている国。

そりゃね? 隣国の情勢が悪いって言うのは、隣国だけの問題じゃないんだから当たり前と言えば当たり前の話で、ロトが支援するのも慈悲だけの慈善事業なんかでは決してないんだけどね。

情勢が悪ければ治安も悪化する。もちろんそれは隣国にも伝播してしまうだろうから、そういった理由でも持ち直して欲しいっていうのもある。けど、一番の理由として、ロトは今まさに戦争しているように、フリージアとカルセオラリアの両国と戦争している為、ロトの国境南部を占めるエリュトスには、なんとしても()を張り巡らせたいわけで、潰れてもらうわけにもいかないのだ。


いくら今戦争しているからとはいえ、明日どうなるかなんて誰にもわからない。グルーネからすれば、もしもロトがフリージア・カルセオラリア同盟国と組むなんて話になってしまったら、エリュトス侵攻によってグルーネだって流石に滅びの道を歩みかねない。

この世界では魔法なんていうものがあって、その才能によって個人が戦略級・戦術級の強さを持っている事も珍しくないとは言え……戦争とは根本の所、数なのだから。



ロトは大軍事国家なのだ。




ここから先は、その4国間でのナイーブな立ち回りが求められる事になる。




昨日感想でいただいたマップ作成ツール。

無料分だと使えるツールは少ない物の、結構いい感じで作れるのでグルーネ周りのマップが作れたら設定資料集の話でも挿入して入れようと思います!

お楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ