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赤髪兄妹は、これから感じ得る気配に備えます。

当初よりも少し設定回収し終わりませんが、明日から3幕に移ります。

「あの~。すみません。つかぬ事をお伺いするのですが、この村にレティーシアっつー真っ白な女の子って見かけたことないですかね? ……ああ、すみません。わたくし魔法学園で講師をしているフラ・ヴィシュトンテイルという者でして……」

「ああ、レティーシアちゃん? ほら、あそこの村の一番端っこの。畑があるお家がそうだよ。魔法学園の先生がこんな所まで、家庭訪問かい? 大変だねぇ」


「あ、いえ。……ありがとうございました」


敬語なんて何年ぶりに使ったよ。疲れる。


じいさんに教えてもらった家の前に着くと、家の玄関から右側に大きな畑が広がっていた。作業している人の姿が見える。もしかしてレティーシアの親父さんか?


「あの~! すみません。こちらレティーシアさんのご自宅ですか?」

「……はい?」


ん? なんか反応が薄いな。

流石に村の名前を間違えたなんてことはねぇだろうし、さっきのじいさんもレティーシアという名前と特徴は一致してる反応だったのに。それとも、もしかしてこの畑はレティーシアの家のものじゃねぇのか……? いやいや、それにしては敷地内にありすぎるよな……?


「すみません、こちらにレティーシアさんという……」

「ああ、ごめんなさい。私今日はこちらの畑の面倒を見るようにと連れてこられた者でして……。このご自宅の方とは面識がないんですよ……。」


「は……? あ、そ、そうなんですか……」


面識が無い人間に畑を任せる農家なんているか??

意味がわからん。


「そ、それじゃあこちらの家の人はどこへ?」

「ええ、なんでもラインハート公爵様の招待でどこかへご旅行へ行かれているんだそうですよ。すごいですよね。こんな辺境の村の農家が、あのラインハート家の皆さんと面識があるなんて」


あ~くっそ。まじかよシルヴィア……タイミングが悪すぎるだろ。

旅行なんて言われればどこに行ったのかすらわからなくなる。ラインハート領だったとしても、あそこの領地は広すぎてデカい街1つ探すだけでも無理だろ。

流石に今の情勢から国外に出るなんてことはないだろうが、国中を片っ端から捜し歩くわけにもいかねぇしなぁ……。


「どこに行ったかなんて聞いてたりは……?」

「すみません。こちらで最大2週間程畑の世話をするようにギルドの依頼を受けただけですので……。家の人のことまではさっぱりで……」


最大2週間て。

一体何処をほっつき歩くつもりだ。


「そ、そうですか……。ありがとうございます」


確かに家の中から人の気配はしない。

早速行きづまったが、ある意味この情報が得られただけでも足を運んだ甲斐もあったってもんかもしれねぇな。……つまりはシルヴィアと一緒にいるんだろ? 流石にシルヴィアならレティーシアの行動も把握してるだろうし、何かあれば対処ができる奴だ。


……それに、もしシルヴィアの手伝いとしてレティーシアの悪魔どもが動いているなら、それはうちにとって相当ありがてぇ事にしかならないだろうし。


……はぁ。無駄足だったが、戻るしかねぇな。

あーあ。戻ったらあいつと顔合わせんだろうなぁ。めんどくせぇ。




「フ、フラッ!!」

「うざっ!」


結局、肝心の事件の中心人物に会う事は叶わずクランアジトへ戻ってくると、予想通りの人物が予想通りの行動で出迎えてきやがった。

両手を広げて抱きついてこようとしやがるこいつ(フレディ)に、一歩下がりながら顔面パンチをお見舞いしてやるが何の効果もなく捕まってしまった。


「うぐっ。てめ、この離しやがれ!」

「んん~~。いつ見てもフラは可愛いねぇ」


背もあたしなんかより20cmくらい高いせいで手足は長く、ひょろっとしてるくせに無駄な脂肪や筋肉がないだけでめちゃくちゃ頑丈。

あたしの所属しているクラン『プトレマイオス』のデネブパーティリーダー。フレディ・ヴィシュトンテイル。ヴィシュトンテイル家の次男で、今はメルの恋人でもある。

クランメンバーの中ではもう常識と化しちまったんだが、とにかく性格が大げさで厄介。あたしがいると役立たずになるからって言う理由で、クランメンバーからはあたしと一緒に行動する事をかなり嫌がられる程のシスコン野郎。ちなみにあたしの方も、こいつが周りにいるとうざ過ぎて面倒くさいから一緒に行動とか勘弁して欲しいし、クランメンバーが遠ざけてくれるのはすげぇありがたい。


……まぁあたしさえいなけりゃ、その大げさな性格さえ気にしなければな……普通に戦闘に関しては有能すぎるんだけどな。正直あたしは兄2人に喧嘩で勝てる気はしない。今だってこいつの抱擁を避けるどころか逃げる事すら叶わねぇんだから。




「……ねぇフレディ様。そろそろ離してあげてもいいんじゃない?」


メル。あたしの事を睨んでもしょうがねぇだろ。


「んん? メルがそういうなら仕方ないねっ! 久しぶりに会ったんだ! 今夜一緒にお風呂に入ってお食事をしようね! フラッ!! お兄ちゃんが一緒にいる間たくさん面倒みてあげるからねっ!」

「きめぇんだよてめぇ……」


「ああっ。反抗期のフラも可愛い……」

「フ、フレディ様? 流石にその歳の兄妹は一緒にお風呂とか入らないわ」


反抗期でもねぇんだよ。


「んん? だけれど大切な妹に傷なんかついていたらどうするんだい? 僕が隅々まで治してあげないといけないじゃないか」

「ねぇフレディ様? フラがお嫁に行ったらどうするの? 流石にお兄さんがこんなに妹にべったりしてたら、フラだっていつまで経っても結婚できないじゃない」


「ははっ……。メ、メルは面白い冗談を言うね……? フラが結婚だなんて……うっ……」


あからさまに落ち込むなよ。まじで気持ち悪ぃ……。


ブツブツ独り言を言い始めたフレディから抜け出し、その場に放置して他のメンバーと部屋を移る。フレディと一緒にいたメンバーも戻ってきているせいで、普通の一軒家程度の広さでしかないアジトには過剰気味の人数が待機していた。


「おっ。妹ちゃん。会うのは久しぶりだなぁ」


そんな会話を普段デネブでフレディと行動を共にしている連中にされながら、今回の事の経緯を説明していく。フレディのパーティであるデネブの連中は、基本フレディの付き人や友人関係で構築されているのもあって、あたしのパーティメンバーよりも相対的に年齢層が高めなんだ。


「ふぅむ。うちのクランメンバー10人がかりで囲んで抜けられる人物かぁ。そんなのが3人もいるとなると、これから起こりうるその“何事か”の規模によっては……フォーマルハウト様にも戻ってきてもらう事にもなりかねないねぇ」

「フレディじゃなくて最初からハウト戻して欲しかったんだがな」


「ははは。それは難しいんじゃない? フォーマルハウト様は、確か北部未開拓地にあるダンジョンの攻略中だ。戻ってくるにしたって相当時間掛かるだろうし、そもそも相当な理由が無けりゃ戻りたくないだろうしね。未開拓地のダンジョン攻略はただでさえ進むのが大変なんだ。その攻略がリセットされることになってしまうのだし。……あぁ、妹ちゃんがお兄様にどうしてもって懇願したら、そりゃもう星の速度で帰ってくるだろうけどね?」


……一番上の兄も、フレディほどうざいわけじゃないからいいが、まぁシスコンの類だろうからな。おかげで扱いやすくて助かるが、そのせいでクランの連中からはいい様に使われてあたしは迷惑してるんだ。


ヴィシュトンテイル家は、まだ親世代から家督をフォーマルハウトが継いでいないから子供世代である私達の兄弟はその3人。

あたしは正直戦闘力で言えばヴィンフリーデの様な戦略級程の価値はないが、兄の2人は間違いなくヴィンフリーデと肩を並べられる程の実力を持っているといっても過言ではない。特に一番上のフォーマルハウトは、割とヴィンフリーデと並んで称されるくらいには、な。

まぁヴィンフリーデはどちらかと言うと個の戦闘向けだったりするから、戦略価値で言えば遥かはハウトの方が高いだろうけどな。……別にあたしはブラコンとかじゃねぇぞ? 一般的に見て、の話だ。逆に言えば対超級種の個に関してはヴィンフリーデの方が強いってことだからな。



……戦力が整いつつある。

国が転覆しかねない先日の大規模戦争では、規模の把握から実際の侵攻まで1ヶ月の時間も無かったせいで戻す事のできなかった戦力すらもが、今この段階でグルーネに集まってきている。


それもうちの戦力だけではなく、だ。


暗躍している精霊といい……。

嫌な予感がしてんのは、あたしだけじゃねぇんだろうな。


何が起きてんだ? 一体。

今年は王都の周りに異常なモンスターが発生してたりと、普段起こりえないことが起こりすぎている気がするんだよな……。


その中心にいるのは…………



やはり…………



…………





短話集は正直フォロワー離れ激しくてダメダメでしたね・・・。

もっとキャラの個性とか際立たせて面白く出来れたらよかったのにな。また色々考えて見ます。


地図とか綺麗に書けるとイメージを出しやすくていいですよね。

絵でも始めてみようかな?

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