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赤髪先生は、生徒を探して歩きます。

「あ~、フラぁ。お帰り~」

「あ? メル。お前なんでまだいんだよ。戻ったんじゃねぇのか?」


「はぁ? あんなのが国の国境で暗躍してて未開拓地開拓どころじゃないでしょ。何言ってんのよ。もうフレディ様もこっちに呼んじゃったわよ」

「はぁ!? 兄貴(フレディ)呼び戻したのか。いっらねぇ! くっそ面倒増やしやがって……」


「いらねぇじゃないわよ。あんた死にかけたんだからね?」


あのシトラスとかいう悪魔に殴り掛かられた時、ホーラントが間に入ってくれなきゃ、まぁ確かに死んでたかもしれねぇな。


「はぁ? どうせお前が呼びたかっただけだろ?」

「うっうるさいわね! いいでしょ? けけ、結婚……とかしたら、私フラの義姉ちゃんなんだからねっ! わかってるの!?」


「あ~はいはい。お姉様お姉様。是非とも妹であるわたくしめに楽をさせて欲しいものですねぇ?」

「くぅっ! ……もう! こんな可愛くない義妹じゃなくて、どうせならレティ子ちゃんみたいな素直で超可愛い妹が良かったわっ!!」


「おお、そりゃ名案だ。お前どうせ子供なんか産んで育ててる暇ねぇんだし、レティーシア養子にでもして育ててろよ。そしたら万事解決だな。」

「はぁぁぁぁ!? なんで子供産んでる暇ないなんてなるのよ! 産むわよ! 育てるわよ!? 可愛がらせてよっ! ついでにレティ子ちゃんが娘なら喜んで貰うわよ!」


ま、あいつは家族の事大好きそうだからなぁ。養子になんて行くわけねぇし、こいつだっていざ子供ができりゃ、そりゃいい母親にでもなるだろうけどな。

ただ、養子云々は置いておくとしてもメルがあいつの面倒を見るってのは、あたしの中の理想ではあるんだが……。流石にシルヴィアの奴が手放すわけもねぇんだよなぁ。


「そんなことよりもであるな……」

「なんだ。お前もいたのかよホーラント」


こいつ部屋の隅で動かねぇとまじで置物だよな。

まぁこんなむさ苦しい置物、見つけ次第ぶっ壊すけど。


「ちょっと! そんな事って何よ! 跡継ぎってのは一番重要なことでしょ!? まだ長男のフォーマルハウト様だってご結婚していらっしゃらないんだから。私が子供を産んだら、もしかしたらヴィシュトンテイル家の跡取りもうちの子が……うへへ」

「メルお前ちょっと気持ち悪ぃぞ……」


「い、いいじゃない。うちの家族だってヴィシュトンテイル本家の次男と結婚なんて報告したら皆きっとすっごい喜んでくれると思うわ」

「ま、あんな奴お前以外に貰い手ねぇからな。仲良くやってろよ」


「し、失礼ね……。彼にだっていい所くらい沢山あるんだから……」

「ぬぅ……」


つっても、この2人が心配していることは当然の事だ。

正直呼び戻すなら頼りないフレディの方じゃなくてハウトの方を呼び戻して欲しかったが、メルにハウトとの連絡手段はねぇからな。まぁ仕方ねぇか。フレディの方だって、正直性格面はアレでもあたしより遥かに強いしな。戦力にはなんだろ。


大体あんな上位精霊使って国境越えて偵察しているような事が、大したことじゃないはずがないだろ? あ~……まぁあいつなら悪魔の価値なんてもんを全く知らずにお遊び程度で使いに遣したりすんのかもしれねぇけど、悪魔の方にだって拒否権くらいあんだろうよ。それにレティーシアは世間知らずだが馬鹿じゃねぇ。さすがに悪魔の真価を見ずに、お遊び程度になど使わねぇだろうしな……。


「ああ、ちくしょう。レティーシアと連絡手段くらい作っとくんだったなぁ」

「あんたレティ子ちゃんの特殊魔法課専任の講師なんでしょ~? あんまりに厳しくしすぎて距離でも置かれてんじゃないの? 信用ないわねぇ」


まさか夏休み直前に分かれて、まだ夏休み中だってのに、こんなことになるなんて思うわけねぇだろ……。ただでさえ夏休み前なんか戦争準備でばたばたしてたってのに、そんな予測のつけようもない状況にまで頭がまわるかっての。


「とにかく、あたしはレティーシアの実家にでも行ってみるわ。それが一番話が早いだろうからな。悪魔は何をしているのか言えずとも、本人から聞く分には問題ねぇだろ」

「はぁ? 仕事はどうするのよ。クラン運営だってフレディ様が来るまではベガである貴女がいてくれなきゃ困るんですけど!?」


「んなもんお前がやってりゃいいだろうが。未来のお・姉・様?」

「むきぃっ!! クランが一番忙しい時に私が運営なんてできるわけないじゃないっ!!」


「こいつもつけてやるから。な?」

「ぬぅ!? 我であるか?!」


棒立ちになっている銅像を差し出しておく。


「いらないわよっ! こんな木偶の棒!!」

「ぬぅっ!?」

「とにかくだ。あたしがいない間にどっか遠征に行くのは控えとけってメンバーには言っておけ。遅くてもフレディの奴だって2,3日もありゃ来れんだろ? そしたら仕事なんか押し付けてやりゃいいじゃねぇか」

「嫌よ! 私がフレディ様に仕事残したみたいになるじゃない!」


「知るか。あいつがそんな事でお前を見損なうこたぁねぇだろうが、失望されたくなけりゃ頑張っておけよ。」

「むきぃっ!!!」


何か遠くのほうで金きり声が聞こえるが、いつもの事だ。

無視して支度をし、クランアジトを出た。


……確かレティーシアの実家は、グルーネ最南端にあるマーデン村ってところだったか? 流石に世界各地を回ったあたしでも、田舎の辺境にある村になど行ったことがあるはずもない。


……いてくれりゃ、ありがてぇんだがなぁ……。




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