♠妹弟達の出会い。
「はいはい。出来ましたよ。」
おじさんがそんなに時間も経たないうちに厨房から戻ってきてくれると、新しいお皿にはさっきユフィが全部残さずに食べちまいやがった料理が乗っている。
部屋の中に運ばれてきただけで香ばしいいい香りが充満して、食欲をそそるなんていう表現が馬鹿らしいくらいに感じる程うまそうだ。
ただでさえ腹が減ってたのに、こんなおいしそうな匂いを嗅いじまったら動けそうにないからな……。まぁユフィが半分残しておいてくれれば良かっただけの話なんだけどな?
それにしても俺が驚いたのは、ユフィがあの量のご飯を全て食えちまった事だ。
ユフィは姉ちゃんと違ってあまり飯を食う方じゃないのに、あの料理はお皿いっぱいに大きく丸く盛ってあって、実際結構量はありそうなんだよな。あの量をこんな短時間で平らげるユフィってのは正直見た事がない。こいつ結構料理とか好きだから、普段なら美味しい料理が出ればどうやって作るのかとか考えながら食ってる所あるのに。
これは相当期待できるんじゃないだろうか。
「……それにしても、お嬢さんの食べっぷりは見ていて気持ちがよかったですね。貴族家のご子息様でもおいしいと感じていただけるなら何よりですな。」
……ん?貴族??……え?ユフィが……?なぜそうなった。
ユフィも貴族だと言われた事がよくわからなかったみたいで、少し困った顔をしている。
「あの……俺たち別に貴族とかじゃないので……。」
正直、もしもこのおじさんの善意が、よくわからない理由だけど貴族だったから。となるのであれば俺としてはかなり困る。目の前にあるこの料理がお預けになっちまうわけだからな……。
とは言え、面倒だろうに善意で飯まで食わしてくれて、靴を洗うように水まで用意してくれたおじさんに勘違いさせたまま甘えるわけにも行かないのは確かだ。
「ん?そうなんですか?てっきり2人とも第一貴学の制服を着ているから、貴族のご子息なのかと思っておりましたよ。いやぁ、それではどこかの豪族の方か、大商人の?」
「あ、いえ……普通に、ここからかなり南にある村の農家の息子です……。」
「……え?そう……なんですか。」
「は、はい……。」
俺達が貴族じゃないってことで、おじさんの善意が薄れないか少しばかり緊張してしまう。
「へぇ……それはちょっと信じられませんが……。とにかく貴方はお料理が冷めてしまいますよ?食べてくださいな。」
「え?いいんですか……?」
「はい。もちろん。……もしかして私に下心があったんじゃないかと疑いました?」
「へ!?いや、そ、そんなことは……全然……。」
心の内を見透かされたようで思いっきり慌ててしまった。
ユフィも同じ事を考えていたせいか、一言も発せず俯いて縮こまってやがる。
こいつ。ずりぃよな……。
「ええ、ええ。気にする事はありませんよ。」
そういいながらお預けを食らっていた食事に手をつけた。
……うを。まじかこれっ!!
な、なるほど……。こりゃユフィが一気に食っちまったのにも納得するわ。
すげぇ美味ぇ。
ってかそれしか表現できないわ。だって食った事ないんだよ。こんな料理……。
「ふふ。貴方達はとてもよく似ていますね。」
「似てません!」
俺が食うのに夢中になっていると、ユフィがすぐに反論した。
俺も同じ意見だ。
「もしかして男女の双子ですか?珍しいですね。」
「え?なんで分かったんですか?私、ジークとは兄妹と見られた事はあっても、双子って最初から言われたことなんて、あんまり無いのに……。」
「こんな商売をしてますとね……。なんとなく話す相手の人となりくらいわかってくるんですよ。」
「へぇ……すごいですねぇ。」
「貴方達が農民のお子さんだってことは、わかりませんでしたけどね。私も修行不足ですな。固定観念……と言う奴でしょうか。」
あ、そっか。
うちの学校は姉ちゃんの行ってる魔法学園程じゃないにせよ、かなり格式の高い学校だ。王都に暮らしていたとしても、行こうと思ってただ単純に入学できるような学校じゃない。
それこそやっぱりお金が掛かるってのが第一の関門なんだろうけど、お金を掛けても行きたい学校っていう事は相当人気も高くてレベルの高い学校っていう事に他ならないって事なんだよな。そうであれば、おじさんがこの制服を着ていた俺たちを金持ちの子供だと思ってしまったって事にも納得が行く。
「ごちそうさまでしたっ!」
自分でも予想外の速さで飯が消えてしまった。
こんな料理食った事ないわ。母さんの飯だって相当美味いし、ユフィの飯だって美味い。でもなんていうか、素材もそうだけど料理の系統って言うのかな。全く新しくて今まで食ってきたり、見てきた料理とは全然違うんだよな。美味しさの質と言うか、方向性が。
「食べっぷりもよく似ていますね。」
「「似てませんっ!」」
「ほら、ぴったり。」
「「……。」」
自分とハモりやがったユフィと睨みあう。
「ふふ。」
笑われてしまった。
「おじさん、今日お店のほうはお休みなの?もう夕飯のお時間としてはちょっと遅いくらいだよ?お店、開けなくていいの?」
ユフィが心配してか、疑問を口にした。
俺も気になってたんだよな。
「ああ……そうですね。いいんですよ……。」
なんとも歯切れの悪い回答が帰ってくると、おじさんの眉間に皺が寄った。
……何か困りごとだろうか。
ユフィも同じ事を感じたらしい。
ちらっと向けた目が合う。
双子だからか?
こういう時何考えてるかわかるのは便利だよな。
一飯の恩……ってわけじゃないけど。
俺たちに何か出来る事があるのなら、力になりたいと思ったんだ。
まぁ、俺たちに出来る事なんてたかが知れてるんだけどな。
金が無いって言われたって、俺達の方がないんだし。
よろしければ、ご意見・ご感想お聞かせください。
ご評価・ブクマのワンクリックがとても励みになります。是非よろしくお願いします。
ブックマークのクリックはすぐ↓に!
ご評価いただける場合は、『連載最新話』の↓にスクロールするとアンケートが表示されています
是非よろしくお願いします!
レ、レビューとか?し、してくれたって・・・?いいんだからねっ!?




