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♥妹弟達の入学式!

妹弟と書いて『いもおと』なんて読ませてみたり。

「どどっどうなってるのよっ!?」

「お、俺にだってわかんねぇよ……。」


私達は今、とっても困難で怪奇的な状況に遭遇しています。


魔法学園への入学資格として貴族学校に通うようにって国から通達があって半年。子学校にすら通っていない私とジークは、学校に来たらどうすればいいかなんてわかんないんです。

すっごく不安で怖い。

だって登校日初日の今日、登校してみたら教室に誰もいないんだもの……。

もしかして登校日を間違えたのかとも思ったけど、ママじゃあるまい。流石に私とジークの2人して日にちを見間違えるなんてことしないだろうし……。

とにかく人の気配がしないんです。どうしよう。


「貴方達!?こんな所で何をしているの?」


ジークと2人であたふたしていると、先生と思しき眼鏡をかけた女性に声を掛けられました。

正直このままジークと2人、誰もいない場所でずっとあたふたしていた所でした。途方に暮れるしかなかったので怒られるのだとしてもありがたい登場です……。


「あ、あの……。」


ジークはパパに似て抜けてるところがあるから、私がしっかりしなくちゃいけません。


「今日初めて学校に来たんですけど、誰もいなくて……。」

「も、もしかして俺たち来る場所間違えてますか?!」


「はぁ!?貴方達パンフレットで入学式の工程読んでないの!?」


パ、パンフレット!?

ってなんでしょうか!?


「パンフレットって、母さんがずっと持って大切にしてたあの本みたいな奴か……?」

「え……?だってあの本はママ用だってママが言ってたし……」


「はぁ。どうだっていいわ!早く講堂へ行きなさい。もう入学生は並んでいるでしょうけどね……。本当に、親御さんは何をしているのかしら。」


「パパとママは……。」


ここにはこれないって言われたんだよね。

着ている服とかで、私達がいじめられたりしないようにって。

私達には生活利用分の制服3着までは奨学金で支給されて、さらには恥ずかしくないようにって私服だって買ってもらったのに。

本当はパパもママも、来たかったはずなのに。


「早く、行った行った!講堂はここから真っ直ぐ行った所に見える、中庭を抜けた先よ。もう式典は始まっているでしょうから?静かに入るのよ?入ったらすぐに先生達が扉の前にいると思うから。指示を仰ぎなさい。」

「あ、ありがとうございました。」


ジークがそうお礼を言って私もジークの後を着いて歩き出す。


「ふてくされんなよな……。」

「だって……。」


なんだかパパとママを馬鹿にされた気がしたんだもん。


いや、よく考えたらママがパンフレットを自分のものにしたまま、内容を読みもせず伝えてくれなかったのが原因ではあるんだろうけど……。

それでも娘としたらいい気分なわけはないんです。



校舎を抜けると、天気のいい日差しが差し込む中庭に出た。

歩道が整備されていて、歩道の上にはちゃんと天井が作ってある。

石造りで豪華な装飾がついていて、私達の村じゃあんな綺麗な作り物なんて見た事もないようなものが、この学校にはそこかしこにあって……。はっきり言っちゃえば怖い。

あんなの壊しちゃったら、弁償なんて絶対にできそうにないので……。


人が4人も横に並べばはみ出ちゃうくらいの歩道は、整備されている場所を1歩出たところから緑に覆われている。

整備された草花が中庭を彩り、大きな1本の木が中心に立っていた。


「おい。早くしないとまずいんだろ?」


はぁ。ジークってば、こういう所が鈍いんだから。

綺麗な景色。ここが都市のど真ん中だなんて、忘れさせてくれるみたいだ。


急がない私にイラついたのか、ジークは一人で勝手に講堂?とやらの入口まで行ってしまった。私がまだ追いついていないのに、もう扉に手を掛け始めている。


「ちょっと!待ってよっ!」


静かな雰囲気の中大声でジークを呼ぶと……。

ジークが開ける前に、扉が向こう側から開いたのだ。

見知らぬ男性がぬっと顔を覗かせる。


「君達は?何故今ここにいる?」

「あ、あの……。」


扉の開いたすぐ目の前にいたジークが、男性の視界に直に入ったのだろう。

男性とジークが扉を挟んで何かひそひそと小声で話しをしているけど、距離が開いてしまっているので私にまで聞こえてこない。……もうちょっと大きな声で話してくれたっていいのに。


駆け足で急いで近づくと、ジークの顔が青ざめている。

ああ、やっぱり遅刻したの、まずかったよね……。


近くまで来る頃には、男性は扉から出てこちら側に来ていた。

扉は既に閉められてしまっている。


「やべぇ……。」


そう呟くジークの声が、私の心臓を焦らせる。


「君達。その制服は新入生だな?今何時だと思ってるんだ?」


「は、はい!すみません!」

「……っ!」


怒られてるとわかってしまったら、私は声すら出せなくなってしまった。

不甲斐ない……。

ジークはよく声出せたわね……。やっぱり男の子だからかな。


「う、煩い!ちょっとこっちに来なさい!」


静かに怒鳴るなんて器用なことをした男性が扉から離れていく背中を、ジークと2人で肩を落としながら付いて行きます……。まさか入学初日に怒られるところから始まるだなんて……。


こんな事、恥ずかしくてパパやママ、ましてやお姉ちゃんになんて絶対言えないよ……。


ああ、お姉ちゃんは大丈夫だったのかなぁ。

寮に入るからって先に出てっちゃったけど、上手くやれてるのかな。


……むしろ私達こそ、これから上手くやれるのかな?

こんな幸先悪いスタートで、嫌な予感しかしません……。




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