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おっきなお耳は重くないのかな?

「セレネちゃんはいつ見ても可愛いね。」

「……。」


まぁ……なんだ。

ヤシロさんは相変わらずだから置いておくとして。セレネさんは控え室でも誰とも一言も話していなかった気がするから、寡黙な人なのかな?

獣人さん達の不思議な所は、耳と尻尾はあるのにその他の身体の部位は殆ど人間と変わらないところ。

顔に動物的な特徴が出ているわけでもなければ、手や足に肉球があるわけでもない。

全身を毛で覆われているはずの狐や兎の獣人さんですら、手足に毛なんかなくてすべすべしている。あ、男の獣人さんは確かにちょっと毛深い人が多いかもしれないけどね。


赤い眼をした兎さんって、実はアルビノなんだよね。

ボクの瞳の色が薄いピンク色なのもアルビノのせいなのと一緒で、色素が無いから赤くなっちゃうんだって。殆どの兎さんは目の色は黒色をしていて、色素が抜けて赤なのであれば、きっとパパの遺伝子を継いで茶色だったであろうボクの瞳の色素が抜けたら薄いピンクになりそうなのはなんとなく納得が行くでしょ?


ってことは、セレネさんの肌が真っ白なのは兎人族だからではなく、アルビノだからってことになる。セレネさんもアルビノっていう特殊体質を持っているのだろうか?

……ん?でも確かボクの特殊体質のアルビノって、ステータス画面に表示されていたフォントが違ったんだよね。

前世から持ち越したような文字だったのは、この世界にアルビノっていう病気が無いからなんだと思ってたけど、違うのかな?それとも、この世界の兎さんは皆色が白くて眼が赤いんだろうか?見たことないからわからないんだけど。




リング上にはこれから試合となる2人と審判が既に準備を終えて向かい合っている。


魔法モニターにセレネさんの顔が正面からドアップで映し出された。

兎って確かに正面から見ると目がつりあがってる動物だったね。

セレネさんの赤い目も、どちらかと言うとつり気味の目をしているんだよ。とはいえ兎っぽいような特徴は無く、どこからどう見ても人の顔にしか見えないけどね。


髪の毛は真っ白。

ボクの色素と言う色素が全く無いような透明と言うよりは、純粋に白色をしている。

髪の長さは防具の中に入れちゃってるのでわからないけど、襟足から防具の中へ入るくらいには長いみたい。白い大きなお耳も真っ白で、内側が薄いピンク色をしている。

ぴくぴくと動くお耳はとても可愛い。


兎人族はプロポーションがいいっていうのは、どこの世界でも共通の認識なのかな?

お尻がツンと上を向いていて、すごい良いスタイルが軽装の上からでもよくわかるんだよ。なんか兎を擬人化すると皆あんな感じになるけど、そのイメージってバニーガールのせいなのかなぁ?


天を向いているお尻から、明らかに隠れているしっぽ。

前にセト先生の娘さんのミトさんの尻尾を触ったら怒られたことがある。

ってことは、あの尻尾を触ると怒られるのかな……?

でも、獣人族の人達は基本しっぽを出して生活しているわけで、普段あのプロポーションで真っ白でふわふわしているであろう兎のしっぽをフリフリしながら歩いてたら……そりゃもう追いかけたって仕方なくない?もう可愛さが犯罪級よ。誘惑してるとしか思えないでしょ。主にボクを。




「リアもセレネさんとはあまり話した事無いの?」


珍しく実況席からの会話がリゥイさんから始まった。


「う~ん。あんましお話してくれないんだよねぇ。セレネちゃん。自分の声が嫌いなんだっけかな?」

「……ここの学園、なんかものすごくコンプレックス持ってる子多くね?」


「リゥイちゃんの身長みたいなものよねぇ。」

「ぶっ殺す。」


「いたっ!!痛いっ!ちょ、ちょっと!真顔で殴るのやめてっ!?」

「後でおしおき。」


「ええ!?今十分殴られたじゃない!?」

「自業自得。」


「そんなぁ……。」


「始めっ!!」


司会も実況もままならないまま時間だけが過ぎ、審判の先生が勝手に試合を開始した。


……それでいいのか実行委員会よ。

まぁ楽しそうだし、ウケてるからボクはいいんだけどね。




「はぁ……。セレネちゃんとだけはやりたくなかったなぁ……。」


話から入るのがヤシロさんのスタイルなのか、開始の合図と同時にヤシロさんが身構えながら口を動かし始めた。やっぱり3年生ともなればヤシロさんも皆と顔見知りみたいで、セレネさんもヤシロさんに対して慣れているといった感じ。まぁヤシロさんの目的からすると、もしかしたら女の子だけかもしれないけど。

ただボクの時と違うのは、話している時あんなに身構えていなかった気がするし、気のせいだろうか?ヤシロさんの顔がめちゃくちゃ引きつっている気がする。


「セレネちゃん相手ならこれかなぁ。」


そう言いながらヤシロさんが次元収納から取り出したのは、大きな槌……?だろうか。槌の頭だけでヤシロさんの体くらいの大きさがありそう。

それをヤシロさんが構えるのを見ると、セレネさんも構えた。


「よい……せっ!!」


掛け声と共にヤシロさんが槌を振る。


パァァァァン!


…………ガンッ。


……ドォン……。


「……」

「……」


振りぬかれた槌をセレネさんが素手で弾き返したのだ。

しかも押し返した瞬間ものすごい爆音と風圧が生まれたのを見れば、槌の重量が見た目のそれよりも明らかに重く、魔法で加速されていたのにも関わらず。

反転する重さに握力が付いていかなくなれば、当然手から飛ばされた槌がヤシロさんの後方へと吹き飛ばされていき、魔法障壁にぶつかって落ちた音。2人の間で沈黙が流れる。


「やべ!!逃げろ!!」


慌てて距離を取るヤシロさんをセレネさんが追おうとするも、ヤシロさんの逃げる先に小さな炎が浮かんでいるのを見て立ち止まった。

ヤシロさんが移動するたびに、軌跡を残すかのように炎がどんどん生まれていく。


「よっと。」


リング外に落とした槌を再びヤシロさんが拾い上げると、お互いの距離が開いたままの状態でヤシロさんがまた、槌を振りかぶった。


「どっせぇぇい!!」


そのままセレネさんに向けて槌を投げつける。

自分の移動した軌跡に生まれている炎が、槌が触れた途端爆発しながらセレネさんを巻き込んでいく。どうやらあの炎は誘爆性のある設置型の魔法だったらしい。


結構な量の炎が設置されていたものが爆発により全てが誘爆し、最終的にものすごい爆発が起きた。


今更過ぎるけど、大会規定による致死性のある魔法とはなんぞや?

回復や治癒のある世界での基準は、ボクにはちょっと理解できそうもない……。


爆煙が巻き起こる。


「うわわっ!!あんな爆発起こして大丈夫なの?」

「ヤシロさん予選でも反則負けしてるからなー。」


「え?そうなの?」

「女の子に刃物突きつけたらしい。」


「うわ、最低……。」


ま、まぁ……間違ってはいないけど。




カツ……カツ……。

爆煙の中から、歩く音が聞こえ……。


ヤシロさんは槌を投げたままリングの外に。

そして爆煙の中からは、自分よりも大きな槌を装備したセレネさんが姿を現した。



「げぇ。それ受け取っちゃうの?まじかよ……。」




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