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魔法が使えればボクだって!

一般的に魔法で齎される奇跡の結果や、魔法で生成した物質やらの脆弱性っていうのかな? 弱点でもあるけど、使いやすくもある点なんだけど、魔法によって起きえた結果や物質は、魔力が枯渇してしまうと消滅してしまう。つまり反対から読み取ると、魔法で作られたものから綺麗さっぱり魔素を枯渇させてしまえば、それが事象であろうが物質であろうが消滅させることも可能なのだ。

例えば、いつもみたいにボクが魔法で槍を生成したとしても、魔力をある程度注ぎ続けておかなければ崩壊してしまって武器として成り立たなくなるように、魔力が枯渇してしまうと使えなくなる問題から見れば脆弱で使いづらい部分もあれば、今回のように広範囲に魔法障害を発生させてしまったとしても、そこから魔素だけを抜き取ってあげれば何事も無かったかのように元に戻すこともできるのだ。

じゃあ実際、魔力で生成した物質から魔素を抜き取ることなんてできるの? と言われれば、もちろん答えはイエス。生成している魔法構造が理解できるのであれば、逆を辿ることで生成した物質や現象がを魔力に戻すこともできるんだけど、もちろんそれには魔法構造が理解できる必要があるわけで、誰にでもできるってわけでもない。まぁボクの場合、結局はグリエンタールさんのおかげってことなんだけどね。


ちなみに、じゃあ物質を生成する魔法で生成したものを、今度は魔素へ還元する魔法を実行するのなら実質魔力消費は0なのでは? なんて思っちゃうけど、まさかそんなことはあり得ない。

例えば、科学で『熱』というものをエネルギーとして利用していた前世を取り上げてみたとしても、火を起こしたりして熱をエネルギーとして取り出す場合、エネルギー効率は本来得られるはずだったエネルギー量からしてみても3割から5割といった程度にまで落ちてしまう。

しかもこの場合、そもそも熱を発している現象から熱を利用してエネルギーとして抽出し、それも現代科学と呼ばれる科学の粋を集めてもよくて5割。

それが魔力という一定の状態から、無限にも上るであろう変換先へと魔法構造を通して変換し、その変換工程も人の才能や経験なんていう曖昧な器官を通すのだとすれば、その段階で魔力効率など1%程にも満たないなんて当然の話で、そう考えてみれば、この世界のほとんどの人がそこまで大量に魔力を消費して魔法を扱えないというのは当然の話だという事がわかる話。




話がそれてしまったから戻すけど、魔力の生成によって及ぼされた外気温度は、いくら生成したものを魔力に還元しようともすぐに戻るわけじゃないけど、それでも魔法による継続的な事象改変が消えたのならばフィールドを元に戻すのは容易い。温度を上げてあげればいいだけだからね。


魔法障壁は霜で見えなくなり、魔法モニターは魔法で凍りついてしまっていたため、絶対零度が溶けると試合は終わった後。何が起こったのか理解できない観客席からは、疑問の声しかあがらなかった。


「あ、あれ?試合終わってるの?」

「あんな魔法でリング覆われたらどうしようもできない。試合が終わってて当たり前。」


「……あんな大魔法試合で使っていいの……?」

「フィールドに干渉するような魔法の禁止要項は無い。ましてや温度変化の魔法なんて禁じたら大抵の魔法は使えない。でもあの魔法は絶対におかしい。……規定を見直す必要があるのは、言うまでもない。」


アニエラさんを閉じ込めていた次元牢獄を解除すると、バシャッと次元牢獄の中にあった水が流れ出した。

もしもアニエラさんがあの状況で諦めてくれなければ、絶対零度下で次元牢獄を解かなくてはならなかったのだ。一瞬で凍れば蘇生は出来るだろうけど、そんな手段とりたくもないボクとしてはありがたかった。


「……ここまで圧倒的に負けると悔しさすら沸いてこないのね……。」


今までの試合でも確かにアニエラさんの勝利に対する気概は人一倍強かった気がする。


「あの。何か勝たなきゃいけない理由でもあったんですか?」

「……貴女には関係の無い事だわ。」


素っ気無くあしらわれ、そのままリングを後にしていくアニエラさんを目線で追ってしまう。誰にだって負けられない理由はあるだろうけど……アニエラさんのは、人一倍切羽詰まっている気迫めいたものを感じる。ただ、そういうのは知らない方がいいのだ。こう言ってしまえば薄情な人に取られてしまうのかもしれないけど、そういうのを知っていたらボクはきっと試合を諦めたりしてしまうかもしれない。だって、ボクにアニエラさんやリンクみたいに勝たなきゃいけない理由なんてないんだもん。

そして諦めたりした事が相手に知られれば、それは侮辱に他ならない。ボクはちょっとツリ目で怖いけど、いつも真剣で真面目なアニエラさんはとっても好感が持てるし、もしもそんな事でリンクに嫌われたとなれば正直ショックを隠せないかもしれない。


知らない方がいいことだって、たくさんあるのだ。


アニエラさんに限らずだけれど、もし何かとても大変な状況で、ボクの助けが必要で、そして助けをもとめてくれた時に。ボクがその人に手を差し出せるのであれば。

その時に初めて知ればよいのだから。


あ、ちなみにシルは別だよ?

大変になる前に絶対に助けないとね。




「…………あ……えっと、次の試合……ですね。」

「リングは壊れてないみたいだけど、魔法障壁は張りなおさないといけないみたいだから。ちょっと休憩だって。」


「そ、そうだねっ!じゃあ試合再開の際にまたアナウンスするので、皆さんもおトイレ休憩ってことで!もし怪我しちゃった方がいらっしゃいましたら、救護室へおいでくださ~い!」


選手の控え室に戻ると、先輩達の雰囲気が一変していた。

“可愛い後輩”から“倒すべき相手”へと。




ボクの試合が決勝トーナメント5戦目。つまりボクの試合から後半戦に入っている。

次の試合は6戦目。

対戦カードは……


ガルド・ガイスト 対 リエス・ルヴィナーク


両方3年生で男性だけど、見た目は対極的。

ガルドさんが筋骨隆々なのに対して、リエスさんは細身だ。


ガルドさんは如何にも野生感が強い外見をしていて、一度見たら中々忘れられないタイプの人だとおもう。黒髪でたてがみのようなボサボサとした髪の毛に、日焼けした浅黒い肌がこれでもかと言うくらい筋肉で盛り上がっている。悪口を言う訳じゃないけど、足はお世辞にも長いとは言えないタイプの人……ごほん。まぁはっきり言ってしまえば足がめちゃめちゃ短いせいで、隆起した筋肉と相まって逆三角形に見える。もしかしたら純粋な人族ではないのかもね。


リエスさんはもう完全に真逆。足も手も長いし、身長も180センチ以上あるだろう長身。まぁイケメンかどうかと言われればイケメンかな?人の好みには寄りそうなお顔だけど、白金のさらさらしている長髪を後姿から見れば一発でリエスさんが男性だと分かる人はいないんじゃないだろうか?まぁ背は女性の高さじゃないけどさ。


この2人の試合は、正直ボクが想像していたものとは全く違う展開となった。


ガルドさんは元素魔法の炎系統と、神聖魔法に適正があるのだろう。

自己強化はすごいし、炎の扱いがめちゃくちゃ上手い。

リエスさんは元素魔法の風系統が強いのだろう。それだけで身体強化したガルドさんと渡り合っていた。


正直ここまでは想像通りと言うか……ね?

そりゃもう見た目とマッチしていたんだけど。

なんと、ガルドさんの方が緻密な魔法の扱いが上手いのだ。

ああいう野蛮そうな人は大雑把っていうのがイケナイイメージなのかな?


炎と風。

単純に同じ実力であったのなら、風に軍配が上がりそうなものなんだけど。

リエスさんが風によって炎をガルドさんに吹き返すどころか、その風を伝ってリエスさんに流れて行ったのだ。それもまるで道が敷いてあるかの如く、1本の風を伝って。


リエスさんからしたら、攻撃魔法を使えば自分にダメージが返ってきて、防御魔法では相手の火力を抑えきれず、しかも身体能力的には圧倒的に負けてしまう。

ガルドさんが勝利を手にするのに、そこまで時間はかからなかった。


ボクの次の対戦相手は、ガルドさんに決まった。




ここまでの試合が終わって決勝トーナメント1回戦は後2戦。

残すは


ヴァン・クライベルク 対 アデン・リオーニィ

セレネ・ルナ・ラゴス 対 ヤシロ・ヤガミ


のみ。


ボクがいる控え室には、名前の分かる人でマリアンヌさんとレオさんがいる。

フェルトさんは、次にレオさんと当たるという事で向こうの控え室へと移動して行ったし、ガルドさんも戻ってこないので、向こうの控え室に案内されたのだろう。次の対戦相手と一緒にならないように振り分けられているみたいだからボクとは一緒にならないんだろうし。


後部屋に名前の分からない人が2人いる。


あの兎人族のめっっっちゃ可愛い人はなんてお名前なのかなぁ?

向こうの控室にいるヤシロさんは分かるから、残りの3人だとすると……。

唯一女性っぽい名前なのはセレネさんかな?


あの大きなうさ耳……。もふもふしたい。






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