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アマツ国は大丈夫なのかしら?

「マリアンヌ様っ!!」


マリアンヌさんとアンディさんの試合が終わり先にマリアンヌさんが運び出されてくると、入場口で待っていたレオさんがマリアンヌさんを見つけて真っ先に叫んだ。


心配しているのはもちろんだけれど、そうではなく。

怒っているのだ。


「いつもあれほど言っているではないですかっ!!魔法が飛び交う戦場では何が起こるかわかりません!いくら試合とは言えど、打ち所が悪ければ死んでしまうかもしれないのですよ?!」

「う……。うるさいわね。怪我人の耳元で騒がないで頂戴……。」


「怪我はもう治っているでしょう!それにその怪我もっ……」

「……や、病み上がりなのよ。」


「マ・リ・ア・ン・ヌ・様っ!!」

「わ、わかってるわよ。ごめんなさいね心配かけて。」


まぁ身をもってわからされちゃったのは、他でもないマリアンヌさん本人なんだから。痛い思いまでした直後に説教なんてくらいたくないよね。自分の怠慢のせいで無駄に痛い思いをしちゃったから説教されてるんだけど。


そう思いながらリンクの腰を後ろからぽんぽんと押すと、最近は空気を読んでくれるのか、ボクの考えてる事がなんとなく分かってきてくれたのか、リンクがレオさんを止めに入ってくれた。


「それくらいでいいだろ。本人が痛いくらいわかってんだから。」

「王子……。」


よく見ればマリアンヌさんも試合前にボクと話していたような元気もない。

大怪我したんだから元気なんかあるわけないけど、怪我はもう自分の英霊のおかげで完治しているようなんだよ?どちらかといえば精神的なダメージだよね。


その隣を、まだ意識の回復していないアンディさんが担架で運ばれていった。


「まさかこいつに足元掬われるなんてね……。」


ぼーっと運ばれて行くアンディさんを眺めながら呟くマリアンヌさんを見て、レオさんも控え室へと戻っていった。レオさんだって別にマリアンヌさんの気分を悪くさせたくて言ってるわけじゃないんだけどね。きっと本当に心配だったからこそ溢れ出ちゃったんだろう。


……溢れ出ちゃうってことは、いつもマリアンヌさんはあんな感じなんだろうけど。




会場からリングへの入場口は1つしかない。

決勝トーナメントは魔法種禁止だろうが全兵種だろうが同じ会場で、いつも皆が出てきていた実況席の真下にあるんだけど、控え室が2つあるとは言え両方とも入口に近くなければ控え室になりえないわけで。つまり控え室は入場口を挟んで両向かいにある事になる。


先ほどの試合が終わってマリアンヌさんを迎えにこちらの控え室のメンバーが騒いでいると、向こう側の控え室にも声が聞こえたのか、ぞろぞろと向こう側の部屋からも人が出てきた。

その中にはボクには珍しい知り合いもいるわけで……。


「あれ?君!どうしたんだい?廊下で騒いで。」

「あ、社さん。こんにちわ。」


いや、ボクが騒いでた訳じゃないんですけどね?


「あら、ヤシロ様。ご無沙汰しておりますわ。」


そういいながら担架の上にいたマリアンヌさんが起き上がり社さんに挨拶をした。

やっぱり去年までこの学園にいたってことは、ここの3年生には面識があるらしい。


「おいヤシロ。お前卒業したくせに何のこのこと外国参加枠で戻ってきてんだよ。」

「やぁ、マリアンヌ様。相変わらず綺麗だね。美人に怪我は似合わないよ?」


そういいながらリンクを完全に無視し、マリアンヌさんの手の甲にキスをした。


「……おい。」

「……なんだい?折角美女がこんなにいる中でむさくるしい男と話している時間なんてないんだけどね?俺には。」


「はぁ。お前も相変わらずだな……。」

「そりゃ俺はここに嫁を探しに来ているようなものなのだからな!」


そういって胸を張る社さんだけど、殆ど彼の事を知らないボクからみても残念な感じしかない。ボクとの試合の結果もやっぱり印象の一つだからかな?

……あ、マリアンヌさんも苦笑いしてるし、きっといつもの言動があんな感じなんだね。


社さんって王子様だよね?

まぁ魔法適性やら能力値的にこの学園でお嫁さんを見つけるって言うのは将来の為、子孫の為ひいては国の為に成っていくって言う考えなんだろうけど……こんな感じで見つかるのかな?


あ、見つからないから卒業しても、戻ってきてるのか。




「ところでレティーシアちゃん。俺の嫁になってくれる話は考えてくれたかい?」

「はぁっ!?おまっ……」

「あっ!お断りします。」

「え……え?」


「え?」


リンクが突然何言ってるんだっていう顔で社さんに近寄って言ったけど、こういう事の割には珍しく明確に答えたボクに驚いたのかそのままの勢いで顔だけ振り向いた。

社さんもリンクの肩向こうから目を見開いている。


2人して同じ顔してこっち見ないでよ。

社さんからしても、他国とは言え国の王子様。

こんなに明確にお断りとかされたことはないのかもしれないけど。


ただ、視線は2人だけからではなく、マリアンヌさんの下に集まってきている人達が一斉に言葉を失いこちらを見ている気がする。すごいやめて欲しい。平民上がりのボクにはちょっと精神衛生上よろしくないんだよ?


「お断りします。」


もう一度明確にそういうと、フリーズしていた周りの人達の時間が動き出した。

まさかきっぱりと断わられるなんて思ってもいなかった社さんが慌てふためき、こういう言動にちょっと嫌気がさしていたのか、レオさん達がちょっと口元を緩めた。


「……あ、うちに来てくれるっていう約束……は?」

「はい!アマツにはいつか行きたいとは思ってますよ!」


「そ、そうかい!……そ、そっか……。」

「ぶはっ!!ははっ!!おい!ヤシロ!元気だせって!!な?」


何が可笑しかったのかリンクが突然笑い出して社さんの背中を叩くと、そのまま背中を丸めた社さんが控え室へと戻っていった。

向こうの控え室からも数人が顔を出して覗いているけど、マリアンヌさんとアンディさんの怪我も大したことが無いとわかると、折角試合前に対戦相手と出会わないように分けられている状況を捨てようとは思わなかったのか、控え室の中へと戻っていった。



戻っていく時にちらっとアニエラさんと目が合う。


うぅっ。ちょっと睨まれた気がするんですけど……。





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