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怠惰と傲慢の代償。

「くそっ!!」


マリアンヌさんが5体の黒い影を召喚してからの対決は、完全に一方的なものとなった。

1人の黒い騎士に苦戦していたのに、それがもう4体も加われば当たり前。アンディさんもリングで地形を盛り上げたり、近づかれないように複雑な土壁を作ったりもして応戦するが、何しろどでかい槍を持った騎士が地形なんて関係なく蹂躙していくのだ。

防御用に作った土壁ごとアンディさんが槍に突き飛ばされ、突き飛ばされた先には2人の剣を持った騎士が待ち構える。


未だに試合が終わらないのは、マリアンヌさんが遊んでいるからだろう。明らかに黒い騎士達が、アンディさんへの決定打が打てるはずのタイミングで手を緩めるのだ。


「ふふっ。その四角い顔も削れば見られるくらいにはなるかしら?」


ものすごい楽しそうに見つめるマリアンヌさん。

あの人絶対Sでしょ。近づいちゃダメな奴だ。




「あちゃ~~。あの英霊、すごい強いんだよねぇ。」

「あれ、過去の英雄。魔法種禁止トーナメントに出てきたら普通に勝てない奴。」


本当に英霊なんだ。

そんなやる気の無いしゃべりかたのリゥイさんが解説の仕事をちゃんとこなしているのを見ると、やる気がないのは外面だけで、本当は出来る子なんだろうね。

まぁシルが仕事を任せるくらいなんだから、そりゃそうか。


「マリア遊んでる。5()()()()召喚してない。」


もちろん皆秘匿している技術や、奥義なんていうものはそれぞれ持ってはいるだろう。

けど、今までお互いぶつかり合い凌ぎを削ってきた同士、3年生ともなればある程度手の内が周りに知れ渡っているわけで、解説がマリアンヌさんの能力を暴露していっても、そこまで周りが驚いている様子は無かった。むしろ1年生のボク達にとっては、先輩の手の内を知れるのにボク達の手の内は相手に知られない分有利だよね。まぁ決勝に1年生が残ってる事自体殆ど無い事らしいから、そういうところに気を使うっていう習慣はないのかもしれないけど。


マリアンヌさんが召喚した黒い英霊のうち、動いているのは黒い剣を持った騎士2人と、その騎士達よりも二周りくらい大きな槍を持った騎士の3人だけ。図体がどでかいだけあって、その槍の大きさもかなりどでかい。槍だけでも3mくらいはあるんじゃないかな。


5人を召喚はしているけど、杖を持った魔法使いみたいな人は動きもしないし、神官みたいな人はたまにバフみたいな魔法を騎士に向かって使うだけで、そこまで積極的に動こうとはしていない。


「ふあぁっ。」


マリアンヌさんが欠伸をすると、アンディさんがちらっとそれを確認するのが見えた。


もちろんマリアンヌさんが手を抜いているのはあるだろうけど、それでもこれだけ強い騎士の3人に囲まれて簡単に落ちないのは紛れも無くアンディさんの実力ではある。

今まで黒い騎士に向け牽制と攻撃に使っていた岩の礫を、ふとマリアンヌさんに対象を戻して放つ。


3人の騎士が明らかにマリアンヌさんとの射線上に立てないタイミング。

近くにはローブの黒い英霊が2人いるけれど、マリアンヌさんは右手で欠伸する口を隠しながら、左手で防御壁を張り、防御を……()()()()()()


今までとは違い、大爆発が起きる。


爆発の煙の中から、マリアンヌさんが転がりながら吹き飛ばされて出てきた。

左半身のローブが破け去り、焼け爛れた左手が痛々しい。


「わわぁっ!?な、何が起きたんでしょうか!?防御失敗!?」

「防御壁は起動してた。」


「ええ?!じゃあ突き抜けたのでしょうか!?今まであんなに簡単に防御してたのに!」

「いや……貫通した?」


神官英霊と、魔道英霊が焦りながらマリアンヌさんに寄り添うと、騎士の影からアンディさんの岩がマリアンヌさん目掛けていくつも抜けてくる。

途中からは大きな槍の英霊が自分の身を挺して射線上に入り受けるが、抜けた岩がマリアンヌさんを襲ってくる。


魔道英霊が咄嗟に射線上に入り迎撃すると、その度に大爆発が巻き起こる。


「ちっ!!」



ガンッ!!



流石にそこまで気を向けていれば、騎士2人の攻撃を避けられるはずもない。

むしろ剣騎士の英霊も、主が負傷して手加減するのをやめたのかもしれない。


剣の腹で後頭部と腹を同時に打たれたアンディさんが、そのまま意識を手放した。


神官英霊がマリアンヌさんの治療をしているが、マリアンヌさんも立てないまま。両者ダウンしている状態だ。

その状況を確認した一人の剣の英霊が、気を失っているアンディさんに剣を突きつけた。


両方とも意識を失っているとは言え、一人は回復されていて、一人は命を取られる寸前とあれば試合の行方は決まってくる。


「勝者!マリアンヌ・ゼストメイア!」


審判の掛け声に、マリアンヌさんの目が薄っすらと開いた。


「マリア、気を抜きすぎ。」


リゥイさんの声に視界だけ向けると、マリアンヌさんが苦く笑う。


「そ、それにしても何があったんでしょうか?防御を突き抜ける術式が組まれていたりとか……?」

「多分違う。元素魔法が元素魔法の防御をぶち抜くには、単純に火力で押し切るしかない。……あの岩自体が多分何かを偽装していた……?」




まぁ、ボクはアンディさんが何を使ったのかわかっちゃいるけどね。


元素魔法の防御壁を突き抜ける。

衝撃により爆発する。

土魔法で加工して飛ばす。


予選でこのワンシーンは見てたもの。


多分あれは、イオネちゃんが開発した爆炎……?なんとかっていう薬剤だ。


確かイオネちゃんはアピールのためにこの大会に出ていたはずだから、それを見て有用性に気付いた人が、イオネちゃんに接触して購入していたのだとしても、なんらおかしいことはない。

それをアンディさんなりに、色で識別されないように金色にコーティングして、他との違いがばれないように打ち出したのだろう。


最初に使わなかったのは、警戒心を抱かせて避けられたりしないようにするためかな?

いくらコーティングしていようが、魔法で出来た岩と既存物を固めた岩とではどうしても違和感は残る者。マリアンヌさんがああいう性格で、すぐに決着をつけようとしてこないのを知っていたのだとすれば、どこかでできる絶好のタイミングを待ち、逆転の1発を放つのを待っていたのだろう。


見事にアンディさんの策略は功を奏し、マリアンヌさんはわけもわからないまま爆発を受けたわけだ。


アンディさんの誤算はきっとそこからじゃないだろうか。


普通、召喚術と言うのは術者の意識が切れれば消えてしまう。

なのにあの黒い英霊達は、明らかにマリアンヌさんの意識が無くなったというのに、自立した行動をしてみせたのだから。


どんなに試合の進行中押されていたのだとしても、結果最後に立っていた方が勝ちなのだ。

それは試合であろうが、真剣勝負であろうが、戦争であろうが変わらない。


そういう面で言えば、手を抜くクセのあるマリアンヌさんが甘かったのだろう。


結果、マリアンヌさんが勝った事にはなったけれど。

作戦上では完全にアンディさんが上回ったのだ。


魔法戦というのは一瞬で戦況がひっくり返るなんてことが珍しくない。


気を抜けばこういうことは起こり得るのだ。




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