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先輩達はお互い相手の手の内を知っているんだね。

こちらの控え室で待っているのは、ボクとリンク、そして先ほど挨拶してくれたマリアンヌさんとレオさんに、ミーナ・セレイオンさん、リエス・ルヴィナークさん、アデン・リオーニィさん、そしてセレネ・ルナ・ラゴスさんの8人。残りの8人がもう一つの控え室にいるって事だね。


ボク以外の皆はやっぱりある程度面識があるみたいで、余所余所しさもなく話したりしていてリラックスしているようだった。最近空気が読める様になってきた王子は、そんなボクを気遣ってかボクの傍にいてくれようとしてくれるけど、それが余計に先輩達の煽りを加速させている事は、きっと本人も気がついてないんだろうなぁ。なんて。


一通り挨拶を終えると、皆が魔法モニターに集中しだした。


ちなみに、ボクとしてはもうちょっとお話したかったのはセレネさんかな?

特徴はもう一言で言えばあの頭に生えている可愛い……うさ耳?……だよね。多分というか確実にセレネさんは獣人族の人だと思う。だってあのもふもふしたうさ耳、ちゃんと頭から生えてるし。っていうかぴくぴく動いてるし!かっ、可愛いっっ!!

あっ、目が合ってしまった。ちょっと頭を下げてから照れくさくなって視線を外すと、セレネさんがにこっと笑ってくれた。うぅ……あのお耳なでなでしたい……。お尻を覗いてみるけど、ローブ服の下に尻尾は入れている様で、こんもりとちょっと盛り上がったお尻が見える。


……セクハラじゃないんだよ?同性だからね??


視線を外した先。

魔法モニターの中では、リアさんの実況が加熱しているようだった。



「マリアンヌ様っ!!いきなり魔法トーナメント優勝候補登場ですっ!いやぁ、女性なのに黄色い声援が絶えませんねぇ。」

「マリアは女にもてるからな。」


……リゥイさんの声が、マイクが遠いせいかちょっと小さく聞こえるのは、言ってあげなくていいんでしょうか?それとも言ったら怒られるのかな?


「お~い!マリアちゃ~ん!頑張ってね~!!」


相変わらずお友達に寄った実況に、マリアンヌさんが実況席に手を振り返すと、対戦相手であるアンディ・グストさんが待ち構えるリングの中央へと上がっていった。

マリアンヌさんの顔つきが少し引き締まり、笑みが薄くなっていく。


アンディさんはいかにも貴族っていう綺麗な格好をしている男性。

白い軽装に金色の豪華な装飾。ボクのイメージからすると、あのくらい派手派手な人の方が貴族っぽいイメージだったのは偏見なのかな?まぁでも実際目の前にいるんだから、あながち間違いでは無かったってことだよね。


茶色に近い金髪で、さらさらとしていそうな髪の毛が七三分け。相手も貴族なんだから偉そうにしてるんじゃないんだろうけど、偉そう感が抜けない感じの人という印象を受ける。いい意味でも悪い意味でもなくだけどね。顔がちょっと四角いし、ボクは平民視点からするとああいう人はちょっと苦手かなぁ。って感じてしまうのは、前世の知識的に貴族が平民に対して当たりが強いっていう価値観を持ってしまっているからだろうか。実際この国で暮らしてきて、あまりそういう事は多くは無かったんだけど、実際イリー達の時のような視線や表情を向けられることが、全く無かったわけでもない。


「これはこれは。マリアンヌ様。このような所へ出てきては綺麗なお顔に傷でも着いたらどうするのですか?」

「あら?心配してくれてありがとう。でも貴方如きでは(わたくし)に触れられないから大丈夫よ?そんな心配はいらないわね。」


さっきまでとは全然違う高飛車な態度になったマリアンヌさんがアンディさんを挑発すると、ぴくっとアンディさんの眉が動いた。この2人は家の格式的にはそこまで違わないのかな?


「そ、そうですか。お顔にでも傷がついて行き遅れないようにご注意くださいませ。」

「ああ、貴方のそのお顔じゃ、貰ってくれる方もいらっしゃらないものね。可哀想なものだわ。」


……た、確かにアンディさんは今まで決勝トーナメントに残ってきた人に比べればイケメン系の部類には含まれないかもしれないけど、こんな大衆の面前でそんなド直球に言ってあげなくても……。


「っ!!…………俺は貰われる方じゃなくて貰う方なものでねっ……!マリアンヌ様にそのような心配をしていただく必要はございませんでしたなっ!ははっ!!」


試合開始前に舌戦が始まっているのか、めちゃくちゃ険悪なムードが会場中に流れている。っていうかこんな会話会場中に流すのもどうかと思うけど。


「えっと……。は、始めましょう!うん!はい!では全兵種解禁の決勝トーナメント!!始めます!!」


「始めッ!!」


審判も2人の険悪さに苦笑いしながら試合開始の合図を降ろす。


試合の開始と同時に動いたのは、アンディさんだった。

あれは装飾剣かな?どちらかというと実戦向けの切り結ぶ為に作られた物ではなくて、儀式用なんかに使われる装飾が豪勢にあしらわれた剣だ。今回の場合は儀式用とかじゃなくて、魔水晶やら魔結晶を装飾としてあしらっているので、使い道としては杖に近いだろうか。見た目の華やかさや、剣の鋭い格好良さで比べれば、確かに杖を持っているよりも見た目は栄える。その分重いだろうから実用性からすれば杖とかにした方がいいのかもしれないけど。


アンディさんが装飾剣を腰から抜くと、金色に光る煌びやかな剣の剣身が輝きを放った。


右手で真っ直ぐマリアンヌさんの方へ剣を掲げると、剣の周りに金色の岩が複数召喚される。……本当に金色の岩なんだよ。金属とか金なわけじゃなくて、金色に光る岩。


にやっと笑うアンディさんに対して、無表情のマリアンヌさんが左手の掌を掲げる。


アンディさんの周りに浮いていた金色の岩が、マリアンヌさんに吸い込まれるかの様に一斉に飛んで行くと、マリアンヌさんの掌の1m以上は前で岩が砕け散った。


粉砕された瓦礫が衝突する際にマリアンヌさんが張っているのであろう防御魔法が一瞬視界に映り、丸くて白い壁がちかちかと光って守っている。


もちろんアンディさんもここまで来てあの程度の攻撃が通るとはハナから思っていないようで、次々と金色の岩を繰り出し、射出する。

金色なのには何か理由だとか効果があるのかな?

飛び散った金色の破片が舞い、マナが還元されて消えていく。


5秒くらい経っただろうか。

未だマリアンヌさんの防御壁に無数の金の礫が飛び交っている中、マリアンヌさんの隣の影が形を持って立体化しはじめた。


「ちっ!!」


アンディさんがあからさまに嫌な顔をする。


黒い……騎士?のような形をしている影。

全身を甲冑で覆っているような、むしろ黒い甲冑そのものなような影が立体化すると、マリアンヌさんとアンディさんの飛び交っている礫の中を突進していく。

黒い騎士が礫を防御することもなく弾き飛ばしながら、大きな剣を引きずるように距離を詰める。それも一瞬で。


「ぐっ!」


マリアンヌさんの方へ掲げていた装飾剣を自分のほうへ引くと、マリアンヌさんが召喚した黒い騎士が振りぬく大剣が、アンディさんに当たる前に弾き返された。


アンディさんが引き、岩で牽制しながら黒い騎士を引き剥がそうとするが、黒い騎士も距離を詰め追撃にかかり始めると、アンディさんは攻撃に手が回らなくなり移動しながら黒い騎士を引き剥がそうとする。


そうこうしている内に、いつの間にかマリアンヌさんの周りには黒い影でできた召喚者がずらりと並んでいた。


黒い剣を持った騎士がもう1人。

その騎士よりも二周りくらい大きな槍の騎士が1人。

杖を持った黒い塊……。あれローブを着ているのかな?が1人。

神官服のようなぴっちりとしたローブに、四角い帽子をかぶっているようなのが1人。

今アンディさんを攻めてたてている騎士とあわせて計5体だ。




「あ~あ。揃っちゃったね。マリアちゃんの英霊召喚。」

「アンディ負け確。」




英霊?……とりあえず召喚術なのは間違いないようだ。




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