ボクのステータスって・・・?
特殊体質 アルビノ
それがボクの特殊体質だった。アルビノは、こちらにない言葉のせいだろうか? 他の表示文字とフォントが違う。
基本、ステータス欄に書かれている文字は、手書きのような味のある文字だけど、アルビノの表記は、前世のパソコン文字のような無機質な文字で表示されている。
さらにアルビノの文字をタップすると、詳細が表示された。
アルビノ:固有魔法『クリア』の獲得。固有技能『グリエンタールの愛惜』へ統合。
クリアは、なんとなく通知できていたので知っていたけど、グリエンタールの愛惜??
どっかで聞いたことがあるような。
……どこだっけ?
あ! ……ああ! 前世で15歳ぐらいの頃にはまってた恋愛シミュレーションゲームだ。
それまで学校に行ったことがなかったボクは、学校生活をしてみたくて、担当医の先生に恥ずかしがりながら買ってもらったやつ。
思春期だった身としては、さすがに親には恥ずかしすぎて買ってきてほしいなんて言えなかったから、ゲームの話でいつも盛り上がってた先生に頼んだのだ。
確か、あのゲームの世界にも魔法があったっけなぁ……。
あのゲームの売りは、登場人物が全員主人公だったことだろう。男女どちらにもなれて、登場人物の誰とでも恋愛ができる、すごい攻略幅の広い恋愛シミュレーションゲームとして有名だったんだ。ちなみに、ほんとに誰とでも恋愛ができる。女×女でも男×男もありだった。
全員は攻略できなかったけど、確か最初は初心者向けの女性でプレイしてて、それを先生に見られて恥ずかしかったなぁ。
初心者向けだから、判りやすいフラグが多くて、それこそパンを銜えて走ってたら男の子を突き飛ばしちゃった……り……
あれ? 確かそれも後ろから突き飛ばしちゃうんだっけ……?
幼い頃に知り合った男の子が王子様だったり……
魔法の才能が認められて魔法学校に入ってパーティ会場で、手と手が触れるシーンもあった。
「あああ!!!」
イオネちゃんがびくっと飛び跳ねた。
「ど、どうしたの? レティ、突然叫んで」
ああ、これだ! これ、そうだ。あの既視感!! 全部このゲームのイベントだ!
今思えば、ボクは前世でも今世でも学校にきたのはここが初めて。
なのに履修単位をとるシステムが、懐かしいだなんて思うのはおかしい。
あれも、このゲームのシステムだった。目的の子と同じ課目を受けることで仲良くなったり、ステータスを伸ばして、一緒に冒険することで仲良くなれる人もいたんだ。
二人が?マークを顔に描きながらボクの顔を覗いている。
とはいえ、こんなこと説明できない。なんて説明したらいいかもわからないし。
「ご、ごめん、なんか特殊体質の詳細見てたら、身に覚えのあることが書いてあったから、つい……」
「そ、そう? 気にはなるけど、体質のことを聞くのは失礼よね。特殊体質は、レティにしかわからないから次に行きましょう」
「う、うん。お願いします」
「は、はい」
確かに、“体質”と言われたら聞いたら失礼だと思うだろう。
単純に説明がしづらいだけだったけど、助かったので乗っておこう。
「ええっと……あ、そうそう。後はここの文字を押すと、画面が切り替わるわ」
既に特殊体質のところをタップしてしまっていたので、画面が切り替わっている。
お、戻ってほしいなと思ったら戻った。これはすごい。場所をとらないウィンドウといい、思い通りに動く画面といい、こういうところは前世の科学より断然進んでいるね。
「まずは、固有魔法。これが表示されている人は、特殊魔法課の授業を受けるのが推奨されているわね」
ボクは特待生なので、推奨ではなく必修だけどね。
「レティ以外はないでしょうから、次に魔法適性。これは自分の適性のある魔法種が表示されるわ。例えば、私は 『エレメント種 水 光』 『ディヴァイン種 治癒』 の3種ね。あ、これは貴女たちは言わなくていいわ。基本は秘密にするところですから。後、適性魔法は後天的に増えることもあるわ」
「えっ? 秘密にすることなら、なんでシルは言ったの?」
「そうね、別に貴女たちならばれてもいいもの。後、3種適性はちょっとすごいのよ? 自慢よ。自慢」
「た、確かに。ボク魔法適性は空欄だよ……」
「あら、貴女はなんかもう、単純に適性がないんじゃなくて、すべてが適性すぎてどれも突出していないだけのように感じるわ」
「ん! それだったらいいなぁ」
「あ、私も教えてもらってて私だけ秘密なんて寂しいので、言いたいです」
「あら、ならイオネのも聞いておこうかしら」
「はい! 一応適性はあったんですけど、エレメント種 大地 ディヴァイン種 調節の2つになってます」
「あらあら、さすがイオネも特待生ね。現状2種類あればものすごい才能よ。しかもディヴァイン種の調節はいいわね。冒険者とか衛生兵がとても欲しがる人材じゃない」
「そうなんですか?」
「ディヴァイン種の治癒から派生する魔法、例えば自己強化みたいなものは、一度治癒を経由して、思い描いた魔法効果に派生させるから、派生が分岐すればするほど効果が落ちていくの。
単純に治癒魔法だって、私みたいな適性があればいいけれど、そうじゃなければ治癒を相手にかけたら50%以上効果をロスするのよ。1回の経由で50%以上ロスするものだから、自己強化みたいなものは他人にはほとんどかけられないの。
でも、調整魔法と応用することで、そのロスを減らせるのだけれど、その調整魔法自体に適性があると、ほぼすべてのディヴァイン種魔法のロスをカットできるわ」
「なるほど……! 治癒とか、そういうことでお役に立てるなら、とても嬉しいです」
つまりイオネちゃんはバッファーか。将来ボクが冒険者になるなら、お薬も作れるし、イオネちゃんて冒険者としては万能じゃない。拉致だね、拉致。
「そうね、もうすぐ午後が始まってしまうわ。後はささっと流すわよ」
「あ、もうそんな時間?」
「本当ですね」
「まぁ魔法職でメインはここまでだから。次にある特殊技能・固有技能は、主に戦士系の方々が取得し扱う技能ね。一般的にはスキルって略されているわ。もちろん魔法専用スキルや、魔法に相乗効果のある特殊技能や固有技能と言うのもあるのだけれど、魔法系技能は戦士系技能とは違って先天性のものが多いから、あまり情報は無いのよね。」
さっきのグリエンタールの愛惜は固有技能にも表示されている。
「あの、特殊技能と固有技能って何が違うのでしょうか?」
「いい質問ね。基本は、簡単には修得できないところは一緒なんだけど、特殊技能は一言で言ってしまえば、それ1つで完結するスキルね。逆に固有技能って言うのは、所得したスキルが派生して上位のスキルに進化したり、色んな別のスキルに派生したりするっていう違いがあるらしいわ」
「へぇ~そうなんですね」
「イオネは何か表示されていたの?」
「あ、はい。錬金術関連のスキルがあるんですが、なんかごちゃごちゃしててよく……」
「あら、錬金術?そういう物もあるのね……。 私は技能系は殆どないのでよくわからないの。よかったら兵科や研究科の授業の時に先生に聞いてみるといいわ」
「はい! そうします」
「そうね、後は登録魔法と言うのは、そのまま魔結晶に登録してある魔法よ。どんなに適性のない魔法でも、登録さえできればいつでも呼び出せるから、基本は苦手魔法で必要なものを入れておく場所ね。入れすぎると適性魔法を書き込む場所もなくなるから程ほどにね」
「これだけ容量があれば困らないね!」
「あればあるほど使っちゃうものよ。レティもそのうち足りないってなりそうね」
「ええ、こんなにあるのに!?……なるかなぁ?」
「なるわよ。……次の常駐魔法なんかも便利で、ここに入れておくだけで効果を発揮してくれる魔法よ。ただし、魔力は一定量支払い続けるから、使わなくなったら抜いておかないと、いざというときに魔力切れを起こしてしまうので注意ね」
「へ~?どんな魔法があるの?」
「どんな魔法でも基本セットできるわよ。レティは魔力量がもしあの数字なら、すごく多いんだから常駐魔法なんて多分ものすごい便利よ? よく使われているのは『探知』とか『探索』なんていう魔法かしら。罠や人影、モンスターなんかを見つける魔法ね。こういうのは1回の使用じゃ、意味が無いとはいわないけれど、常駐したほうがいい魔法ね」
「なるほどね~」
「で、最後に辞書っていうのは、そのまま辞書の事よ。この国の最新研究成果なんかも載ってたりするわね。個人の成果は基本秘匿されるから載っていないけれど。ここの辞書に登録してあるから、ステータス画面を押すと詳細がでてくるっていう仕組みよ」
確かにボクの固有魔法クリアと固有技能のグリエンタールの愛惜は、押してもスキル内容の説明は表示されない。
グリエンタールの愛惜……長いからグリエンタールでいいか。は、タップすると、別枠のウィンドウが表示された。
この画面には見覚えがある。
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