魔法戦のてびき。
「あ、イオネちゃんお疲れ~!」
「レティちゃん!どうだった?私の試合。上手く宣伝できたかな?」
「……ん?」
……宣伝??
どうやらこういう争い事が嫌いなイオネちゃんが武道会トーナメントに参加しているのには訳がありそうだね。
「あの赤い粉?」
「そうそう。爆炎砂って言う種類の砂状の薬剤でね?一定以上の衝撃が加わると爆発を起こすの!」
「薬剤?」
「うん。材料があれば錬金術で作れるし、使うのに魔力も必要ないから一般の人でも使えるんだよ?」
……ん?あれ?それって魔導具よりすごいんじゃないの?
だって魔導具は適正とか関係なく誰でも使えて便利とは言え、根本的に魔力が扱えない一般人には使えない。その一般の人が使えてあの威力となると戦争の常識が変わってくるレベルじゃないだろうか……。
「ち、因みにその爆炎砂っていう薬剤の爆発って、何故か防御魔法で防げていなかったような気がするんだけどなんで?」
「うん!そうなの!ちゃんと機能してたよね?」
「う、うん……。やっぱりそうなの?」
「元素魔法の応用なんだけどね?とある条件をクリアすれば元素魔法による防御魔法を無効化できるんだよ!」
えええ……?それなんてオーバーアルケミアよ……。
現代の魔法学とか錬金術の常識を超えちゃってない?
っていうかそんなものが世の中に広まったら世界が終わるとか、そういう話に発展してきたりするんじゃないの!?
「イ、イオネちゃん……?そんなもの宣伝して大丈夫なの……?」
「え?あ、ああ。うん。量産も絶対にできないし……それに貫通できる条件もかなり限られてて難しいからね?そこまで心配するものでもないよ?」
「そ、そうなんだ……?」
絶対にって言う事は珍しい材料でも使うのかな?
「大丈夫だってばっ!防御魔法の無効化も条件クリアは本当に難しいんだから!戦争とかそういう場じゃ絶対に条件がクリアできないし、それにそこまで危ないものだったらノイ先生が使用許可なんて出さないよ?」
それにしては今回の試合で簡単に防御魔法無効化されていたような気もするんだけど。事前に試合相手がわかっているわけだし、調べようがあったってことなのかもしれない。あまり戦闘関連の講義を取っていなかった相手とはいえ、相手の情報を探るっていうのは、試合前から始まる情報戦として当然の権利ではあるのだから。
とりあえずボクは錬金術に関してなんてわからない事だらけではあるけど、折角イオネちゃんの初勝利なのだ。質問ばっかしててもしょうがないので、とりあえず疑問は切り上げておこう。そのうち時間のある時に聞けばいいよね。
1回戦のある選手は、1回戦が終わるとすぐに2回戦が始まってしまう為試合間隔が近い。Bトーナメント左上に名前のあるイオネちゃんは残りの1回戦後10試合くらいが終わればすぐに2回戦が始まっちゃうわけだから、今の内に次の準備もしなきゃいけないし、魔力も回復させておかないといけないのだ。
魔力量管理は全兵種解禁トーナメントでは一番重要なファクターのひとつ。
1つ試合が多いっていうのはそれだけハンデを背負うってことになるわけだから、1回戦に配置されている生徒が勝ち抜くのはかなり厳しい。みんなはボクと違って、100や多くても200くらいの魔力量を割り振って短時間に使わないといけないからね。
……まぁイオネちゃん1回戦で殆ど魔法、使ってない気もするけど。
待合室で一通り話しをして控え室にセト先生と3人で戻ると、イオネちゃんが次の試合の用意を始めた。セト先生も手伝っているけど、ボクは何も出来ないので一言残してGトーナメントの控え室に戻る。
イリーやキーファ達も1回戦からだけど、試合時間が固まってしまっていて皆の試合を応援したりはできないので、他の会場は複数の会場を魔法モニターで映している観戦室で観戦だけしておくのだ。
因みに1回戦の結果としては。
イリーアは力の拮抗した相手だったけど、惜しくも負けてしまった。
試合内容はほぼ周りと変わらない魔法の打ち合い。
イオネちゃんの試合後、それをみた他の1年生が奇策を狙って真似しようとしたり、魔法を使わずに身体強化で翻弄してみようとしたけど軒並み失敗したのだ。それを見た後の生徒は結局最初の魔法の打ち合いに戻ってしまった。
魔法戦の場合、基本的に魔法を先に相手に当てた方がかなり有利になる。
意味の無い魔法で魔力を使いすぎてしまうのなら話は別だけど、怪我は治せるとは言え治療に魔力を使えば後手に回るし、魔法の威力や付加効果というのはまともに当たってしまえば相当なダメージを受けるわけで、魔法種禁止トーナメントに1年生がほとんど出ていなかったことから、兵科ほどの機動力を持っているわけでもなければ、魔力量に差がついてしまった時点で盛り返すのは相当難しくなるからだ。
そうなのであれば。そこまで身体能力に差がない1年生の場合、魔法の打ち合いになるのは至極当たり前でそれが常道になるのも必然。
イオネちゃんには神聖魔法の適正があるし、クエストでずっとそればっかり使ってるから熟練度もそれなりに高いので強化量が高いのだ。そのレベルでなければ魔法を避けるなんて普通できるはずも無い。
……まぁ先輩達は殆どそれができるっていうんだから訳わかんないんだけどね……。今単純に魔法を打ち合っている同級生達も、来年には何段階もレベルの高い戦いをするわけだ。ほんと。やめて欲しいよね。
ぼーっと1回戦を眺めていると、どんどん試合が進行していき1回戦が終わっていく。
トーナメント会場によっては2回戦に突入していた。
1回戦最後の試合。
アレクとキーファが戦ってる。
よし!……キーファ頑張れ!
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