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組み合わせ作るだけでも大変そうだよ。

44人のトーナメントが4つ、45人のトーナメントが4つだよ。

「うげ。何これ……。」


4人で食事をしていると、前と同じ調子でやる気の無い学内放送が流れた。

今回も放送内容は同じもので、明日執り行われる全兵種解禁単騎戦トーナメントの組み合わせ表が掲示されたから参加者はちゃんと確認しておくようにというもの。


あのやる気の無い放送でもシルが嫌な顔することなく受け入れているという事に、少し驚きながら4人で移動する。もしも本当にやる気の無い委員会員であれば少なからずシルは嫌な顔をするだろうから、全く持って問題視されていないという事は能力を認められているということ。


あのしゃべり方が彼女の特徴なのかな?会った事ないけど。


トーナメント表が貼り出されるのはいつも同じ場所で、一番大きいものが学園玄関ロビーの少し丸みを帯びた広い空間に映し出される。そこには今までに無かったくらいの、ものすごい人だかりができていた。これだけ人がぎゅうぎゅうに詰め込まれれば全校生徒くらいの人数は居そうだ。まぁそもそもトーナメント表を確認したいのは参加者だけじゃないので、すでに来場しているお客さんだったり、家族だったり、友達だったりという人達がごった返してトーナメント表を確認している。


正直昨日までの魔法種禁止トーナメントとは比べようも無いレベルの盛況ぶりなのは確かで。

まぁ……確かに言ってしまえば魔法種禁止トーナメントは魔法の派手さに比べれば地味だし、逆に全兵種解禁トーナメントは魔法の派手さもあれば、未知の魔法であったり、魔導具やらの研究の成果の発表の場という意味合いも含まれている分、注目度が高いのはわかる。

でもなんだろ。魔法種禁止トーナメントも、あれはあれで人間の限界!って感じで格好いいのにな。とは思っちゃうよね。




「あれ?今回はトーナメント表が沢山貼ってあるね。」

「ええ。今年は例年よりも参加者が多かったのよ。だからこっちは例年通りトーナメントが分割されてるの。魔法種禁止トーナメントの方は参加者が例年よりも少なかったせいで1トーナメントで進行しちゃったけどね。その分こっちに勝負を賭けてる子達が多いんじゃないかしら。」


「ふぅん……。」


そういえば最初に武道会トーナメントの説明を見ていた時、トーナメントは8つに分けられて開催されるって書いてあったような気もする。


「こんなにあったらどこにボクの名前が描いてあるか探すだけでも一苦労だよ~……。そういえばシルとイオネちゃんもこっちのトーナメントには参加するの?」

「レティはGトーナメント、イオネはBトーナメントよ。」


ボクの問いに対して一纏めにした答えが返ってきた。


「シルは参加しないの?」

(わたくし)はもう前線に立つ側には戻れないのよ。」


そっか。シルがこういうトーナメントに出たら注目を浴びるんだろうね。なんといってもあんなに大きな国の命運を分けるような戦争でも指揮を任されるくらいだもん。そうなれば嫌でも結果を求められる。


シルの実力は決して低いわけじゃない。平均レベルなんて簡単に超えているだろうし、実技ではなく筆記なんかの試験じゃ上位10人の内に必ずいる。上位10人というのは、その殆どが満点だから実質全員1位なんだよ?

ただし、今回のトーナメントで求められるのは実技部分で、しかもシルに期待されている結果は決して平均以上なんていう生易しいものじゃないだろうから。

だから出なくていいのかっていう意見もあるかもしれないけど、トーナメントで武功を揚げたい人もいれば、トーナメントに出る必要が全く無い人もいるわけだ。自由参加なんだからシルが出る必要はない。


どちらかというとイオネちゃんが参加するって言う方が初耳だ。こういうのは嫌いだと思っていたんだけど。


「うぅ~……。」


……うん。めちゃくちゃ嫌そうだ。

ボクがフラ先生の研究室に入り浸っているように、イオネちゃんはセト先生の研究室に入り浸っている。1年生でもそうやって研究室に正式に所属しているわけじゃなくても、どこかの研究室にお邪魔している生徒は珍しくないわけで。そういった生徒は、正式に所属しているわけでもないのにボクのように研究室の先生に課題を出されてしまうわけだ。


どうやらイオネちゃんもその口のようで。


「おいレティーシア。お前に限ってここで簡単に負ける事はねぇだろうが、気は抜くんじゃねぇぞ?何が起こるかわからねぇのがこっちのトーナメントなんだからな。」

「うん。多分大丈夫。」


「お?そうか……。」


なんとなくだけど、魔法種禁止トーナメントの時と周りの心配度が違う気がする。本来であればこっちの方が危険度は高いのに、あまり心配されたりしない。

それだけボクの魔法に対する信用はあるってことだから誇らしい事なんだけどね。つまりは武術面でもこれだけ信用を勝ち取れるくらい強くなれば、実力がついたってことになるんだろうか。


総参加者数……356人。

予選トーナメント数……8トーナメント。


各予選トーナメント上位2名が決勝トーナメントへの進出権を得る。

つまり決勝トーナメントへの参加者は16人。

今までの魔法種禁止トーナメントは上位8人が会場を移しての決勝トーナメント化だったのに対し、こちらの全兵種解禁トーナメントは倍の16人が大きな会場での決勝トーナメントとなる。


リーグ戦なんか無い、全て1発勝負の世界だ。


「あれ?シル。トーナメント表に青色の名前があるのはなんで?」


「ああ、それは外部参加者よ。全兵種解禁トーナメントには毎年諸外国の友好学園なんかからゲスト参戦してくる生徒達がいるのよ。ま、大半は魔法技術を体験して盗みたい目的の参加者なんかもいるのだけれど、体験しただけで盗めるのなら苦労しないわよね。……それに、そうじゃない強者も混じってるわよ。ま、レティならトーナメントを登っていけば、どこかであたるかもしれないわね。」


全部学内参加者だけかと思ったら、友好学園なんてあるんだ。

なんとなくエリュトスの砦の隠し通路先で見た、あの魔道兵隊さんたちの光景が思い浮かんでしまう。


「ま、あんな程度でこの学園のトーナメントに出てきたら、間違ったら死んじゃうよね……。」

「ん?」


「あ、ううん。なんでもない。」


あそこまで深部に行ってきたことはシルに報告していないからね。

それにエリュトスとは戦争関係にあるわけで、友好関係があるわけがないし。


「さ、貴女達は明日から大変なんだから。今日は早めに体を休めておいたら?」

「シルは?委員会の仕事がこれからあるの?」


「ええ。今日は帰れないと思うから。部屋の鍵はかけておいていいわ。」

「そっか。大変だね……。」

「が、頑張ってください!」


「ええ。ま、(わたくし)にはこちらの方が性にあってるのかしらね。」


そういいながらシルが振り返り、手をひらひらさせながら人ごみの中へと消えていく。

フラ先生も研究室の先輩達の分も含めトーナメントを確認し終わったようで、シルとは逆の方向へと消えていった。


「帰ろっか。」

「はい。ですね。」


学祭の露店は夜まで出ていて、学祭中は結構遅い時間まで明かりが点いているのが寮から見える。そんな出店している人達の殆ども、明日は武道会へ参加する人達。


今日は早めに明かりが消えそうだ。





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