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英気を養います!

「はぁ。……思ってたみたいには、うまくいかないもんだよねぇ。」


頬を当てながら突っ伏した机の、目の前に置かれたグラスをいじると、氷がカラカラと音を立てて崩れた。不透明なグラスに着いていた水滴も机に流れて溜まる。


「はぁ?どうなるつもりだったのよ?」

「こう……。ばっ!と現れて颯爽に決勝戦辺りまで勝ち進んで?決勝戦辺りでまだ見ぬライバルと熱戦を繰り広げる!みたいな?」


「馬鹿なの?そんなの今時書き物でも流行らないわよ。」

「あはは……。」

「むぅ。」


団体戦も静かに終わってしまい……。

皆が気を使って晩御飯に誘ってくれたので、シルとイオネちゃんとフラ先生との4人で、学祭ブースにあるお肉料理屋さんに来ている。


お肉を扱い煙がでるお店だからか、野外や一ブースとしての出品ではなく大きな講義室を1部屋丸々改装して造られており、講義室なので天井が高く通気性もよい。


学祭の割りに料理のレベルも高くて、グルーネ国内の肉料理に限らず外国の色んな料理まで取り扱っているくらいの品揃え。あまり普段食べられないような料理をいくつか頼むと一斉に料理が運ばれて来た。

皆で取り分けて食べてみる。

お肉はもちろん、お肉屋さんには必ずと言っていいほどある大きな椀物の料理から、野菜まで。どんなに頼んでも痛むのは先生の懐なのでボク達には問題がないわけなのよね。とはいえ学祭の出店なんだから結構安いんだけどね。



正直口に合わない料理なんかもあるんだけど、別に食べれないほどでもない。それに先生は好き嫌いしないみたいだから、どんな料理でもいけるんだそうだ。

昨日食べてたゲテモノ系でも大丈夫なのかな?先生に乙女なところがあるなんて想像すると、ちょっと噴出しそうになっちゃうけど見てみたいかも。まぁダンジョンの中で寝泊りしてるような冒険者が、ちょっとした昆虫くらいで乙女になる姿なんて見られないだろうけど。


「結局どっちも大きな舞台まではあがれなかったかぁ。はぁざ~んねん。」


食事中にあまりネガティブな話をするのは、ボクとしてはあまり好きじゃない。

食事は楽しく食べた方がおいしいもんね。でも思っていたより精神的ダメージが大きかったらしい。ついつい口をついて愚痴が零れてしまう。


「団体戦の方は一応上がる舞台までは上がれただろうがよ。」

「だってあれはリンクの力でしょー?ボクなんもしてないもん。」


「何もしてなくはないのでしょうけど……。自分の実力を知ることは武術家としては重要な事よ?……レティは武術家ではないのだけれど。」

「でも、レティちゃんの実力を発揮する場はこれからですよね!?明日からの全兵種解禁トーナメント!もしかしたらそっちでなら、さっきレティちゃんが言ってたようなアツイ展開になるんじゃない?」

「で、できるかな!?」


「はぁ。……魔法があるほうが何が起きるかわからないのよ?危険度も高いんだから……。あんまり夢ばかり見てないで堅実に足元を見ておきなさい。」

「シルって本当はエルフ族で、実は1000歳超えてるっていう設定だっけ?」


「はぁ?何よそれ。」


何よそれっていいながらものすごい鋭い目で睨まれた。

だってこれで16歳って……。年齢詐称も甚だしいよね?


「全兵種解禁で気をつけるのは魔法だけじゃねぇぞ?魔法だけに気を取られてると足元すくわれるからな?」

「え?そうなの……?」


だって皆魔法禁止・魔法解禁みたいなわけ方してるから、てっきり魔法が使える使えない違いなのかと思ってたんだけど……?


「ああん?それなら魔法種解禁トーナメントって名前でいいだろうがよ。全兵種解禁トーナメントだぞ?魔法生物・魔道具も解禁だからな。ドラグナーやガンナーなんて特殊な兵科も参戦してくる。」

「おお……?あんまし見たこと無いからなんとも驚き様が無いけど。でもあんまり戦時中も戦闘用魔道具って使ってる人って見なかったよ?……あ、ティグロ先輩が魔導剣?っていう大きな剣使ってる所は見たことあるけど。」


まぁそれが壊れる所もこの目で見てるんだけど。


「ああ、ティグロはマギナじゃねぇからな。あいつはソルジャーで実験の被験者みたいなもんだ。魔道具弄りはできねぇから実際あの剣を作ってる奴は別にいる。」

「マギナ?」


「魔工技師の総称だな。ガンナーやら魔導具を扱って戦闘するスタイルの奴を基本マギナと呼ぶ。ガンナーだから銃型の魔導具以外使えないかっつったらそんなわけねぇからな。魔導具のいい所は適正や特殊能力が無くても色んな魔法を魔導具を通して扱える事だ。」


試合に銃もって出てくるの?

ずるくない??


「ただし、もちろん魔導具には戦争時そこまで広く使われないだけの理由がある。」

「あんまし数がないんでしょ?高価だし。」


「まぁ……それも理由の一つだが一番の理由は別だな。発動が遅ぇんだよ。魔導具って奴は。」


そういえば冒険者ギルドの昇格試験の時、銃型の魔導具使ってる人いたっけ。確かにあれをイメージすると、威力はないし魔法を直接発動したほうが早いし魔導具は1つの魔法しか扱えないんだから多様性にも欠ける。


試合に銃持って出てくるのがずるいのか、試合で魔法使える方がずるいのか。

よくわかんなくなってくるけど、魔導具の銃はどうやら前世の世界にあったような科学の粋を集めた物とは違い、そこまで万能性の高い武器というわけでもなさそうだ。というより、魔法というものが万能すぎて銃が見劣りしているだけっていう可能性もあるんだけど。


「命を賭けるような戦争なんて場で、魔導具を使う場面なんてのはティグロみたいに自分の得意な戦闘スタイルに組み込める程度の物だけだ。魔導具だけを持って戦場に行きたがる奴はそうそういない。だけど試合となりゃ話はちげぇ。1回1回を乗り切る作戦と奇抜さがあればいいからな。そういう意味では魔導具には細心の注意を払う必要はあるわけだ。」

「なるほどぉ。……わからん。」


「やってみりゃわかるよ。そんな特異な相手と当たればだけどな。」


ああっ!だからもう!

そういうフラグを立てないでよ!




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