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The work out of sin is only strong by sin.

「あ゙あ゙っ!?」


はぁっ!?っざけんなっ!!


開始早々俺を狙って突っ込んできやがった。


全く予想だにしなかったわけじゃねぇが……。これほどまであからさまに分断してくるのはあまり想定していなかった。相手だって俺とレティの実力くらい把握してるはずだ。そうなれば俺にレティを守らせていた方が行動を制限させて戦いやすいはず。この作戦は実力差を考えれば俺とレティに勝機を与えているようなものだ。


「よぉ王子。話すのは久しぶりだなぁ?一年ぶりか?」


俺に突っ込んできた2人の得物は、1人が長剣で1人が短剣を両手に持っている。

長剣の男が切り結び顔が近くなった所で話しかけてきた。


前のめりに突っ込んできたのは長剣のほうで、短剣の方が俺の体勢を崩し続ける事でいいように分断されていってしまう。


「ああ?てめぇ等みてぇな雑魚なんか覚えてねぇなぁ!?」


2人掛りであからさまに分断されているが、その流れに抵抗できない。そのまま自分達が向かい合っていた後ろにあった森林地形の中へと運ばれてしまった。


どうにかして戻らねぇと。

あいつと2人きりにしておくのはやばい気がする。

これが胸騒ぎってやつの正体か……?


「わざわざ雑魚の顔まで覚えててくれて、この国の王子は優しいよなぁ?」

「……。」


「去年までの俺等とは違うってとこ、思い知らせてやるよっ!!」


森の奥にまできちまった。

光が薄っすらとしか届かない場所で、どっちの方向から来たのか感覚がつかめない。まぁそこまで広い実技室じゃねぇんだから、少し走ってどこかの地形まで出れば方向なんぞすぐわかるんだが。




こいつ等の顔はもちろん知っている。

この学園はそこまで生徒数が多いわけじゃないし、何より2人とも兵科を主体に講義を受けている生徒だ。嫌でも日常的に顔を合わせることもある。

ただ、別に特段こいつらとは親しいわけでもなければ、顔を見たことがある程度で話した記憶すらない程度だ。そこまで嫌われている気もしていなかった。


そもそもこいつ等が、レティと今2人きりにされているあいつと組んでいるのにも違和感はあった。話した記憶も殆どないとは言え、仲のいい奴だとかいつも一緒にいる奴ってのは大概目につくしわかるからな。この3人は特段そういった雰囲気は日常的になかったはずなんだよ。


……昨日までは俺って皆にそこまで嫌われてねぇよな?

とか考えてた割りに、試合が始まってすぐに突っ込んできたこの2人は俺に対して明らかな敵意をむき出しにしている。全員に好かれようなんざ初めから思ってもいねぇが、流石にこれは恥ずいだろ。


薄暗い視界の中、1人がやけに俺の注意を引き、もう1人が静かに死角へと潜り込んでいくのを牽制する時間が続く。




余りに些細な事で忘れてたが、なんとなく今の会話で思い出してきた。

この2人は俺が去年武道会トーナメントでボコボコにしてやった奴等だ。試合形式の大会なんてこの学祭以外でもそれなりの数催されているし、片手でひねり潰せるような雑魚の顔なんて一々覚えてねぇんだよなぁ。それがいくら学園の先輩だったとしても、だ。


「おらぁっ!!」


大ぶりに、でも反撃する隙はないような攻撃を受けさせられると、次の瞬間どこかに潜っていたもう一人の奴の短剣が背中を掠める。

俺はレティとは違い露出する癖はねぇから普通に防具を付けている。掠めたくらいじゃダメージになんてならないけどな。とはいえ、こいつら程度に防具を傷付けられるのは釈然としねぇ。


「ほら!ほらほらほら!どうした王子さんよ!反撃もできねぇじゃねぇか!」

「っ!!」


団体戦の舞台だ。

個々人の能力が少し劣っていようが、人数で勝っているのであれば人数の有利を使う。そんなのは当たり前なんだが……普通にこいつら連携がうめぇ。去年は個人戦であたったから楽勝だっただけなのか?これだけ連携が出来てれば去年だって団体戦である程度の成績は残せただろうに。


ガンッ!!


ついに捌ききれなくなり後ろから強烈な短剣での突きをくらってしまった。

防具を貫通出来るほどの攻撃力があるわけじゃないから衝撃を受けるだけなんだが、防戦一方じゃレティの所に戻るまでも無く俺がつぶされちまいかねない。

結局の所、いくら倒しきれなくても戦闘不能にしちまえば勝利だ。そんな条件満たす方法はいくらでもある。


「ちっ!うぜぇなぁ。俺に言いたい事があんだったら言えばいいだろうがよ。普段だろうが個人戦だろうがいくらでもよぉ!?」

「はぁ?お前に何がわかる!地位も名誉も実力も……更には女だと!?俺からは全て奪ったお前に!!」


「はぁ!?なんの話だよ!?」


俺がこいつと顔を合わせたのなんて去年の武道会トーナメントくらいなもんだ。全て奪ったとか言われても身に覚えなんかあるわけがない。


むちゃくちゃな割りにしっかりと基礎ができた剣術を受けつつ、影に身を潜める短剣使いを往なす。短剣使いの方も俺に敵意は向けるものの、役割上一言も話す事はない。


ガチン!


武器が武器と衝突し、距離が離れた。


相手が一旦手を止め俺を睨みつける。


「俺の家族とこいつの家族は、モンスターパレードの防衛戦に参加して……死んだよ……。お前が指揮を執ってたんだってな?途中から何の指揮もなく酷い有様だったらしいじゃねぇか。俺の家に仕えていてくれた兵が、終盤お前が砦から逃げ出す所を目撃してんだよ。……責任も義務も果たすことができねぇ奴の何が王子だ!ふざけるなっ……。お前如きがやらなければ!!シルヴィア様にさえ任せていればよかったものをっ!!!」




……ああ。……そうか。

そういうことか。




あの戦争ではかなりの死傷者を出してしまった。

それもシルヴィアの指揮した戦場のほうが状況が悪かったにも関わらず、シルヴィアは殆ど被害を出す事無く突破し、こちらに援軍としてまで駆けつけたのに。



これは……俺の罪か。




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