世間にはそういう関係だって思われてるのかな・・・。
「いたっ……つっ……痛いってばっ!!」
潰れている刃のせいで、突かれると刺さらずに内出血が増えていく。
刃を滑らせてみても、潰れた刃が鋸のように肌を削り血が流れる。
「くひひ……。」
ニヤニヤニヤニヤと嬉しそうにしやがって!!!
むかつくぅぅぅぅ!!
大体初めて会った人のこと、メス豚メス豚ってうるさいんだよ若ハゲくそジジィがっ!
それでちゃんと技量があって頭がいいとか、なおムカツク!!
余裕を持て余して嬲られているのなんて、本人であるボクが一番よくわかってるんだよ?絶対的にボクの技量が足りてないのに対して、何故か致命傷がない。
なので試合が止められることもない。
リンクはまだ帰ってこない。むしろ相手の2人がリンクを押し切ってこっちに帰ってきてくれれば降参もできるけど、リンクが2人相手に頑張っているのに誘ったボクがこんな所で大した傷も負っていないのに降参するわけにはいかない。
大体言動も見た目も10代じゃないんだよ!このハゲジジィ!!!
そりゃこんな状況でもなければ、このマッドハゲ先輩は尊敬に値するような人なのかもしれない。っていうか、この状況は試合で勝つ手段としてこの上なく当たり前の状況であって、ボクがイラつくってことは相手の作戦通りにハマっちゃってるってこと。
んなこたわかってるんですけどねぇ!!
「ああもうっ!!!」
ぶんぶんと武器を振り回せば、ボクが無駄に消耗する体力を良しとして近づいてすら来ない。いくら武器スキルがちょっとあったとしても、体力や筋力の疲労は絶対的に蓄積されていってしまうのだ。
もういい様にされすぎていて辛い。
アニエラさんと戦ってたほうが遥かにせいせいしたんだよっ!!
どうせ捌ききれなくてこのままダメージを蓄積するくらいなら。
もう大怪我覚悟で相手の武器を止めてやるしかない!
相手が攻撃してくる箇所は太ももから顔周りの露出している部分。
つまり、顔、首、胸、脇腹、そして太もも。
胸から上は急所だからやられないように重点的に守ってるけど、その分ガードが上にあがってるものだから脇腹と太ももがぼっろぼろ。
真っ白な肌が青痣どころか黒ずんで、その上を更に鮮血が赤く染めていて純白だった肌は見る影も無い。たまに受ける防具への攻撃も、その衝撃は体に伝わっている。防具のおかげで急所は守られていたとしても、ここまで防具をすり抜けて攻撃されてれば何の意味もない。
でも、攻撃される場所がある程度わかるのであれば待ち構える事もできる。
「ぬっ!?」
「いったぁぁぁぁい!!んのやろぉ!!」
「んぐはっ!!」
一か八かで右のわき腹に攻撃が来るのを待ち、攻撃された瞬間槍を構えていた右手を離す。
相手の刃を止め、右手で握り締めた。
刃は潰れているから指がちょん切れる事はない!
ないけどっ……肉を削り明らかに骨まで簡単に達している。
動きさえ止まってくれればいいのだ。
相手は男とは言え筋力なんてないガリガリの体をしてるんだから。
いくらスキルで身体能力が底上げされていようが、止めてしまえばこちらのもの。ここ数ヶ月の血反吐を吐くような特訓をしてきたボクをなめんなよっ!
鳩尾に蹴りをくらわしてやると、ボクが想定していたよりものすごい距離を吹っ飛んでいった。
筋肉も脂肪もない体で魔法の強化もなく直撃を受けたのだ……。
「げほっ……おぇっ!……。」
うげぇ……。汚っ……。
「お、おのれぇ!!」
そんなおっかない顔で睨まれても、武器はボクの手元にある。
まぁ指の腱が切れたのか右手が上手く握れないので扱えはしないんだけどさ。
左腕だけで槍を扱うのはボクには難しいので、地面に突き刺しておく。
リンクと戦ってる2人が戻ってきたら別だけど、あのハゲジジィにはこれだけ深く突き刺しておけば抜けないでしょ。
右手に血液で癒着しはじめてしまった仕込み杖を左手で剥がす。
右手がジンジンする。空気に触れただけで痛みが倍増するようだ……。
「おの……れっ……!?」
「えへへ……。」
切り刻まれたとはいえ、甚振られていたせいで脇腹の怪我も太ももの怪我もそこまで重傷ではない。むしろ右手が一番重傷。
逆に相手は1発しかくらっていないとは言えノーガードの鳩尾にボクの走りこんで太くなっちゃったこの脚での急所への蹴り。
体に残っているダメージは明らかに違い、ハゲジジィは立つ事もままならないまま、ハゲジジィの仕込み杖を持って近づく。黒い笑みがこみ上げてくるようだ。
「ふむふむ。なるほど……。ここを押すと……おお!中で何かが回転してる振動が……。これもしかしてコイルを回してるの?よくこんなの作れたね……。」
にこっと笑いハゲジジィが蹲る目の前に立ちふさがった。
見上げている飛び出た目が恐怖で歪み、汗が額とハゲ頭を流れ落ちる。
「電気っていうのはさぁ……。こういうところに流すのが一番いいんだよねぇ……。」
逆転し立場に、最大級の笑みを浮かべて上から見下ろしてあげる。
蹲るハゲジジィを蹴り上げて仰向けに寝かせ、心臓に刃を突きつける。少し刺さって血が滲んでくるのが見えたけど、こんなに甚振られたのだ。この程度で終わらせる気はない。
そのまま這わせるように肌を裂きながら口へと差し入れた。
もちろん放電現象は起きようもない。
ガチッ!
かみ締めようとした歯をこじ開け、無理やり口の中へ捻じ込んでいく。
粘膜から心臓へと電気が流れればいくら静電気といえど死に至る可能性もある。あるにはあるけど、スタンガンみたいに高電圧かけて強制的にスパークを発生させるわけじゃないから、静電気なんて人体通じてたら逃げてくんだけどね。まさか口の中に突っ込まれた事なんてない相手は、そんなこと知りようもない。
「うぐ!あぐぅ!!!はがっ!!」
舌が刃で固定されている為ハゲジジィは降参することもできない。
何かを言いたそうに回る口が、いくら潰れているとはいえ刃に当たり血が噴き出ている。口の中にたまっていく血だまりのせいで、息すらもしづらそうだ。
ま、こうやってこいつの体に剣を密着させている限り、電気は溜まんないんだけどね。
そろそろ降参って言わせてあげようかと思い剣を口から抜いてやる。
するとハゲジジィが……にやっと笑った。
ボクは次の瞬間、後ろからものすごい衝撃に襲われ……。
意識を……失ってしまう。
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