そういえばこういう世界でしたね!
UP遅れました・・・。予約出すの忘れてた!
「な、なん……で……?」
思ってたより警戒心無く近づいてきたのはこのせいか。
鏃が刺さってまだ数秒もしていないのに目の前の女性が苦しみだした。
太ももに突き刺したのに、もう全身が痙攣し始めている。
これだけ即効性の毒ならまぁ……。確かに当たったと思ったら気を緩めちゃうのはしかたないのかもしれないけど……。
こんな劇毒を試合で使うのって普通なの?下手したら死んじゃうのなんか武器で殴られようが毒盛られようが変わらないのは確かだけど……。
とは言えこんなもの何十回と向けられてたボクとしては自業自得としか思えないけどね。ボクには不相応なこの防具がなければ、ああなっていたのはボクの方なんだから。
「ねぇ!このお姉さん死んじゃうよ!?解毒薬どこ!?」
顔の青くなってきたお姉さんの首根っこを摑まえてリンクたちの戦場に持っていく。事態をすぐに把握した3人がすぐに立ち止まり戦闘が止んだ。
「は?リン!!おい!なにしてんだよ!?」
「お、おい!大丈夫か?」
相手のチームメイトが2人共近づいてきてすぐに薬を打ち込んだ。注射型の解毒薬で、誤射の可能性もあるしチームメイト全員が解毒薬を持っていたのだろう。
「お、レティ。よくやったじゃねぇか。」
戦闘が止まったリンクもこちらに近づいてきた。
「でしょ?」
「正直レティが決めてくれるとは思ってなかったんだけどな。」
「……そういう事は思ってても言わないでくれるかな?」
「うっ……そうか。わりぃ。」
女性の顔に血の気が戻ってくると、男性2人が手を挙げて降参を申し出た。
もちろん、解毒させる余裕を与えたっていうことは、解毒させる代わりに降参してね?って意味に他ならない。
そんな約束していないからと体よく受け取り、解毒後試合を再開しようものなら、魔道モニターで自分たちの恥を晒すことになってしまうし、未来の士官先だとかお偉いさん方が見ているかもしれないようなこの状況でそんなことしてしまったら、今この試合で負けるよりも遥かに損失になってしまうわけなのだから。
自分たちがこの状況に持って行って降参を迫るはずだっただろうに、まさか自分たちがその状況に持っていかれちゃうなんて思ってもいなかっただろう。ボクもまさかそんなことになるなんて思ってもみなかったけどね。
それにしてもこの毛皮。
ボクが思っていたよりも有能すぎて怖いくらいなんですけど。
「どうやってやり返したんだ?流石にレティの反射神経で矢を止めるのは難しいだろ?」
「うん。止めるだけならできるかもだけど、毒があるとなると確実に矢箆の部分を掴まなきゃいけないでしょ?そんなの無理だよね。」
「俺も最初止めてみて結構衝撃あったからな。女だと思ってたらとんでもねぇ。相当な弓の使い手だぞ?あいつ。」
「うん。だから避けられずに受けたの。」
「……は?じゃあなんで相手があんなんになってんだ?」
「通らなかったから?」
「通らなかった?」
「うん。これ。」
「ああ、いつも着てる奴な。……ん?矢を弾いたのか?それ皮防具だろ!?」
「うん。」
「そ、そうか……。まぁそんなこともあるか……?」
皮製と言っても防具は防具。矢だって真っ直ぐ突き刺さらない限りは、そこら辺の防具でだって弾く事はあるだろう。今回は真っ直ぐ突き刺さったわけなんだけど、そこまで説明すると色々説明しなきゃいけないからね。めんどくさいし、今ここですることでもない。
あまり納得していない表情のまま、リンクが会場を後にしていく。
その後ろについてボクも会場を後にした。
そういえばリンクにはシュヴァルツ・クラウンウルフの皮で作ったこの防具の事、ちゃんと話してなかったっけ。あの頃はどちらかというとリンクの事怖かったし避けてたからね。ボクがこの狼に殺されかけた事も知らないだろうし。
2回戦が終わって控え室まで戻らずに、待合室にリンクが入っていった。
「レティ。昼飯はどうするんだ?作ってきてあるのか?」
「ううん?っていうか終わるまで食べる気ないけど……?」
団体戦なだけはあって個人戦に比べ1試合の時間が長いせいか、もうお昼の時間なんてとっくに過ぎてしまっている。
確かに食事を取らないとエネルギーが足りなくて力がでない事もあるだろうけど、朝食はちゃんと食べてきているし、昼食はそんな簡単にエネルギーに変わるわけでもないし。
むしろ体が少しでも重くなってリンクの足を引っ張ってしまうなんて事になったら申し訳なさすぎるので、お昼を取る必要はなかったのだ。
「そうか。ならいんだが……。まだ行けるか?ちょっと次は……な。食わない方がよさそうだぞ。」
学園の入口に張り出されているトーナメント表は、案内の役割もあるからかなり大きい物が映しだされているんだけど、もちろんその表を小さくした奴なんかはいたるところに掲示物として貼り出されている。やっぱり控え室や待合室にもあって、そのトーナメント表を見ながらリンクが難しい顔をした。
いつもどちらかと言うと自信家タイプのリンクにしては珍しい。
「知ってる人?強いの?」
「強い……とは言わんがな。俺よりは確実に弱いからな。」
リンクより弱いは、ボクにとって弱いとはならないんですけどね。
「……あそ。じゃあどうしたの?お昼食べない方がいいって事は吐くかもしれないからってことでしょ?」
「ああ。……性格がな。悪いんだ。」
性格が悪い?
嫌な奴ってこと?それとも知的で策略家だから運動量が跳ね上がりそうってことかな?いやらしいって言う意味でも、嫌味で性格が悪いって使うよね?
「なんというか、その……人を甚振るのが趣味の変態でな……。」
あぁ。ドストレートに性格が最悪の方か。
っていうかそれって性格なの?性癖の方じゃないですかね?
「とにかく。もし俺が先に落ちる事があればすぐにリタイアして構わないからな。」
「うん……。わかっ……。」
うん?
あれ。これ久しぶりに……。
わかりやすいフラグ、立ったなぁ……。
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