団体戦トーナメントが始まります!
ちなみにトーナメント表は、ウェブ上で作れるトーナメント表作成ツールを基にしておりますので、トーナメント表をなんとなく確認してみたいなって人は「トーナメント表 作成」で検索して作ってみてください。参加人数打ち込めば一瞬で作れます。
「お、おい……。」
「何?」
「機嫌直せよ……。もう試合始まるぞ?」
「直せも何も別に悪くないんだよ?」
「そ、そうかよ……。」
結局素手のリンクを背後から襲ったにもかかわらず……結局一方的にいいように準備運動の道具として扱われてしまいましたとさ!!
まぁほら?基本的に足りないスペックは体作りから入るしかないわけだし、そ〜もそも?リンクの方が何年も先から厳しい訓練を続けて来てる訳だし、男女の差もあるわけだから百歩譲っておいておくとしても、それ以前に攻撃の軌道がワンパターン過ぎて読まれやすかったりだとか、ボク自身の攻撃や防御のバリエーションの少なさが露見される結果となった。
武器スキルの違いとか経験の差と言われてしまえばそりゃそうなのかもしれないけど、リンクと真面目に打ち合う練習っていうのは実際ここ数週間で一緒に練習してきた中でも殆ど無かったので有意義だったのだ。
その内容について黙りこくって考えていると、機嫌が悪いのかと勘違いされてしまっていたようで。試合開始直前になって恐る恐るリンクが話しかけてきた。
ここまで何にも言わなかったのはそのせいだったのね。ちょっとボコボコにされた所で、身体に穴あけられる様な馬鹿げた訓練に比べればなんてことないんだけどね。
「とにかく。ここまできて細かい作戦も何もねぇからな。作戦は唯一つ。離れるなよ。」
もう既に実技室の中。
少し向こう側には相手のチームが見える。
「うん。わかった。」
初戦の相手は4人組。全員男性だ。
人数で勝っている場合、いくつか定石となる攻め筋っていうのがあるんだろうけど、相手から見てボクとリンクで2人組の場合、いくつかある定石の中から選ばれるものは、ある程度固定されてくる。その中でも最も有効で簡単な選択肢は、ボクを複数人で即効で落とすか、1人で抑えて完全に無視するか。この2択だ。
リンクが強い事なんてこの学園にいれば周知の事実だし、ボクの実力は先の個人戦で露呈してしまっているわけだから、相手としては作戦が立て易い状況といえるだろうからね。
ってことは、逆に言えばボク達からしても対応がしやすいわけだ。
ボクとしては一番困るのが、リンクを1人で止められて3人がかりで即効落としにこられるっていう作戦。個人戦をやってみてわかるように、この学園では魔法が使えないボクの格闘能力なんてたかが知れているわけだから、どんなに個人戦の初戦で当たったような相手だとしても3人掛りで攻められれば相当厳しいし、何よりそうなってしまってリンクの足を引っ張ったんじゃリンクの名前にも傷をつけてしまうことになるわけで申し訳も立たない。
つまり、そういう状況にならない為にはリンクがサポートできないような場所に、ボクが引っ張り出されるような試合運びをしてはいけないという事になる。
じゃあボクが完全に放置された場合はどうすればよいだろうか。
正直なところアニエラさんとの試合を相手が見ていたとしたら、この選択肢だって十分にありえるわけだ。ボクからしたらとてもじゃないけど善戦したなんて言える試合じゃなかったわけだし、ボクの能力は相当下に見られてる可能性は結構高い。実際その見立ては間違っていないわけだしね。
そんな強くも無いのに、強い人引っ張ってきて大会で上位に食い込もうとしてる面白くない奴。って周りからは思われていても、正直仕方ないかな。なんて思わなくもない。
自分だって単騎戦トーナメントであれだけ奮わないなんて思わなかっただけなんだけどね?
大した事のない努力を過信した過去の自分を呪いたい……とか、今更言っててもしょうがないわけで。
正直4人掛りで攻められようがリンクが魔法の無いこの大会で、即効落とされるなんていう状況はほとんどあり得ないわけで。そもそもそんな状況が起こるのであれば、まともにやられても勝てないだろうしね。もしもボクが完全に放置されて、リンクが4人を纏めて捌いているうちに、ボクが後ろから自由に攻撃できるのであればむしろ望ましいのだ。
だってボクの槍術に関しては扱い難いあの槍でしか露見していないわけだから。武器がかなり扱いやすくなった今であれば火力は相当上がるはず。そこで誤差が生じれば、その状況になった時点でかなり勝率は高くなるだろう。
つまり負ける可能性の高い状況と勝ちやすい状況のどちらにしてもボクとリンクが離れて個別に戦うなんて事にメリットが生まれない訳だから、ボクはリンクと分断されない事が重要ってわけ。
ま、どっちにしたっていくらボクとリンクが分断されなかったとしても、実質人数差で言えば2対1を強いられるわけだけれどね。
ボクがいかにリンクの足を引っ張らずに、相手2人を足止めできるか。
リンクがいかに2人の壁を抜けてこれるか。
大したペアスキルもないボクとリンクで戦える範囲っていうのは、そのくらいのものなんじゃないだろうか?その先へは、もしかしたらこの大会の最中で行けるのかも知れないけど。
向かい合う4人も武器を構えセットする。
多分気のせいじゃないんだろうけど、相手の意識があきらかにボクに向いているようだ。プレッシャーを感じる。
もちろんリンクも気付いているだろうけど、相手からしてみればそれが決まれば勝ち筋なんだから作戦としては間違ってないもんね。
「それではよいか?」
個人戦の時のようにすぐ開始されるわけではなく、主審が尋ねたが、ボク達だけに対する確認ではない。
団体戦は個人戦の時には1人しかいなかった審判が4人もついていて、そのうちの1人が主審として試合を進める。そして一番の違いは、人数の差や戦略の幅を持たせる為に開始時お互いのチームがかなり離れた場所に配置されるのだ。つまり副審に対する確認も含まれる。
ボク達と相手側の両チームの傍にいた副審が返事を送ると、その中央にいた主審が手を上げて魔法を発動させた。
パァン!
と盛大な音だけが鳴り響く。
開始の合図と共にリンクが場所を移動し始め、ボクはそれに続いた。
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