学祭2日目。
魔法種禁止単騎戦トーナメント1日目が終了した。
準々決勝以降は全種のトーナメントが終わってから会場を大きな場所に移して一斉に行うんだそうだ。トーナメント表にもよく見たらそう書いてあったんだよ。
……規定をちゃんと読むって大事だよね。うん。
それにしても……。残った8人のうち2人は女性だって言うんだからすごいよね。実際、魔法が絡んでくれば戦闘系武闘会のような催し物でも女性が残る比率はそれなりにあるんだけど、やっぱり単純な身体のつくりの違いから、混合武闘トーナメントで女性が上位に食い込むっていうのはあまりみられる光景ではないのだろう。
それだけに、女性に対する観客の注目度っていうのは、否応にも上がっていく。
ちなみに、残っている2人のうちの1人はボクが負けたアニエラさんだ。
そしてなんと!リンクはもちろん残ってるんだけど、フラ先生の研究室の先輩が2人も残ってるんだよ。そのうちの1人はティグロ先輩だった。
なんとなく舞台の上でリンクに武器を吹き飛ばされてたイメージがあるから、まさかあのトーナメントで8強に入っちゃうくらい強いなんて思ってなかったんだけど……。よく考えたら、あの舞台で色んな人をなぎ倒してたのもティグロ先輩なんだよね。あれが殺陣みたいな予定調和の舞台じゃなかったんだとしたら、ティグロ先輩が強いのも頷けるわけだ。
個人的にはアニエラさんにも頑張って欲しいかったりもする。だって、そうしたらボクが負けた相手が強かったんだってことが証明されるわけじゃない?言い訳もたつってものだよ。
まぁ今更誰かに自分の実力が足りていなかった事を言い訳する気なんてないけど、なんとなく対戦相手が強かったんだってわかれば自分の心にも整理がつきそうじゃない?そういうのって大事だと思うんだよね。ただただ一人で自分の不甲斐なさに落ち込んでいたってしょうがないんだしさ。
「リンクー。おはよう。昨日はよかったね準々決勝進出おめでと。」
「ああ、ありがとな。……今日もそこまでは行くからな?」
「うぅ~ん……。」
「なんだよ。昨日まではやる気だったじゃねぇか。」
「まぁ、ほら……ね?昨日個人戦出てみて自分の実力って奴がわかっちゃったからねぇ。いけたとしてもリンクのおかげって感じだろうし。」
「はぁ?まぁありゃ相手が悪かっただろ。アニエラがわざわざ刃を木製に付け替えてたんだから本気だったんだろうしなぁ。」
「え?なんで木製だと本気なの?鉄製とか金属性のほうが強くないの?」
金属製の方が力だって乗るだろうし重さだってあるんだから強いよね?
「殺しちまうからな。手加減ができねぇ相手は。」
「……え?」
「手加減できねぇ相手と武器でやりあうんだぞ?いくら刃を潰してあっても金属の塊があんな重量のある武器についてたら殺しちまいかねねぇだろ?」
「…………え?でも最後は金属の剣でとどめ刺されたんですけど……?」
「よくあいつに武器を手放す所まで行かせたよな。」
「いや、とどめが……え?」
「ま、その防具着ててよかったな。」
「……。」
「じゃ、行くか。」
「なんかボク怖くなってきたんですけどっ!?」
「ま、大丈夫だろ。俺が守ってやるよ。」
「兄弟かよっ!!!」
「……はぁ?」
武道会トーナメントの予定期間は1週間。
1週間といわれると短いようだけど、スケジュール通り進行できれば時間としては余るように設定されている。昨日の試合もかなり急いでいたし、ベスト8が出揃うまではあんな感じで結構急ぐ事になるのかもね。
さらに魔法種禁止単騎戦トーナメントは参加者が例年よりも少し少なかった為、例年とは異なりトーナメントが1つに纏められていたんだけど、その甲斐もあってか予定よりもかなり早く進んでいるようで、本来であれば今日の午前くらいまでは個人戦が行われている予定だったのが昨日の1日で準々決勝前まで試合も終わっており、団体戦の開催が前倒しされることとなった。
この学園で言えば参加者の増える全兵種解禁トーナメントの方が、もちろん試合数が多いわけだから、そっちの方が時間を読む事が難しくなるわけで。早く終わったのであれば前倒ししてしまえ!と言うことで2日目午前から魔法種禁止団体戦トーナメントが執り行われる運びに。
昨日の日中のうちに突然トーナメント表が貼りに出されたのはスケジュールが前倒しになった為。実はトーナメント表を確認しにいったらリンクとばったり会えたから、今日の団体戦の待ち合わせもスムーズに行う事ができたんだよ。
「うげ……。」
個人戦は1つの実技室を4つに分割していたのに対し、団体戦は1つの実技室に対して1つの試合が進行されるようで、感覚的にかなり広く感じる。
1つの部屋が舞台ってことは場外なんていうルールはもちろんないし、さらに団体戦ってことはボクがやられても即試合が終了するわけではないってことになる。
ってことはだよ?もしもボクがボコボコにされていたとしても、リンクがまだ戦っていたとしたらその状態のまま試合が継続されるってことでしょ?
痛いのは……やだなぁ……
「どうした?」
「いやぁ、実技室1部屋丸々使うんだなぁって……。」
「そりゃ最大10人入るわけだから当たり前だろ?個人戦の広さじゃデスマッチになるだろうが。ってかお前もしかしてルールブック読んでねぇのか?」
「ルールブック?」
「おい……。お前のその常識の無さってどうしてだろうな?あれだけの常識人が一緒に暮らしてるのによ……。」
「し、失礼な!ボクってばどっちかというと常識はある方だと思うんだよ!?」
「大会に登録しといて、その大会のルールを確認しねぇやつが何だって?」
……。
リンクに正論で言い負かされる日が来るとは思ってなかったんですけど……。
「……ルールブックとやらはどこで渡されたの?」
「渡されるっつーか、学園の行事やらなんやらについて載ってるのは?」
「あ!魔宝珠!」
「に書いてあんだろうがよ……。」
「そんなの言ってくれなきゃ知らないし。」
「渡された時にそれ見ろって言われなかったか?」
「言われたような言われてないような……聞いてなかったような。」
「聞いてなかったんだろうよ……。」
……なるほど。今度から気をつければいいよね!
明日から頑張ります!
「いいから行くぞ。受付はメンバー揃ってねぇといけんからな。」
「そうなんだ。」
「俺が誰かを案内する役回りってのは始めてだわ……。」
「へ~。よかったね?貴重な経験ができて。」
「はぁ……。」
……なんかいつもと立場が逆なんですけど。
アレクといいリンクといい。ボクで遊んで楽しいんですかね?
ボクは全然!楽しくないんですけど!?
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