ボク、気になりますっ!
「にしたって、イリーは可愛いんだからアレクと別れたってこれからずっと独り身になるなんて限らないでしょ?貰い手だっていっぱいありそうじゃん。」
「……そういうわけにはいかないわよ。国の第2王子と公式にしていた婚約を、こちらが一方的に破棄したんだもの……。そんな肩書き一生消えはしないわ。そんな私を娶ったりしたらデメリットしかないもの。」
「え?なんで?」
「それはそうよ。普通考えられないもの。アレクに恥をかかせてしまうのよ?それくらいの覚悟はしていたわ。」
そういうものなのかな?
それだとボクは大丈夫なのかなぁ?
婚約してたわけじゃないし流石に大丈夫だよね?
もしまずいなら、流石にシルに何か言われてるか。
いや、ボクだって人並みに結婚だってしたいって思ってはいるんだよ?
でも今まではまともな出会いなんて無かったし、今は学園に来て毎日が大変すぎてそれどころじゃないってだけで。
それに、イリー達ほどそう願ってるわけでも、ないみたいだしね。
「よかったねイリー!!」
キーファ達がイリーに一斉に寄り添ってきたので、ボクとアレクがはぶかれてしまった。
目があって、なんとなく2人で笑いあってしまう。
「じゃ、ボクはまだお昼食べてないから。お昼に行くね。お邪魔虫は退散しまーす。」
「レティ!」
イリー達の人ごみをすり抜け、講義室を出ていこうとすると、アレクに呼び止められた。
振り向く事もなく一瞬だけ足を止める。
「ありがとう。……僕さ、君の事も諦めないから!」
「……好きにすれば?」
振り返る事なく、右手をふりふりしてあげながら講義室を出る。
最初は何事かと講義室の周りで様子を伺っていた人達も、既にその人影はない。アレクとイリーの痴話げんかとでも思ったのかな?まぁ、もうお昼ももうすぐ終わっちゃうしね。ボクだったらこんな意味の分からない茶番よりもお昼を取るもんね。皆そうしたに違いない。
食堂に行くと、もう殆ど人はいないくらいには時間が過ぎていたようだ。
急いでお昼を食べて、午後の授業へ。
アレクとイリーの姿はないようだ。
あの後どうなったんだろ?
恰好つけて出てきたはいいけど、ちょっと気になるよね。
まぁすぐにわかるだろうけどさ。
「お、今日はちゃんと起きれたか。」
次の日の朝。
リンクとの約束もあったので4時に起きていくと、リンクが女子寮の前で仁王立ちで待っていた。
「……ねぇ、昨日もそんな恰好で待ってたりしないよね?」
「ん?なぜだ?」
「……え?わかんないの?」
「……すまん……。」
「昨日シルに会ったんだよね?何か言われなかった?」
「……あん?ああ……不審者がどうとか、なんか言ってたな。」
「国の王子が不審者と間違われるような行為は慎むべきだよね?」
「……。」
心当たりがあるようで、リンクの顔が少し濁った。
「な、何がおかしいんだ?」
「……。」
う~ん。それでも直そうとする姿勢は評価するべきところかなぁ。
「ここ、どこだかわかる?」
ちょんちょんと地面を指さして見せる。
「あ?学園寮の前だろ?」
「学園女子寮の前……ね。まだ日も登っていないような朝からさ。女子寮の前で武器持った男が張ってるって普通に怖いから。」
「そ、そうか……。」
リンクが腑に落ちないのは自分の顔が知れ渡っているのに、怖がられるわけがないってことなのかな?ボクとしてはすっと納得しない理由の方がわからないんだけどなぁ……。
「まぁいいや。明日からはもうちょっと気を使ってね。」
「わ、わかった。善処しよう……。」
「今日はアレクは?」
「ああ、あいつは今ちょっと色々あるみたいでな。ちょっとな……。ここ数日はこれないと思う。わりぃな。一応あいつも参加はするみたいだから、ちゃんと練習は参加できるよう言っておく。」
「うん……。」
色々っていうのは昨日のあのことでまず間違いないよね。どうなったのか気にはなったけど、いくら兄とはいえ他人の口から聞くような事じゃないのかもしれない。
「じゃ、行くぞ。」
「うん。」
リンクの後をついていくと、兵科の一室にたどり着いた。
既にいくつかのグループが何かしらの訓練をしているようだけど、いつも兵科総合課の授業を受けている訓練場よりも大きく、木々が茂っていて外を感じさせる部屋。いくつかのグループが陣取っているこの状況でも気にならない程度の広さがありそうだ。
「わぁ。ボク、こんなところ初めて来たかも。」
「そりゃここは兵科の講義進度がかなり進まないと来ないからな。」
「えっ?ボクがそんなところ使ってもいいの?」
「あ?学生であれば使えない講義室なんてほとんどないぞ?」
「へ~……そういうものなんだ。」
講義で来ることはなくても、申請さえすれば使うには使えるってわけね。
まぁこんな部屋があること自体知らないから、申請のしようもないと思うんだけど。
「じゃ、始めるか。」
「うん。」
団体戦の練習。
リンクとは魔法種禁止団体戦と、全兵種解禁団体戦の両方出るので、色々と打ち合わせる事もあるだろな……
なんて。考えてた時期もありました。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……。」
「どうした。もう一本行くぞ。」
「はぁっ……はぁっ……。」
リンクが森の中へ消えていく。
「ちょっ……ちょっ待っ……!」
実際やり始めたのは、フラ先生を思わせるような体力トレーニングだった……。
う~ん。兵科の人っていうのは体力トレーニングがお好きなのでしょうか?なぜ団体戦の練習なのに2人でこんな走りにくい地形を走りこまなくてはならないのか。
っていうかリンクが消えたまま戻ってこない。
「はぁ……っよしっ!!」
ボクもまぁだいぶ脳筋トレーニングに慣れたものだ。
こんなところでへばってても仕方ない。
とりあえず追うしかないのだから。
森の中へと走り出す。
部屋の中なのに、森の中は暗くなっていた。
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